【大人のアスペルガー】30代ASD男性、SSTから学んだ体験談

大人のアスペルガーの特性をカバーするため、SSTを受けた

SSTを受けている障害を持つ方

SSTとは

「SST」とはSocial Skills Training(ソーシャル・スキルズ・トレーニング)の頭文字を取った略称で、「社会生活技能訓練」といいます(「生活技能訓練とも呼ばれる」)。主に精神障害や発達障害を持つ方が、対話を通じて社会生活に必要なスキルを学ぶ訓練です。

参加者同士であらかじめ対話のシチュエーションを決め、想定に基づいて会話を進めます。その後お互いに会話の内容を振り返り、同じシチュエーションを繰り返して修正していくという流れです。

関連記事:『SST』とは?精神障害などで話し方に不安を感じる場合に効果的!

対話にコンプレックスを感じていたため、SSTを受けた

筆者はもともと他者とうまく意思の疎通が取れないことでコンプレックスを持っていました。ひどいときは「自分だけ外国語を話しているのか」と感じたほど通じない経験があったからです。

さらには30歳の時にうつ病を発症し、かつては「アスペルガー」とも呼ばれていたASD(自閉症スペクトラム)と診断を受けました。コミュニケーションが苦手なのは、自分の障害による原因もあることが分かったのです。

これらの事情から対話におけるコンプレックス解消のために、精神科デイケアと地域のイベントにてSSTを受けたことがあります。

今回は筆者がこの2か所で実際にSSTを受けて感じたことを伝えします。まず、筆者がSSTを受けるに至った「会話で不安に感じやすいこと」をご紹介します。

参照:SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは|吉祥寺病院

大人のアスペルガーが会話で感じやすい不安なこと

不安が大きく悩む障害者

対人不安で、相手の反応が怖い

元々人の表情や語尾には敏感で、嫌な反応をされることに不安を感じていました。何か変だなということは感じても、雰囲気が読めないことと感情表現が苦手で相手の感情について理解することができないために苦しみます。

そのため、人と接することを避けがちでした。うつ病を発症してからはさらに不安が高まり、会話が通じる自信は完全に失っていました。

雑談など、先の見えにくい話ができない

会議や打ち合わせなど、あらかじめテーマが決まっている話や、本質的な話にはあまり苦手意識がありません。それははじめから会話の流れが見えていることが多いからです。

しかし、雑談は最初の段階でどこに向かうかはわかりません。さらに、何のために話すのか意味を見つけることも難しいです。このような曖昧な物事への判断が苦手なため、会話に不安を感じていました。

職場でも雑談ができないために、その先の本質的な話をさせてもらえないケースもあったのです。このような事態から「うまく話せない」と自分自身で思い込んでしまいました。

話し方が合っているかどうか、基準が分からない

アスペルガー(ASD)は基準や決まりに忠実なことが多いです。筆者も同様で、根拠のない曖昧な物事を信じるのが苦手なためについルールを求めてしまいます。

さらに会話での失敗体験を引きずっていたため、「正解」を求める癖がありました。このような不安から話しながらも「間違っていないかな、合っているかな…」と気になるケースが多かったです。

どうして不快にさせてしまうのか、ポイントが分からない

自分の発言で「そんな言い方ないでしょ」など言われることがありました。しかしどうして不快にさせたのか、会話のどこのポイントがいけなかったのかがわかりません。相手に確認しても、まともに答えてくれることはありませんでした。

そのため、いつまでも自分の話し方を修正することができなかったのです。

関連記事:【ASD、アスペルガー】話し方がきついと言われる方の会話のコツ3つ

「実戦」「本番」の中で会話スキルを身につけられなかった

これらの悩みがあり、職場などの「実戦」「本番」である環境で会話スキルを身につけることはできませんでした。さらにはうつ病で会話への自信を無くしていた状態です。この問題を解決させるために調べた結果、SSTの存在を知りました。

【ASD】学びやすいと感じた、SSTのメリット

働くことや障害を活かすSSTについてアドバイスする女性

双方、悪口を言わない決まりになっている

SSTは会話の中で問題点を出していきますが、悪口を言わないことが決まりになっています。これを事前に知っていることで、話す前の緊張が緩和されました。

あらかじめ話題やシチュエーションが決まっている

SSTは、事前に自分が改善したいシチュエーションを想定して会話の練習をします。そのためどんな展開になるかは事前に知っています。会話の道筋が決まっているため、何を話せばよいか分からない不安はありませんでした。

医療機関などの施設であれば、プロの支援がある

医療機関の精神科デイケアでは、「プロ」であるケースワーカーの方がいます。分からないことは聞くことができる安心感があり、落ち着いて取り組むことができました。

何度も同じ設定で練習することができる

普段の会話は、ほとんどが同じ展開になることはありません。したがって話し方に問題があっても修正点を見つけることが難しいです。

しかしSSTは、苦手な想定を何度も直すことができます。よって言い方を修正できることはもちろん、「やり直しができる」という事実だけでも大きな安心感がありました。

SSTで、会話の自信を取り戻すことにつながった

SSTを行ったことで、会話の「基礎」を身につけることができました。雑談のスキルはまだありませんが、そもそもの「会話への不安」が解消されているため、前よりも雑談に参加できるようになっています。

そののちに再就職した際の職場での会話で、SSTは大きな効果を感じました。

参照:ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)のご紹介:大阪府

SSTは、就労移行支援や就労継続支援でも受けることができる

SSTで職場や就労移行支援事業所で快適に過ごす社員

筆者は主に医療機関の精神科デイケアでSSTを受けました。

現在は、就労移行支援や就労継続支援でも受けられる事業所があります。「不安や緊張で話すことができない」「話が噛み合わなくて困っている…」という悩みを持っていたら、ぜひ就労移行支援事業所や就労継続支援事業所に相談してみましょう。

どこの事業所に行けばよいの?と迷ったら、Salad編集部までご相談ください。あなたのニーズにマッチした事業所探しのお手伝いをさせていただきます。

Salad編集部が取材した就労移行支援事業所一覧
関連記事:就労移行支援と就労継続支援A型・B型の違いとは?ポイントを解説

まとめ

SSTで希望を持てる社会へ

いかがでしたでしょうか。

今振り返ると、緊張しているからこそ思うように話せない、不安が強いからこそ意図せず不快な言葉を選んでしまうケースが多かったと感じています。話し方の前に、そもそもうまく「会話の土俵」に上がれていない状態でした。

SSTは、このような根本的な「会話への自信」を高めてくれました。もし人との会話に自信を失っているのであれば、ぜひSSTを検討してみてはいかがでしょうか。

【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。同時にHSPの性質も強い。子供のころから一人行動が多く、会話をすることが苦手だった。障害に気づくまでは「話せないのは会話をサボってきたから」という友人の発言を受け、自分を責めていた。

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