怒られた時に笑うひとがいる
発達障害は、特性ごとにコミュニケーションの悩みがある
発達障害には、主にADHD(注意欠如・多動性障害)、「アスペルガー」とも呼ばれていたASD(自閉症スペクトラム)などがあります。
それぞれ異なった障害特性を持っていますが、共に対人関係やコミュニケーションに悩みを抱えるケースが多いです。
怒られた・指摘されたときの反応で、誤解されてしまうことがある
そのため、職場でもあらゆるコミュニケーションの場で相手を誤解させてしまうケースがあります。その中でも「怒られたときの反応」に関して誤解されてしまうことがあるのです。
相手は怒っているのに、
・ニヤニヤしている
・面白いことだと勘違いして笑ってしまう
・笑顔を見せてしまう
このように「笑う」反応を見せることで、相手をさらに怒らせてしまう問題になってしまうのです。
今回は、
○発達障害を持つ方が、どうして怒られたときに笑ってしまうのか
○怒られたときに適切な反応をするにはどうすればよいのか
について紹介します。
【大人の発達障害】職場で怒られた時に笑う理由
①相手が怒っていることに気づいていない
怒る行動の中にもさまざまな種類があるのではないでしょうか。怒鳴りつけるような怒り方をするケースもあれば、くどくど説教をしていくケースもあるでしょう。しかし、このようなケースであれば発達障害を持つ方でも怒られていることに気づきます。
問題は会話の流れで叱責に入るケースなど、『怒られた』と分かりにくいケースです。発達障害の特徴の中に「感情的に接すると傷つきやすい」ということがよく紹介されています。このような情報を得て、気を遣って優しい口調で指摘されていることで反対に気づかないというケースがあります。
相手の意思を読み取ることが苦手なケースがあるため、このようなときに正確に心情を捉えることができないときがあるのです。
関連記事:アスペルガーは真剣な話を笑う?相手の意図がわからない時の対策とは
②叱責の原因に気づかず、怒られている事態を把握していない
①のケースとは別のケースの「気づかない」ケースです。怒られているということには気づいているけれど、どうして怒られているのか理由が分からない状態です。
「過去にしたことを忘れてしまいやすい」「その場しのぎの発言をしてしまう」などから、事実を正確に捉えることが苦手なケースがあるのです。これにより「どうしてこの人怒っているんだ?」と感じて笑ってしまうことになってしまうのです。
関連記事:ADHDはその場しのぎの嘘をつく?迷惑をかけないための注意点4つ
③相手の感情から逃げる・身を守る気持ちが笑顔になってしまう
上記で触れたように、発達障害を持つ方は「怒鳴り声」など激しい感情を受け止めることが苦手なことがあります。相手は怒鳴っていなくても、「怒られた」という意識が強すぎて「攻撃された」と感じてしまうのです。
これによりそのような事実から逃げたい、身を守りたいという気持ちから「笑顔」になってしまうケースがあります。
④思考が停止していて、表情が笑顔になってしまっている
③のケースがひどくなると、「フリーズ(思考停止)」状態になってしまい、相手の言葉が全く入らなくなってしまうケースもおあります。
この「フリーズ」している時の表情がひきつった笑顔であったり、ニヤついているように見える時があります。フリーズしていると自分でどういった顔をしているか把握していないことが多いので、「笑うな!」と怒られると「どうして?」と感じるケースもあるでしょう。
関連記事:【大人の発達障害】怒られるとフリーズ…言葉が出てこない時の対策は
さて、このような行動から対人関係が悪化し仕事が続かなくなってしまうことがないように注意しなければなりません。相手の意思をつかみ、怒られていることに気づくためにどのような改善をすればよいのでしょうか。
職場で怒られた時のコミュニケーション改善のコツ
①会話のキャッチボールを心がけ、聞き漏れがないように心がける
会話の中で怒られている、指摘を受けていることに気づかないのは「会話の内容を理解しきれていない」ことが原因です。
一方的に聞き手に回っていると、話の内容を自分でかみ砕くことをしにくいです。そのため、会話のキャッチボールを心がけていきましょう。相手の話した内容に対して正しく返答しようと意識することで、相手の意図に気づきやすくなるのです。
関連記事:【アスペルガー】そもそも会話のキャッチボールとは?苦手克服のコツ
②こまめに業務状況を記録し、上司とも共有する
自分がなぜ怒られているのか事実に気づかない…というケースを防ぐために、自分が行った業務を記録しておきましょう。言われたときに気づかなかったときはその記録から辿っていくようにしていくと、気づきやすくなります。
このようなケースをさらに防ぐためには、日頃からこまめに業務状況を上司に伝えておくとよいでしょう。よりリアルタイムに近い形で会話することができれば「忘れた」というケースが減少するからです。
関連記事:【ADHD】会話による「報連相」ができないときの改善のコツ5つ
③重要な指摘等は書面など視覚情報で伝えてもらうようにお願いする
相手の感情に注目しすぎて本来の「伝えたいこと」を理解するゆとりがないこともあるでしょう。このような傾向がある場合は、事前に上司と相談し指摘等をメールなど「視覚情報」で伝えてもらうようにお願いしましょう。
視覚情報であれば何度も読み返すことができますし、相手の感情も最小限に抑えた形で受け取ることができます。
④怒られたときや、指摘をされたときの第一声は「謝罪」をする
一番大切なこととして、まずは指摘をされた・怒られたと気づいたら謝罪をしましょう。どんな事情でも「ごめんなさい」「申し訳ありません」と言えるように心がけが大切です。それが相手へ誠意を伝える一番の方法です。
事情が分からないときも「どういうことですか?」と聞く前に謝罪を伝えることがポイントです。謝罪する前に理由を聞こうとすると「内容によっては謝る気がない」と受け取られてしまうことがあるからです。
はじめは気持ちを言うことに何らかの抵抗があることがあるかもしれません。しかし相手に誤解されないためにも下記の関連記事を参考にして、伝え方を心がけていきましょう。
関連記事:【発達障害】「ありがとう」「ごめんなさい」が言えない時の対処法
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
職場で怒られることを好む人はいないのではないでしょうか。実は、怒ることを好む人もいないのです。怒ること、指摘することはエネルギーを使います。中にはそのようなうまく怒れないことで、上記の例に挙げた「遠回しな怒り方」になってしまうケースもあるのです。
そのような労力を使ってまでも怒られているということを意識して、辛い中でも向き合っていきましょう。