アスペルガー(ASD)は暗黙の了解が苦手…曖昧な表現への対策4つ

曖昧な表現が分からず、暗黙の了解についていけない

職場や私生活で「曖昧な言葉」があふれている

もともと日本は、「はっきりと言葉にしない」対話の文化があります。奥ゆかしさを持つことで品格を保つためです。英語などのほかの言語よりも比べても、曖昧な表現の言葉は多いです。

現代はさまざまな国の文化も関わり、変化してきています。とはいえ、重要な会話の「肝」の部分を言葉にしない流れは多いです。

そのため、特に仕事の忙しい中だとこの「曖昧な表現」で、言葉を発する労力を省略しがちです。

共通認識が分からず、周囲についていけない…

アスペルガーとも呼ばれている、ASD(自閉症スペクトラム)を持つ方は、このような「曖昧な表現」からなる、「暗黙の了解」が苦手です。職場で以下のような言葉に心当たりはありませんか?

【よく使われる『曖昧ワード』】
「適当に」やっておいて
…(ASDを持つ方の心中)適当ってどれくらい?

「あなたのセンスで買ってきて」
…(同上)センスって何だろう…?

「あれ」やっておいて
…(同上)「あれ」ってどれのことを言っているの?

こんなことに苦しんでいませんか?理解ができず、「空気が読めない」など言われて悔しい思いをされてきた方も多いのではないでしょうか。

【アスペルガー、ASD】なぜ暗黙の了解が苦手なのか

何が正解なのか、答えを絞ることができないから

障害を持たない他の方の場合、普段の会話などから意図を絞って判断することができます。しかしASDを持つ方の場合は「こういった考え方かも、いやいやこういった考え方かもしれない…」と際限なく考えてしまいやすいです。

頭の中で「考えられる可能性」を沢山用意してしまうため、数ある中から相手の意図を選ぶことが難しくなります。

話の主旨や意思を「待ってしまう」くせがある

ASDを持つ方は、曖昧なものに向かう行為自体が苦手です。確かでないものに関しての判断が苦手なため、暗黙の了解に対して想像で「迎えに行く」ことができず、つい「待って」しまいがちです。

これにより、充分に情報を受け取れなくなります。

確実でないことに対して、どこまでも疑ってしまうから

ASDを持つ方は、物事をネガティブに考えてしまうことが多いケースがあります。これは過去の失敗や辛い経験をいつまでも引きずってしまうことにあります。

「100パーセントこの見解で間違いない」と安心できない限り、どこまでも自分の中で考えてしまいます。そのため、瞬時に判断することが難しくなります。

言葉に集中しやすいため、表情や語気などの情報を受け取りにくい

ASDを持つ方は、「耳から受けた情報を処理するのが苦手」なケースがあります。そのため、相手が何を言っているのかに集中している場合、表情や語気などの他の情報に注意できなくなります。

無理に理解しようとすると、適応障害になってしまう

このような苦手な表現を何とか理解しようとして無理を続けると、「適応障害になり、様々な不調を招くおそれがあります。

ですから無理なくコミュニケーションを進めていく対策が必要になります。

職場内の曖昧な表現と向き合う対策

1)自分の中で答えを絞れるように、事前に「基準や軸」を確認する

合間な表現に対してどこまでも考えてしまうのは、おおよその「基準」が理解できない可能性があります。

○普段職場が何のために動いているのか
○自分に与えられたメインの課題は何か

などの「基準」や「軸」を上司に確認してみましょう。そうすると、曖昧な表現に対しての「答え」を絞りやすくなります。

2)周囲に苦手な旨を伝えて、明確な表現を求める

先ほど触れたように、無理をすれば、適応障害になってしまいます。ですからあらかじめ職場に「曖昧な表現が苦手な旨」を伝えましょう。ただし、苦手と言うだけでは、あなたにとって明確な指示が来るとは限りません。ですから上の言葉を例に挙げると、

「適当に」やっておいて→具体的に容量やポイントなどを確認する(何件やればいいのか、どこに気を付けるべきかなど)
「あなたのセンスで買ってきて」→いくつか選択肢を作って、決めてもらう など
「あれ」やっておいて→「あれ」に対して復唱して確認する(「○○」のことですか? など)

など、明確な指示をもらうためには、「明確な依頼」が必要になってきます。

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3)言葉のやり取りの精度を上げる

曖昧な表現に対する理解が苦手な分、言葉そのものの精度を上げてカバーする方法もあります。

ゆっくりでも正確に伝える基本を身に着けて、コミュニケーションの「漏れ」を減らす工夫が大切になります。

関連記事:発達障害を持つ方の会話のコツ4つ~話が通じないときは要確認!

4)相手の性格を知ることで、意図を想像しやすくする

障害を持たない方にとって、明確な表現で伝えることを「刺激が強すぎる」と感じる方がいます。このような方にも明確な言葉を強いるのは相手に辛い思いをさせてしまうときもあります。

相手がどんな性格なのかを知り、「この人ならこう言うだろう」というイメージをしやすくすることも、工夫の一つです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ここまで曖昧な表現に対してどう対応するかをお伝えしてきました。しかし、暗黙の了解など周囲にとって当たり前なことに疑問を持つことは、柔軟な発想を生むきっかけになります。

今悩んでいることが考え方次第で「能力」「スキル」に変わる可能性もあるのです。

弱点をカバーして強みを活かせるよう、工夫していきましょう。