うつ克服法3つ 〜ASD男性、9年間で二度のうつから脱出した体験談〜

【著者紹介】
30代男性。幼少時代から感受性が強く、対人関係において悩みを抱えながら生活。就職後、最初にうつが発症した際に心理検査を行った結果、ASD(自閉症スペクトラム)と診断される。公務員約10年間で一度、民間企業約5年間で一度と20代、30代の9年間で二度のうつを経験。2年間の休職やリハビリを経てうつ症状を克服し、現在は就労移行支援施設にて自身の障害特性を生かした新しい働き方を求めて日々訓練に励んでいる。

ASDを持つ男性

うつのきっかけは誰にでも存在する

生活に苦しむ、うつ病を患っている男性

1)うつは感情を抑制しすぎる「心の渋滞」になる

『うつ』は現代病として広く知られるようになりました。しかしながら、現在もまだ『当事者にもなりうる』として身近に感じることが難しい病気なのでないでしょうか。

筆者も発症するまではその一人でした。職場での人間関係がうまくいかず、ストレスを感じながらも自分を抑えないといけない立場であったがゆえ、感情(特に怒り)を抑え続けた結果、寝ても疲れが取れなくなり・・さらには眠れなくなり・・そんな中でも無理を続けてその無理もできなくなって病院に行った結果、「うつ」と診断されました。

参考:うつ病|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省
参考:心の健康 |厚生労働省

2)当事者意識が低く、早期発見ができなかった

正直に言えば、筆者も発症するまでうつは「心の弱い人がなる病気」という先入観がありました。そのためうつは『自分とは関わりのないこと』だと一線を引いていたのです。だからこそ症状が始まっていても「まさか自分が」と疑いもせず、無理を続けてしまったわけです。

診断されるまではうつになることは大変なことだという意識がありましたが、うつを体験し、克服した者として筆者がお伝えできることは「人との関わりがある限りきっかけは誰にでも存在し、起こり得る病気」だということです。

今回は筆者のうつ病体験をもとに

・うつ克服のために行った対処法
・うつ病の早期発見や予防のために注意すること

この2点を中心に紹介していきます。

【体験談】うつ克服法。改善のために行った対処法

うつ克服に関して呼びかけをする男性

1) 克服法その1~ 問題のきっかけや原因から離れる

「離れる」と聞くと、逃げることは悪いことのように感じるかもしれません。しかしうつ病の原因から離れることは、症状の悪化を防ぐ立派な対処法なのです。はじめは筆者も「逃げてはいけない。頑張らなければいけない」とうつを発症した職場で何とか復帰しようと努力しました。しかしうつの原因となる人がいたり、その環境にいるだけで熱が上がるなどの不調があったのです。

これらの要因から筆者は退職することを決めました。決断して職場を去った時に、ふっと肩の荷が下りて楽になった感覚を今でも覚えています。

もちろん、「離職」は簡単に決められることではないかもしれません。ですからうつ病で苦しんでいる場合は、離職のほかにも異動を申し出たりするなど、問題のきっかけや原因となる環境から離れてみるよう取り組んでみましょう。何よりも「自分はもう安全、安心なんだ」と思える環境に身を置くことが大切です。

2) 克服法その2~自問自答して、心の断捨離(セルフケア)を行う

うつ症状に伴い不眠になり、めまいを感じ朝の通勤が怖いと思う瞬間がありました。会社が要塞のように思えた感覚を今でも覚えていますが、そういったときは心の中の「自分ルール」が多すぎて、感情がひどく抑制されている状態だということに気づけたのです。自問自答して「今生きていくのに必要な自分ルールは何か」を考え、不要なこだわりはいったん隅に置いておく心の断捨離を行いました。

その瞬間、体も心も上昇するような勢いで回復し、翌日から通常通り仕事に復帰できました。うつ克服は、自分の感情に従い無条件に許すことから始まるということを肌で感じた出来事でした。

