複業、パラレルワークとはどんなもの?
「複業」「パラレルワーク」とは?
「複業」とは、いくつかの仕事を「並行して」行うことをいいます。必ずしも仕事が2つとは限りません。
一方で「パラレルワーク」も、さまざまな仕事を「平行して」行うことをいいます。
働き方改革で多様なワークスタイルが生まれてきました。どちらもその中で「パラレルキャリア」とも呼ばれ、世間で話題になっています。
複業とパラレルワークに違いはほとんどない
複業もパラレルワークも、どちらも「仕事の優先順位を決めない」「ひとつの仕事に依存しない」という点で共通しています。よって2つの違いはほとんどありません。
したがって、順位の存在する「副業(と本業)」とは異なります。
発達障害でも、複業やパラレルワークはできるの?
ADHD(注意欠如・多動性障害)や ASD(自閉症スペクトラム) などをはじめとする発達障害を持つ方も、もちろん複業やパラレルワークを行うことができます。
しかしながら、発達障害の特性上複数の仕事を持つリスクがあります。
【発達障害】複業・パラレルワークをするリスク
健康管理が難しくなる
仕事が増えるわけですから、働く時間も増えます。さらに業務を覚える、職場に慣れるなどの作業も増えることになります。
心身ともに疲労がたまりやすくなり、健康管理が難しくなります。
時間の管理が難しくなる
仕事が増えれば、空き時間も減ります。さらに片方の仕事に時間を要しすぎて、もう一方の仕事に手が回らなくなるなどのリスクがあります。
また、休む時間の確保も考慮しなくてはなりません。与えられた時間のなかで業務を割り振る管理が求められます。
スケジュール管理が難しくなる
仕事を複数持てば、スケジュールは倍増します。しかも全く別の仕事な訳ですから、整理できずに仕事や約束の漏れがあった、では済まされません。
意識していないといけない、注意を向けないといけない物事や時間が増えます。
意識が一方の仕事に偏りやすい
発達障害の特性上、気になり始めるとのめり込んでしまうおそれがあります。
確かに、これが集中力として成果に反映されることもあります。しかし複数の仕事をこなす場合、片方の仕事を放置してまで集中してしまうリスクがあります。
結果的に一つの仕事が崩れたことをきっかけに、全ての業務が崩れてしまいやすいこともあります。発達障害を持つ方が複数の仕事を持つことには、このようなリスクが伴います。
これらの課題をクリアして複業やパラレルワークをするためには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。
複業・パラレルワークをするために必要なこと
1)生活リズムを整えるスキル
複数の仕事を行う集中力を維持するためには、健康管理が大切です。
仕事の多忙さや情報整理に追われて生活リズムが崩れやすいです。このような状況でも安定した生活リズムを保ち、健康管理を行うスキルが必要です。
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2)時間の管理を行うスキル
一日は、24時間しかありません。いくつ仕事を持っていても、これは平等なのです。
ですから、多くの仕事を持てば持つほど、綿密な時間管理のスキルが必要になります。
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3)スケジュール・行動を管理するスキル
仕事を多く持てば、行う業務が増えます。それだけ業務の進捗状況ができないと、私生活を含む全てがおろそかになってしまいます。具体的には、
○いつ、どの仕事の何の業務を行うか(予定)
○いつ、どの仕事の何の業務を行ったか(結果や経過)。
○連絡ややり取りの内容(約束なども含む)
などを正確に把握するスキルが求められます。
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4)業務バランスを保つスキル
複業もパラレルワークも、全ての仕事に偏りなく行わなければなりません。優先順位が存在する「本業・副業」とは異なり、持つ仕事全てが「本業」なのです。
したがって業務の質や量はもちろん、意識や目標などの精神的な部分も含めて、常にバランスを保たなければなりません。
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5)情報を管理するスキル
複数の仕事を持つことは、内部情報も複数持つということです。
情報漏えいのリスクが高まることはもちろん、仕事同士で内部情報を混同させないよう管理が必要です。
○仕事ごとに使用端末やデータの保存フォルダを分ける。
○SNSのアカウントなど、誤った投稿をしないように注意する。
など、徹底した情報管理スキルが求められます。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
仕事はいくつ持つ場合でも、一つ一つの仕事の価値は同じでなければなりません。複数の仕事を持つ分、発達障害の弱みへの対処法や強みの活かし方の工夫も増えていきます。
複業・パラレルワークをしていくうえで、さらなる自己理解が大切になってきます。今後「自立のために収入を上げたい」「働きながら自分の夢についても進めたい」という方は、事前にリスクを防ぐために自己理解を深めていきましょう。