『SST』とは?精神障害などで話し方に不安を感じる場合に効果的!

SSTとは?

SSTを受けている障害を持つ方

SSTとは

「SST」とはSocial Skills Training(ソーシャル・スキルズ・トレーニング)の頭文字を取った略称で、「社会生活技能訓練」といいます(「生活技能訓練とも呼ばれる」)。主に対話を通じて、社会生活を行う自信をつけていくトレーニングです。

考え方や思考のくせを見つけ改善する認知行動療法と社会学習理論をもとにした支援方法の一つで、現在様々な施設で取り入れられています。

SSTの目的は主に精神障害や発達障害を持つ方が、社会生活の中で対人関係を良好に維持する機能を身につけることです。しかし対象者は障害を持つ方に限らず、どんな方にも適応できる内容となっています。

したがってSSTは、職場などのコミュニケーションに困った際に効果的なトレーニングと言えます。では、SSTとはどのようなトレーニングをしていくのでしょうか。主な流れをご紹介しましょう。

参考:講座 精神障害者のSST|公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 情報センター

SSTの主なトレーニングの流れ

障害を持ちトレーニングすることについて議論している男性二人

① まずはウォーミングアップ。会話しやすくなるゲームなどを行う

運動もいきなり始めてしまうとケガをしやすいですよね。そのためウォーミングアップを行って運動しやすい状態に仕上げます。

会話にあっても、準備運動が大切です。SSTでも本題に入る前に、みんなで遊べるゲーム(トランプをはじめとするカードゲームなど)を行う作業がスタートです。

ゲームの中で自然と会話が生まれます。そうしてトレーニングを行う準備をしていくのです。

② どんな(対話の)練習をするか決める

ウォーミングアップが終わったら、本題のトレーニングに入ります。まず、どんな対話のトレーニングをしたいかを考えます。

練習内容を決めるヒントとして、
・どんな話し方ができるようになりたいか。
・どんな場面での会話を苦手に感じるか。
・どういった考え方の「くせ」を直したいか。

を軸に考えていくことで、効果的なトレーニングになっていきます。

何を練習したらよいか分からない場合は、SSTの支援をするスタッフ(ケースワーカーなど)に相談してみましょう。

③ 実際に想定したシチュエーションにもとづいて練習してみる

SSTはケースワーカーの方などのスタッフの支援のもと、同じようにSSTに参加しているメンバー同士で行うものです。

②で考えた練習内容をもとに自身はもちろん、他のメンバーの方にどんな役をしてもらうか「役割」を決めていきます(上司役など。これを『ロールプレイ』といいます)。

役割が決まったら、あらかじめ作った想定に基づいて練習していきます。

④ 良かったところを褒め合う

「練習して間違えたら怒られないかな…」「変なこと言われないかな…?」そのような不安を感じたかもしれません。でも、安心してください。

SSTでは、お互いの悪いところではなく、良いところを探して褒め合うことを大切にしています。練習したのち、相手役の方の良かった点はどんなことかを考え、伝えていくのです。

これにより客観的に物事を見られようになる思考や、自己肯定感を強めるきっかけを見つけていきます。

⑤ 『③と④』を繰り返す

お互いを褒め合ったのち、次は「もっと良くしていくにはどうすればよいか」を考えていきます。改善できそうな提案ができたら、その提案にもとづいて再度練習をしていくのです。これを繰り返すことで、自信をつけながら少しずつ良い方法を見つけ出していくのです。

参考:厚生労働省 表1:2009年度「ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)―ひとりで生活するために知っておく必要があること―」の参加者の声

さて、このSSTですが、どのようなところで受けられるのでしょうか。

SSTはどこで受けられるの?

就労移行支援事業所で快適に過ごす男女

精神科などの医療機関

SSTが受けられる場所の一つが、精神科などの医療機関です。医療機関に精神科デイケアが設置されている場合、プログラムの中にSSTが含まれていることがあります。かかりつけの病院にデイケアがなく、デイケアのみ別の病院に行くというケースもあるでしょう。

トレーニングの時期やカリキュラム、支援内容などは病院によって様々です。参加したい場合は、デイケアを受けたい医療機関に相談してみましょう。

関連記事:【体験談】精神科デイケアに通う効果~復職後活かせたスキルとは

自立訓練事業所

自立訓練事業所とは、知的障害や精神障害などを持つ方に対して、食事など自立した日常生活を営むために必要な訓練や相談・助言などの支援を受けられる施設です。こちらでもSSTを受けられるケースがあります。

就労継続支援A型・B型事業所・就労移行支援事業所

障害福祉サービスの一環である就労継続支援・就労移行支援でも、SSTを受けられる事業所があります。

就労継続支援はA型・B型とあり、賃金を受けながら社会生活の訓練を行える施設です。また、就労移行支援は就職するための相談やスキルを磨くこと、関連の情報を得るための施設です。

詳しくは下記の関連記事を参考にしてください。

関連記事:就労移行支援事業所 利用のメリット 〜こんなお悩みの方に知って欲しい〜
関連記事:就労移行支援と就労継続支援A型・B型の違いとは?ポイントを解説

その他の施設

その他、現在では学校の学習項目として行われているケースや、企業の社員教育の一環としてSSTを取り入れているケースもあります。

参考:精神科デイケアの利用について 東京都福祉保健局

就労移行支援でSSTを希望する場合は、Saladにご相談ください

さて、職場などでコミュニケーションがうまくいかず、「仕事を辞めてしまった」「再就職が怖い」という方も多いのではないでしょうか。さらにはSSTを受けたくても、どこに行けばよいのか分からないこともあるかもしれません。

そんな時は、ぜひSaladにご相談ください。

Saladでは、就労移行支援事業所の紹介を行っております。中には実際に取材にお邪魔し支援内容や所内の雰囲気をお聞きした事業所もあります。こちらに取材しました事業所をご紹介しておりますので、参考としてください。

その他「どうやって探せばよいの?」「どういった事業所がいいの?」など迷っているときはSalad編集部までご相談ください。

参考:就労移行支援について – 厚生労働省

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まとめ

人生を健やかに歩む人間の一生

いかがでしたでしょうか。

SSTは、障害を持たない方でも参加することができる訓練です。また医療機関や支援施設だけでなく、レクリエーションのイベントや交流イベントなどでSSTを取り入れていることもあります。

それだけ会話が大切なことということであり、会話に困っている方が多いということでもあるのではないでしょうか。

筆者もSSTの経験がありますが、堅苦しい雰囲気や重苦しい雰囲気はありませんでした。SSTは、そのように肩の力を抜いてリラックスして行えるものです。ですから精神障害などでうまく話せない、会話する自信を無くしている…という方はぜひ参加を検討してみてはいかがでしょうか。

【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。30歳のときにうつ病を発症し、コミュニケーションに対する自信を完全に失った時期がある。以降、かかりつけの病院のデイケアや外部のイベントに参加してSSTを受けた経験がある。

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