関連記事:【体験談】辛い「ピンチ」脱出法~発達障害を持ち障害者枠で働く方へ

3) 克服法その3~家族や友人の支えを意識する

精神的に追い込まれていると、とにかく『視野』が狭くなります。普段見えるものも見えなくなることがありました。これは物理的な視界が狭まり注意力が落ちることや、精神的な視野が狭まり極端な思考になりやすいことなどが含まれます。

実際には周囲に味方がいても、自分にとって都合の悪いものばかりが見えてしまうのです。ASDの場合は特性上、自分から発信することを不得手としているケースが多いため、なかなか自力でこの視野を広げ直してゆとりを取り戻すということは難しいと筆者も体験の中から感じています。

そのような中で、やはり常に味方でいてくれる家族の存在は大きかったです。「見方がいる」と意識することで、心の芯が元に戻っていきます。家族以外にも、友人や病院のカウンセラーなど、安心して寄り添える人が一人いるだけで事態は変わってきます。

参考:うつ傾向がある人が使う「4つの言葉」とは?|心療内科・精神科|うつ病治療の新宿ストレスクリニック
参考:ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群) | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター

関連記事:【大人の発達障害】ASD(自閉症スペクトラム)の特徴と問題解決法

うつ早期発見のために取組んだこと

1) 体のサインを素直に受け入れる

体の不調は、気持ちが高まっているときなどは乗り切れてしまうこともあります。しかしこうして気持ちで乗り切れてしまう人の方が、実は危険なのです。うつの発症があっても「疲れているだけだ」と気づきにくいケースが多いからです。

筆者もまた、仕事の責任を考えて上司の何気ない言葉やふとした弾みに気持ちが崩れた瞬間、気持ちだけでは取り戻せない危険な状態を経験しました。今から考えてみると、体の不調はそのおよそ3か月前くらいには出ていたからです。ですから体から発する情報を素直に受け入れることが大切です。

もし下記のような症状を感じたら、精神科や心療内科などの医療機関を受診を考えた方が良いかもしれません。

【筆者がうつと気づく前に感じていた症状】
・日に日に眠れば眠るほど体力がなくなっていく
・寝起きの体がひどく重くて起き上がれない
・朝が来るのが怖い

これらの症状をはじめ『最近辛いな…』と感じていたら、医療機関に相談した方が良いでしょう。診察の結果発症していない場合でも、風邪と同じで予防は大切です。ですから気になったら早めに対処することを心がけましょう。

筆者もうつ病経験後は、自分の体の状態を記録して少しの変化でも見逃さないよう注意するようになりました。

2) 日常生活の中での変化に気づく

通勤の時に聞いていた音楽が聴けない、好きだった本や新聞の文字を目に入れようとするだけで疲れてしまう…このような日常生活においての変化がありました。心が引きこもりがちになり通っていた職場の道を通るときに苦しくなったりめまいが起き始める・・などで苦しい思いをしたのです。

このように、これまで行ってきた生活に対する変化に注意してみましょう。少しでもストレスに関わっている行動をしようとするとどことなく不快であったり、耐えられないなど日常生活の中の心情に変化に目を向けてみてください。

この2つを覚えておいてください。これを意識するだけでも、気持ちが楽になり症状の緩和にもつながるのです。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

うつ病が話題になり始めたころ、「頑張れ」と言ってはいけないということがメディアで取り上げられました。それは発症した方の苦しさを踏まえないで、一般的な評価だけで見た「頑張れ」だと受け取ってしまうことが多いことが理由の一つではないでしょうか。

うつに苦しむ方が、相手に「受け入れられていない」と感じれば、その「頑張れ」は苦痛でしかありません。筆者もまたそのような『突き放された感』に苦労したものです。ですからそれからは精神的に苦しみ、心が引きこもりがちな方に「手は抜かず、肩の力を抜いていこう」と声をかけるようにしています。

この記事によって少しでもうつの克服につながるきっかけになりましたら幸いです。

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