アスペルガーが悩む上司の『ダブルバインド』とは?体験から得た対策

アスペルガーを自覚しておらず、上司の指示に苦しんだ

コミュニケーションが苦手

アスペルガーは、現在は「ASD(自閉症スペクトラム)」という名称で診断されています。

空気が読めない」、「こだわりが強い」などの特徴から、コミュニケーションに苦しむことが多いです。

上司とのコミュニケーションに悩み、うつ病を発症した

筆者もまた、アスペルガー(以下、ASD)を持っています。しかし、診断は30歳の時でした。そのため、それまではコミュニケーションなどに苦しみながらも、「自分の努力不足」としてしか意識していませんでした。

しかし最初の職場に勤務して10年目を迎えたとき、『努力では補えない事態』に遭いました。その時の部署の上司(女性)とのコミュニケーションがうまくいかず、悩んだ挙句にうつ病を発症してしまったのです。

彼女のコミュニケーションは、それまでについた上司とは違う点がありました。女性の上司と言うことも初めてでした。しかし何より苦しんだのが『ダブルバインド』という指示です。

関連記事:【体験談】アスペルガーでうつに…二次障害になりやすい?対策とは

アスペルガーが困る指示に『ダブルバインド』がある

ダブルバインドとは

『ダブルバインド』とは、『二重拘束』という意味です。コミュニケーションにおいては「2つの矛盾した命令をする」ことをして、相手を混乱させる対話方法です。親や上司からのハラスメントとして発展する可能性もある、危険な手段でもあります。

【体験談】上司から受けたダブルバインドの種類

さて、筆者が上司に受けた『ダブルバインド』を紹介します。

①言葉と表情(真意)が反対

言葉と表情や語気からなる感情が反対のケースです。「怒っているのに『怒ってない!!』と言う」などがありました。相手が感情的になっているため、こちらも冷静に受け止められなくなります。

筆者が進めた業務の何かが気に入らなかったらしく、『もうやらなくていい!』と言われたので作業をやめると『何やってるの!早くやりなさい!』と言ってくるのです。

この『気に入らなかった』ところの言葉がないので、ASDを持つ筆者には『曖昧なもの』の中から答えを見つけなければなりませんでした。

②指示内容が正反対に変わる

「AかB」「○か×」「行うべきか、行わないべきか」などの指示内容が正反対になることが多くありました。したがってどちらの判断をしても怒られるため、正解が見つからないのです。

ひとつ事例をご紹介します。筆者は当時、部署内の社員の勤務管理をしていました。流れとしては筆者が毎月全員の勤務時間を計算し、管理職の方に確認してもらう形です。

この流れの中で上司は直接のかかわりはありません。しかし、ある時『私にも見せなさい』と言われたことから混乱が始まりました。

その後、上司に見せに行くと…『あなたが担当なんだから、私を通さずに自分でやりなさい』と嫌味を言われます。

指示通りに見せずに済ませると…『事前に見せなきゃダメって言ってるでしょ!!』と怒ります。ひどいときは、一日で指示が2往復したことがあります。

③2つ以上の業務の指示をする

時間的、物理的に無理であるにも関わらず、複数の指示をして来ます。『言いやすいのが自分』という理由もありましたが、反論させない勢いで「力押し」される形でした。

筆者の場合は1人からでした。しかし情報共有不足から、複数人の上司から指示を受けた結果矛盾した内容になってしまうケースもあるのではないでしょうか。

矛盾を指摘すると怒られる

このような矛盾があって何も言わなかったのか?と考えた方もいるかもしれません。しかし、指摘するとさらに感情がヒートアップしてしまうのです。

今から考えると、上司とまともな言葉のやり取りは一度もできなかったと感じています。相談の機会などもありましたが、いつも上司の要望を一方的に聞くだけでした。

覚えている内容は「私は大変、私は大変」という上司の愚痴のみです。

ダブルバインドをする理由とは?

しかし、なぜダブルバインドをしているのでしょうか。筆者の体験から振り返り、なぜ上司がそのような対話を多用していたのかを考えてみました。

①感情的で、自分でも思考を整理できていない

上司はすぐに感情的になるタイプの方でした。部下の要望を受け入れるということは少なく、基本的に「私はこうしたい、私はこうしたい」という主張が多いことが印象的です。

また、上司自身も転任したてなこともありました。そのためバタバタな状況を整理できず、上司自身もケアレスミスをよく指摘されていました。

このような追い込まれた状況もあり、自身で思考を整理、コントロールできていない状態だったのではないかと考えています。

②発言の責任から逃れつつ、相手を動かしたい

「指示をすると相手に嫌われてしまうかもしれない」という心情がよく見られました。

そのため指示を言葉にしてしまうと、その責任と直面しなければなりません。それに耐えることはできないけれど、相手には動いてほしいという期待がダブルバインドとして現れたと考えています。

③さらに上からの指示を流しているだけのケースが多かった

上司のさらに上の意向や指示を自分でかみ砕くことをせず、そのまま流しているだけということも多くありました。「言われたことを言わないと私が怒られる」責任から逃れるためだけに話していたのではないでしょうか。

このようなタイプであったから『ダブルバインド』をされたのでは、と考えています。それでは、以上の経験から踏まえて考えた『ダブルバインド対策』をお伝えします。

上司・先輩などからのダブルバインド対策

①口頭指示を控えてもらい、書面指示などをお願いする

口頭指示の場合だと、話しながらいくらでも変えられます。言葉が形として残るわけでもありません。しっかりとメモをしていてもこちらの理解不足を指摘される可能性があります。

ですからできるだけ口頭指示を控えてもらい、書面指示などをお願いしてみましょう。文面であれば、自分の発言に制約ができるからです。書きながら矛盾したことを言うというケースは少ないでしょう。

お願いすることが難しいのであれば、こちらからの報連相(報告・連絡・相談)を書面に変えるだけでも『ダブルバインド』の機会を減らすことができます。

②経過報告を増やし、作業途中で確認してみる

作業のスタート(開始)とゴール(完了)の時だけ関わっていると、開始時にした指示を忘れているかもしれません(「忘れた」ということにして話すケースも含む)。これだと、『矛盾を言える隙』ができやすいです。

これを防ぐために経過報告を増やし、途中段階で確認してもらう機会を増やしてみましょう。

③前に受けた指示を前置きした上で聞いてみる

指示が二転三転する場合、報告や確認時に「先ほど○○と指示を受けた件ですが…」と前置きを入れておく方法もよいでしょう。

「過去に上司がした発言に基づいて動いた」ことを伝えることで、後に伝える指示に矛盾を生ませないようにするためです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

筆者はその後この職場を辞め、民間企業の事務職を経て、「テレワーク」に転職しました。もともとは、自分とはマッチしていない環境で合ったことが原因かもしれません。環境を変えたことで、自分の努力ではどうにもできない事態はなくなりました。

自分の個性を知り、良さを活かす「カスタマイズ就業」で、あなたの悩みも解消できるかもしれません。

今、同じような矛盾したコミュニケーションに苦しんでいたら、Salad編集部までご相談ください。

【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。HSPの特徴も併せ持つ。公務員10年、民間企業の事務職4年の職歴がある。

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