【大人の発達障害】ASD(自閉症スペクトラム)の特徴と問題解決法

ASD(自閉症スペクトラム)とはどんな障害?

ASDの特徴について考える男性

1)ASD(自閉症スペクトラム)とは

ASD(自閉症スペクトラム)とは、Autism Spectrum Disorderの略称で、アスペルガー症候群、自閉症もASDの一種です。

【特性】
社会性やコミュニケーション、「暗黙の了解」のような言葉を介さないやり取りが苦手
【考え方】
特性がある・ないという境界線を引かず、軽度から重度な特性までの区別をしない。

参考:自閉症について- e-ヘルスネット – 厚生労働省
参考:ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群) | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター

それでは、このような症状を持つ方が日常生活や職場でどんな問題を抱えているか、ポイントをチェックしてみましょう。

【大人の発達障害】日常生活や職場で目立つ、大人のASDを持つ方が抱える問題

ASDの特性により悩む男性

※筆者の体験をもとにしています。

1)曖昧な物事が苦手。表情や言葉の裏から、意図を読み取れない。

【日常生活での例】
〇一つお皿に入ったサラダを「みんなで適当に分けて食べて」と言われた。しかし「適当」が分からず、自分がどれだけ食べてよいのか分からない。言われないと全て食べてしまうこともある。
(※筆者の実家では、筆者だけ別のお皿に取り分けてもらっていました。)

〇「お風呂を見ておいて」と言われて、言葉通りの「見る」だけを行う。浴槽がお湯であふれていても、その対処が「見ておいて」に含まれていることを理解できない。言葉の裏に隠れた「お風呂の『様子』を見ておいて」が理解できません。
(※焦っているときなど、このようなケースになりやすいです。)

【職場での例】
〇日常のやり取りに支障をきたしやすい。
上司「そこの「あれ」を取ってくれないかな?」
ASDを持つ方の心中「「そこ」はどこ?「あれ」はどれだろう?」
(※「なんではっきり言わないのだろう・・?」とストレスをためました。)

〇「もう放っておいて!」と怒鳴られると、実際には放っておけばよいのか、接すればよいのかの区別がつかない。
(※「ダブルバインド」という、ひとつの言葉から複数の意図を持つ対話は、特に悩みました。)
このような障害を持たない、多くの方が使っている

○暗黙のルール(共通認識で省略している対話)
を理解することができません。仮に暗黙のルールを事前に聞いていても、今のケースがそれに該当したかの判断が苦手です。

2)こだわりが強い

特定の物事に関してのこだわりが強いです。時間、規則など。

周囲の状況に左右されないことも多く、他者から「融通が利かない」「わがまま」「頑固」と受け取られやすいです。臨機応変に対応することが苦手なため、結果的にこだわっているように見えるケースもあります。

3)変化が苦手で、定型パターンを好む

○日常生活のパターンや通勤ルートなど、決まった順序にこだわる。
○マニュアルや決まりにこだわり、臨機応変な対応が苦手。

分かりやすく説明しますと、「線路がないと走れない電車」のような感覚です。定型パターンやルーティーンを「線路」として、安心を求めている方が多いのではないでしょうか。

4)感覚過敏

五感のうち、いずれか複数の感覚が過敏なケースが多いです。

【感覚過敏の主な種類】
視覚:光に弱い。陽の光やパソコンのモニターの光など。
聴覚:必ずしも音量の問題とは限らない。ひそひそ話や電車の発車音など、特定の音に敏感なケースが多い。
嗅覚:特定のにおいが苦手なケースがある。必ずしも臭いものが苦手とは限らない。香水や芳香剤の香りなどが苦手なケースもある。
味覚:特定の感覚の味に敏感なケースがある。など
触覚:特定の材質の衣服を着ると、じんましんが出る。洋服のタグが気になる。部屋の室温などに敏感。など

また、敏感な部分の反面、鈍感な部分を持ち合わせている方もいます。

その他:周囲の人の感情や雰囲気を過敏に受け取ってしまうケースもある。

5)その他の特徴

〇対人緊張、対人不安などの二次障害を併発しているケースが多い。
〇感情表現が苦手。傷付きやすいが、表情に出せない。冷淡に見られやすい。

関連記事:発達障害の二次障害ってどんなものがあるの?事前にできる予防法は?

