ストレスの対処が苦手で、溜め込んでしまう
思いを外に出すことが苦手で、内に溜め込みやすい
アスペルガー(症候群)は「ASD(自閉症スペクトラム)」という名称で診断されています(以下、ASD)。
「対人不安や緊張が強い」、「感情表現が苦手」などの特性が原因で思いを外に出すことが苦手です。そのため、いつまでもストレスを自分の中に溜め込んでしまいます。
長く働くためには、ストレス対処力が必要
ASDを持つ方だけでなく、どんな方でも長く働くために「ストレス対処」の方法を身につける必要があるのです。
さらにはASDを持つ方特有の「ストレスのたまり方」があります。まず、ASDを持つ方がどうしてストレス対処が苦手なのか。原因をご紹介します。
ストレス対処が苦手な理由
①明確な答えが出るまで悩み続けてしまう
ASDを持つ方は、曖昧な物事への判断が苦手です。コミュニケーションなどで「抽象的な言動」などの曖昧な表現を理解することに苦しみやすい特徴があります。
これに加え、「他人の心情」などのはっきりとしないことを受け止めることも苦手なのです。さらには真面目で几帳面な性格もあるために明確な答えが出るまで、いつまでも一人で考え込んでしまいます。
②他人に頼ることが苦手
人に対しての不安が強く、疑い深いケースです。もともとコミュニケーションが苦手でうまく伝えられないと感じているために、一人で完結させようとしがちです。
他人に頼ることが苦手なために、見解が狭くなるリスクが高くなります。解決が見えにくくなることで、さらに悩みは深くなるのです。
③言葉以外の意思をくみ取れず、真に受けてしまう
ASDの特性として、表情や雰囲気が読めないことがあります。
これにより生じやすいのが、「言葉を真に受けてしまう」ことです。言葉以外の表情や発言の裏に隠された心情などを読み取りづらいため、ダイレクトに言葉を受けてしまいます。
一つ例を挙げてご紹介すると、上司から「本来は成長を期待していて、敢えて厳しいことを言った」ケースがあるとしましょう。
『本来は成長を期待していて』の部分には気づかず、『厳しいことを言われた』だけが残る
このような「感情のしこり」につながってしまいます。
このようなことから、
○敵視・警戒しなくてよい人を警戒する
○人の好意を見落としやすい
ことにつながるのです。
④思い込みが激しく、途中で切り替えるケースが少ない
ASDを持つ方に見られるのは、思い込みが激しいことです。さらに変化に弱いこともあり、『絶対~に違いない』と思い始めると、なかなかそれを改めることができません。
これにより、他者を許せない感情や大きな誤解を生むことになります。それがさらにストレスの原因を生み、最後には孤立してしまうのです。
強いストレスは、体調不良の元になる
実は、ストレスは全くないことも良くはありません。緊張感を保つためには少々のストレスは必要でしょう。しかし、ストレスをため込むことは良くありません。
ストレスはあなたへの「負荷」です。長く続くことでうつ病などの二次障害、適応障害などになるケースが高くなります。
ではこのような事態を防ぐために、ストレスと向き合い体調を維持していけばよいのでしょうか。
関連記事:【体験談】アスペルガーでうつに…二次障害になりやすい?対策とは
ストレスと向き合い、体調不良を防ぐために必要なこと
①他人の心情は、「本人に確認する以外に知る方法はない」と意識する
もっとも確認しづらい、答えが出づらい曖昧さは『人の心情』ではないでしょうか。
業務内容の曖昧さであれば、その意味を聞くことができるかもしれません。しかし人の心情となると本人に聞けないことが多く、返答が予測できない不安もあるでしょう。
しかし、人の心情は本人以外には分かりません。もっと言えば、その本人ですら分からない時もあるのです。このようなことを一人で答えを出そうとすれば、負担がかかるのも当然なのです。
いつまでも自分の中に残るのは気持ちが悪いかもしれません。しかし「本人に聞く以外知る方法はない」ため、自分なりに結論を出す工夫をしていくことが必要です。
②定期的に相談する機会を作ってもらう
辛くても「何かあった時にだけ言う」形式では、ASDを持つ方にはハードルが高いのではないでしょうか。決めるのが「自分の意思」となると、つい遠慮してしまうからです。ですから、あらかじめ定期的に相談の場を作ってもらうようにお願いしておきましょう。
相談するタイミングが決まっていることで、「意思決定」のプレッシャーが和らぎます。先ほどの①のケースで見えない問題なども、このタイミングで明確にするチャンスもあります。
ですから事前に相談しやすい環境を作っておき、困ったらすぐに頼れるように準備しておきましょう。もし、相談の持ち掛け方がわからない場合はこちらの記事「【ASD・アスペルガー】悩み事を相談できない…きっかけの作り方4つ」も参考にしてみてください。
③言われたときだけの状況だけでなく、前後の相手の状況も踏まえて判断してみる
つい、言われたときの光景を何度も考えてしまうことがあるでしょう。そうして同じ光景を何度も想像し続けることで、相手への悪いイメージが募ります。
しかし、その想像の中に「前後の相手の状況」も混ぜてみてください。
・普段あなたに対してどう接してきていたか。
・その後相手はどう接してきているか。またはどう接しようとしているか。
相手があなたにとってどういう人かを判断するのは、それからでも遅くありません。自分で答えが見つからずに悩み続ける場合は、②の方法でもって上司に確認してみましょう。
④考えに固執することで、本来の目的から遠ざかってないか考えてみる
そうして一つの物事に対して固執していることで、本来の目的から遠ざかっていないか確かめてみましょう。自分の中だけで固執していると、本来意識することや行うべきことから大きく離れているのかもしれないのです。
また、ズレに気づいていても「路線変更」をしたくないと考えていませんか?「考えを改めたら負け」と思っていませんか?
現実を直視することに抵抗を感じるかもしれません。しかし今考えていて辛いのなら、そのままの状態ではさらに辛くなるだけということを覚えておきましょう。
ストレスを対処しきれない環境に悩むなら…
このような対策を行っても全くストレスが解消されない、さらに新しいストレスが来るなどのケースもあるかもしれません。そのようなときはあなたの考え方が原因なのではなく、環境とあなたがマッチしていないだけという可能性もあります。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
あなたが今抱えている「ストレス」自体も曖昧な存在ではないでしょうか。何が辛いのか分からないけれど何か辛い…というケースもあるでしょう。冷静さも失っているケースが多いですから、一人で答えを見つけることは難しいです。
ですからストレス対処には上司をはじめ、他の方の力も必要です。何かあってからではなく、日頃からストレスをためないように心がけていきましょう。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。筆者自身も明確な答えが出ないとどこまでも考えてしまう。現在は、公私ともに早めの相談で溜め込まないように注意している。