後先を考えず、その場しのぎの言動をしてしまう

物事を持続・管理することが苦手
ADHD(注意欠如・多動性障害)は、注意や集中のコントロールに苦しみやすい発達障害です。
一つの物事を続けることや、同じ場所にじっとしていることが苦手なことで困難を感じます。そのため、周囲から「落ち着きがない」と思われることが多いです。
落ち着きのなさゆえに、その場しのぎの言動になることがある
その落ち着きのなさが発言に出てしまうと、「今だけ何とかやり過ごせればよい」という発想になりやすくなってしまいます。常に落ち着きなく、バタバタしていることで一つ一つの行動に「重み」がなくなってしまうのです。
これにより、発言も「その場しのぎ」になることが多くなります。
では、ADHDを持つ方がどうして「その場しのぎ」になりやすいのか。原因を見ていきましょう。
【ADHD】その場しのぎの言動になる原因

計画性がなく、意思がぶれやすい
ADHDを持つ方は、「事前に計画したとおりに動く」ことが苦手です。その場で気が付いた通りに動きたいために、計画性がない傾向があります。
これが仕事になると、「昨日言ったことが今日既にもう変わっている」というケースが増えるでしょう。
意思がぶれやすく、発言に一貫性がないことで「嘘つき」と思われることがあるかもしれません。
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今の状況をやり過ごしたい気持ちが強い
「次の仕事が気になるから、早くそっちに移りたい」「仕事にあふれていて、混乱している」というときに話しかけられると、どんな気持ちになりますか?相手の都合や先々のことを意識せず、「とりあえずやり過ごしておこう」という意識が強い場合、その場しのぎの言動が多くなっているおそれがあります。
確かにその時は面倒かもしれません。しかしこの「その場しのぎ発言」を覚えておらず、後で覆すような事態を招くことが多いです。
この覆り方が激しいと、「嘘つき」と思われるケースが出てきます。
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過去の発言を覚えておらず、常に思い付いたまま話している
物忘れが激しく、自分の発言を記録していないことで誤解させているかもしれません。
常に「その時に思ったこと」を話すことで、発言に一貫性がなくなります。悪気がなくても、時には矛盾した依頼や指示になる『ダブルバインド』として、相手を苦しめてしまう危険性もあるのです。
理由があっても、考えを変えた旨を伝えることをしない
業務や周囲の事情などから理由があって、「前言撤回」しなくてはならないタイミングも出てくるでしょう。このときに「前にどう言ったのか」を省いて、そのまま伝えてしまっていませんか?
相手は前の指示や依頼通り動いてくれていて、今回の言葉で大きく路線変更しなくてはならないこともあり得ます。そのような事態を考えず「当たり前」のように言ってしまうことで「発言に責任がない人」と思われてしまいます。
その場しのぎの言動を繰り返すと、嘘をつく結果になることも

自覚なくして失言しているおそれがある
このようにその場その場で思いついたことを言っていると、発言の管理がしにくくなります。当然、何を言ったのか覚えることも難しくなるのです。一貫した意思や目的なく発言していると、知らない間に相手を傷つける「失言」になっているかもしれません。
また失言したことに気づきにくいですから、「そんなこと言っていない」と平気で言えてしまうおそれがあるのです。
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繰り返すことで、知らない間に虚言癖に発展することもある
このようなことを一回や二回くらい話してしまっても、相手は「余裕がなかったのかな」と受け入れてくれるかもしれません。
しかし、これが毎回のように続いていたらどうでしょうか。「あの人は発言がコロコロ変わるから信用できない」と、周囲からの信頼もなくなっていきます。
その発言の変わりようが激しければ「虚言癖」のように映る可能性もあるのです。
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では、そのような事態を防ぐために注意することには、どのようなものがあるのでしょうか。
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職場で『嘘をつく』事態にならないための注意点

①業務などは、決められた手順通りに行う
その場しのぎになるのは、行動に一貫性がなく思い付きで行っているケースに多いです。これを防ぐために、業務の手順をしっかりと定めて行うようにしましょう。
常に一定のペースで行うことは「縛られている感覚」に苦しむかもしれません。しかし、作業ペースをシンプルにすることで、周囲にもわかりやすくなります。自分自身も覚えやすくなり、発言の一貫性を保ちやすくなるのです。
また、報告や相談のタイミングも一定すれば、さらに分かりやすくなります。
②指示がない限り、一度に複数の業務を行わない
沢山の業務を一度に行っている状態は、「気が散る」ことに過敏なことが多いのではないでしょうか。このような状態の時に話しかけられると、「邪魔をどかしたい」ためにいい加減な対応でやり過ごす…という事態を起こしやすくなります。
常に相手を受け入れられる「ゆとり」を作れるよう、一度に多くの作業を行わないよう注意しましょう。
③定期的に進捗状況を伝える
業務開始と業務完了だけ共有していると、変更点があった時に与えるショックが大きいです。
ですから始めと終わりの報告に加えて、作業途中の状況を伝えていきましょう。こまめに伝えることで、変わったことも小さく・すぐに伝えやすくなるのです。
④不安であれば、『前と変わっているかも知れない』旨を加えて伝える
相手に伝えるとき、「前に何か言ったかな…」と不安なときがあるかもしれません。そのようなときは『前と発言が変わっているかもしれませんが…』や『二転三転してしまって申し訳ありません…』と前置きを加えましょう。
実際に発言が変わったかどうかの事実は別としてください。相手への「混乱させてしまうかもしれない」という気遣いだけでも、伝わり方が大きく変わるのです。
業務整理が追い付かず苦しいときは、上司に相談しよう

場合によっては、今回のような「自分で業務をコントロールできる」状態ではないかも知れません。前のことを覚えきれないくらいにたくさんの仕事に追われていませんか?このような状態であれば、その場しのぎの対応になっていても、改善は難しいでしょう。
無理に対処しようとすると、適応障害になってしまうおそれもあります。
ですからこのような状況に悩んでいたら、一度上司に相談してみましょう。相談の仕方で分からないことがある場合はこちらの記事「【大人のADHD】仕事で辛い悩みを相談できない…原因と打開策4つ」を参考にしてみてください。
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まとめ

いかがでしたでしょうか。
その場しのぎになればなるほど、言い方がきつくなりやすいです。心に余裕がないと発言や行動で相手を傷つけるリスクが高くなることを覚えておきましょう。
「悩みの種が上司なのですが…」など、相談相手に迷っていたら、Salad編集部までお声かけ下さい。