発達障害は個性?
発達障害は個性だと訴えられているが、まだ浸透していない
発達障害は先天的な脳機能の障害です。近年になって、メディアなどで取り上げられるようにもなりました。根本的な感覚の違いにより、周囲とのコミュニケーションや仕事、日常生活などあらゆる場面で困難を感じています。
これまではそれを「修正すべきもの」として、適応させていくことを重きとしてきました。
その中で、「発達障害は個性である」という考えも生まれてきています。しかし、実際には「出来ないところをどう補うか」に焦点が当てられているのが現状ではないでしょうか。障害を「違い」として受け入れ個性を伸ばすまでには、浸透していません。
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そのような状態の中で、新しい考え方が出てきています。
脳にも多様化が進む!『ニューロダイバーシティ』とは?
ダイバーシティの幅が広がっている
「ダイバーシティ」とは、多様化という意味です。ここ最近では働き方の多様化として多く使われるようになりました。その多様化が様々な分野に広まってきているのです。
その一つに『ニューロダイバーシティ』が出てきています。
ニューロダイバーシティとは?
ニューロダイバーシティとは「ニューロロジカル(=神経学的)」と「ダイバーシティ」を組み合わせた、主に教育や障害に対して多様化を進めていこうという考え方です。「脳の多様化」「神経の多様化」とも言われています。
精神障害や発達障害などの神経学的差異(脳神経の感覚の違い)を「病気」や「障害」と問題視するのではなく、社会的なカテゴリの一つとして考えていこうという訴えなのです。
だからこそニューロダイバーシティの考えが浸透した場合、発達障害をより個性として捉えていく時代が来るかもしれません。
脳の多様化は、発達障害に深い関わりがある
ですからニューロダイバーシティが浸透すれば、発達障害を持つ方の生活や仕事面においての「価値観」が変わる可能性があります。
実際に「脳の多様化」が進んだとしたら、発達障害を持つ方の生活にどのような変化が予想されるのでしょうか。
ニューロダイバーシティが浸透すると変わるもの
感覚の違いに対する考え方
これまで、「ADHD(注意欠如・多動性障害)は落ち着きがない」「ASD(自閉症スペクトラム)は頑固だ」と言われてきた方も多いのではないでしょうか。
これまでは、「『普通(俗にいう定型や健常)』と違う」という見られ方を多くされてきました。それぞれの感覚の違いを「間違い」と捉え、「『普通』に適応させよう」という取り組みが中心だったのではないでしょうか。
ニューロダイバーシティが浸透すれば、発達障害の感覚に対して「それは間違っている、普通はそうしない」が、「その捉え方も『アリ』だよね」と受け取られる機会が増えるのです。
自己主張、自己表現に対する考え方
発達障害が本来受ける感覚や考え方が「間違い」ではなく「違い」となることで、素直な感覚を表現することもしやすくなります。
それまで「普通は、他の人はこんな考えはしないから遠慮しておこう」と思っていたものも、自由に表現しやすくなるのではないでしょうか。
特性への治療に対しての考え方
これまで発達障害が持つ感覚の違いを、障害を持たない「定型」の感覚に近づけるための治療やアドバイスなどの取り組みを行ってきました。
これまでは服薬により集中力を高めたり、他者との感覚のズレを「修正」したりしてきたわけです。
しかしこれもニューロダイバーシティが浸透すれば、本人の環境の中で困難を感じなければ「正す」必要がなくなります。ですから自分の意思で服薬や治療との付き合い方を選べるということになるかもしれません。
生き方や働き方に対しての考え方
これまでの働き方のメインは「現状の環境にいかに適応させていくか」ということでした。障害者雇用の社員への合理的配慮などもこれに当たることが多いです。
ニューロダイバーシティが浸透した場合、「合わない環境にいかに合わせるか」ではなく、「いかに自分に合う環境を探すか」という方法がメインになるでしょう。
さて、ここまではニューロダイバーシティが浸透した場合に発達障害の価値観がどう改善されるか?ということについてお伝えしました。しかし、もしニューロダイバーシティが浸透したら注意しなければならないこともあります。
ニューロダイバーシティでの注意点
基準や統一見解が少なくなり、臨機応変な考え方が増える可能性がある
これまで「それは間違っている」というものも、「そういう考え方もアリだ」というケースが増える、とお伝えしました。これはあなたが受け入れられることが増えるだけでなく、あなたが「受け入れなければいけない」ことも増えるということです。
多様化が進めば、統一見解を見出すことが難しくなるでしょう。ですから「人それぞれ」が増えていきます。その人に応じた臨機応変な対応、柔軟な考え方が求められるかもしれません。
『個性』と、配慮を受けるべく『障害』の区分けが必要
これまでは、他の方と違うところを「障害」や「自分の特徴」として企業に伝えてきたこともあるのではないでしょうか。しかし、ニューロダイバーシティが浸透したら「問題」ではなくなる特性も出てくるのです。
ですからより自分の生活の中で「何が得意なのか」「何に困難を感じるか」を明確にしなければなりません。
より、「困難を感じるものが障害」という意味合いが強くなるため、しっかりと「個性」との区分けしておかなければなりません。
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他者との違いを受け入れる必要が増える
価値観や感覚のズレにも多様化が進むわけです。これまでは「あいつ頑固な奴だな」「そこまでこだわる必要はないでしょ!」と感じていたところがあったとしましょう。
周囲へ明らかな迷惑をかけていない限り、それも「個性」として、「違い」として受け入れていかなければいけない機会が増えます。
「みんなと違うからダメ」という考えが「タブー」になるのです。
苦手なことのカバー方法より、活かし方を考える必要がある
多様化が進めば、いかに自分に合う環境を探せるかが大切になってくるとお伝えしました。そのため、苦手をカバーしてもらう『配慮の受け方』より、『今ある自分の活かし方』が大切になってきます。
活かし方を知るには、もっと「自分が何者なのか」を知る必要があります。自分の「個性」に責任を持ち、活かせる環境を考えていく機会が多くなるでしょう。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
ニューロダイバーシティは、今後発達障害の価値観を大きく変えるかもしれません。新しく来る時代のために、もう一度自分自身について考え直してみるのもよいのではないでしょうか。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。