このような困難から、周囲から「甘え」だと言われて悔しい思いをされていませんか?職場で長く仕事をするために、この問題をどのように解消していけばよいのでしょうか?以降、あなたのための悩みへの対処法をご紹介します。

【大人の発達障害】ASD(自閉症スペクトラム)を持つ方のための、問題解決法

障害特性について説明する男性

1)職場での報連相のスタイルを明確にする。

職場でのコミュニケーションの基本は「報連相」です。ASDを持つ方は、コミュニケーションや臨機応変な対応が苦手です。そのため、その場その場で異なったコミュニケーションを求められて困っていませんか?

上司とよく相談して、報連相のスタイルを明確にしましょう。詳しく知りたい方は、こちらの記事をチェックしてみてくださいね。

2)定期的にこだわりの整理をして、セルフケアを行う。

ASDを持つ方の武器は「こだわりの強さ」です。ただしこだわりは限度を超えると、あなたを抑えつけることになります。そのまま継続していると、最終的にはうつやパニック障害などの二次障害を発症してしまいます。

自分がどんなことにこだわっているかを定期的にチェックし、セルフケアを行いましょう。筆者が実際に行ったセルフケアをこちらで紹介しています。

3)医師の指示に従い、服薬を続ける。

問題なく生活ができていると、自己判断で服用をやめてしまう方がいます。ASDを持つ方の多くは、対人緊張や対人不安を抱えています。服薬はこの症状を緩和する効果があります。二次障害を予防するためにも、医師の指示に従い服薬を行いましょう。

関連記事:【医師に要相談】発達障害を持つ方にかかわる、服薬の効果と注意点

4)過敏な感覚に関しての対処を考える。

あなたが苦手な感覚に対しての対処を考えましょう。


〇聴覚が過敏なため、ヘッドフォンを着用するようお願いする。
〇視覚が過敏で陽の光が苦手なため、ブラインドを閉めてもらう。
〇室温調整を依頼する。

応募前に企業の情報を調べ、あなたの特性に応じられる環境かどうかの確認をしましょう。応募書類や採用面接で伝える、大切な項目です。

5)あなたの特徴をまとめた「ナビゲーションブック」を作る。

「ナビゲーションブック」とは、障害者職業総合センターによって推奨されているツールです。

あなたの障害をわかりやすくまとめて、就職活動や職場定着を円滑に進めることが目的です。ASDを持つ方は、瞬時に自分を表現することが苦手です。あらかじめあなたの特徴を書面化して、いつでも見てもらえる形にしておくと安心です。

参考:障害者職業総合センター 「第2章 ナビゲーションブックの作成方法」

関連記事:自己理解を深める!発達障害特性に役立つナビゲーションブックとは?

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まとめ

色々な障害について調べてみる男性
【あなたの悩みは、「カスタマイズ」のチャンスかも!?】
いかがでしたでしょうか。

「仕事が辛い・・」「やりがいを感じない・・」という方はいませんか?そう感じていることはあなたにとって「チャンス」かもしれません。発達障害の持つ個性は表裏一体で、著しく苦手な部分があればそれに応じた得意な部分があると考えられています。大切なのは、「活かし方」ということです。今職場や対人関係で苦労していたら、ぜひ自分の特性と環境を照らし合わせて振り返ってみましょう。

【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。大人になってから発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)と診断されている。公務員として10年間勤務、うつ病を経験し民間企業の障害者枠の事務職として4年間勤務。この時にうつ症状に遭ったが、セルフケアを行い一日で回復し職場復帰した経験を持つ。
聴覚が過敏なことや、周囲からの感情の影響を受けやすいことが特徴。

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