アスペルガーは緊張しやすい…対人緊張の原因と緩和させる工夫とは?

人前で緊張しやすい…

対人緊張・対人不安を併せ持っていることがある

アスペルガーは、現在「ASD(自閉症スペクトラム)」という名称で診断されています。

特性により、コミュニケーションが苦手なケースがあります。そのため、アスペルガー(ASD)を持つ方は対人緊張や対人不安を併せ持っていることが多いです。

人前で緊張してしまう、不安を持ちながら人と接してしまうことでさらに対話がうまくいかなくなります。その経験がまた緊張や不安を呼ぶ…という悪循環になっていませんか?

そのような事態を改善するため、今回は、
○人前で緊張してしまうのは、なぜなのか
○対人緊張(対人不安)を緩和する工夫には、どのようなものがあるのか

について紹介します。

【アスペルガー】人前で緊張しやすいのはなぜ?

過去の体験から、うまくいくイメージが浮かばない

特性として、自分の意思で気持ちを切り替えることが苦手です。明確な答えが出ずにいつまでも過去を引きずってしまうことがあります。

「前ダメだったから」がいつまでもついてくるために、自分にプレッシャーをかけているのです。そのために対話の際におどおどしたり、うまく話そうとがちがちに緊張しすぎてしまったりするのです。

無理をして空気を読もうとする

アスペルガーを持つ方は、「空気が読めない」特性を持つことがあります。自分でも分かっている場合、気を付けなければと努力している方も多いでしょう。

しかしこの意識が強すぎる場合や、「どういうことが『空気を読むこと』なのかがわからない」ままピリピリと警戒してしまうケースがあります。

この気持ちが「緊張」として外に現れてしまうのです。

想定外の返答が来ると混乱してしまう

アスペルガーを持つ方はこだわりが強く、その影響で変化や想定外の事態に弱いことがあります。

これは対話に不安を感じているために、事前に会話の内容を想定(準備)して臨むことからも来ています。自分の「台本」への意識が強すぎるあまり、想定外の返答が来た時に動揺してしまいます。

これにより、激しい緊張に襲われてしまうのです。また、このような返答が多い人に対して苦手意識を持ちやすい傾向があります。苦手意識を持つとさらに緊張する…という事態を招いてしまいます。

対人緊張で、相手も緊張させることがある

不安で人と対面しているときと、緊張は強まります。ひどい場合は、事前にそのような機会があることを知った時から緊張が強まるケースもあるでしょう。

しかし、対人緊張は相手にも伝わるものです。対話の際の「ピリピリ感」で、隙のない表情になっていませんか?

これにより「怖い」「近寄りがたい」と思われてしまい、孤立する可能性もあるのです。そのような事態を防ぎ、少しでも緊張を緩和する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

対人緊張と向き合い緩和させるには?

同じ人でない限り、過去は参考にならない

アスペルガーを持つ方は曖昧な物事への判断が苦手なため、受け入れて処理をすることも大変かもしれません。

そのため、「人の心情や感情」にも、明確な基準を求めたくなることもあるでしょう。その基準に「過去の経験・これまでに関わった人」を当てていませんか?それもうまく対話できていた人ではなくて、嫌な経験をした人です。

他の物事については、過去の失敗から方法を変えることもあります。しかし、「人の心情」に関しては、正解はありません。同じことをしても正反対の反応をするケースも考えられます。

ですから、過去の体験をもとに緊張してしまうほど「損なこと」はないのです。今接している相手が過去にうまくいかなかった相手と同一人物でない限り、基準にはなりません。辛いかもしれませんが、「目の前の相手がどのような人なのか」に集中することを心がけていきましょう。

書面やメールなどを増やし、口頭での対話を控えてもらう

口頭での対話だと、すぐに伝えられる・返答をもらえるというメリットがあります。その反面、想定外の展開になりやすいです。

想定外の返答が来た時に頭が真っ白になってしまうようであれば、口頭での対話を減らし、書面やメールなどの対話方法をメインにやり取りできるようお願いしましょう。

その際には、相手にしっかりと「想定外のことがあると真っ白になってしまう」ことを伝えましょう。

関連記事:【発達障害】聞いて理解することが苦手…言語理解が低いときの対処法

一人で全てを説明しようと意識しすぎない

不安をなくすために、事前に話すことを準備していることもあるかもしれません。しかしながら、会話は「あなたの台本通りに読むこと」とは異なります。少なくとも相手にも台本があります。

そのため、自分一人で会話を完結させるように準備すると、想定外の事態が起きやすいです。ですから自分だけで1から10まで全て話そうと意識しないようにしましょう。

反対に言えば、相手もあなたの話を組み立ててくれるのです。下記の関連記事を参考にして、会話のやり取りのコツを確認しいておきましょう。

関連記事:【アスペルガー】そもそも会話のキャッチボールとは?苦手克服のコツ

一度に話す量を少なくする

人と話すことを避け、一度にまとめて話そうとしていませんか?確かに話しかけるには勇気が要りますし、緊張が高まるかもしれません。しかし、話す量(特に話題の種類)を多くしてしまうと、さらにプレッシャーが高まってしまいます。

リラックスして対話するには、一度に話すテーマを絞ることです。その分、話しかける回数を増やしていきましょう。

会話での緊張に迷ったら、上司に相談してみよう

「なかなか緊張が取れない…」「どうしても苦手な人がいて、ビクビクしてしまう…」ことで悩んではいませんか?今回の対処をしてもうまくいかず、ずっと悩んでいては適応障害になってしまうかもしれません。

体調を崩してしまう前に、困った時は上司に相談するようにしましょう。相談の仕方が分からない場合は、こちらの記事「【ASD・アスペルガー】悩み事を相談できない…きっかけの作り方4つ」を参考にして、悩みを抱え込まないように心がけてください。

環境を変えることで、緊張しなくなる可能性もある

今回は「今の環境でいかに緊張をほぐして接するか」についてお伝えしました。しかしながら、職場に苦手な人ばかりで話すことができないというケースもあるでしょう。

このような場合は、環境を変えることでリラックスして人と向き合えるようになるかもしれません。今のあなたの接し方が、今の環境とマッチしていないだけかもしれない可能性もあるのです。

このような場合は、自分の障害を強みとして活かす「カスタマイズ就業」で、自信をもって人と話せるようになるチャンスかもしれません。

興味のある方はSalad編集部までご相談ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

一度人付き合いの中で辛い経験をしてしまうと、二度と傷つかないために過去を基準にして対応をしがちです。しかし、一度でもうまくいったことを体感できれば大きく変えられるチャンスもあります。

自分の特性を見つめ直して、一度上司に相談してみましょう。

【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。加えてHSP気質も強い。幼稚園時代・小学校時代の経験を20年以上引きずってきた。しかし人に対してネガティブに見ること自体が関係を悪くしてしまうことに気づき、対処を考えた。

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