【体験談】発達障害を持つ方が苦手な『マルチタスク』の困難解消法

発達障害を持つ方は、苦手なマルチタスクに苦しんでいる。

職場への配慮事項に書いている方も多いのでは

あなたは、「職場への配慮事項」として、苦手なことに何を書いていますか?

さまざまな特徴があると思います。中でも「マルチタスクができない」を挙げる方が多いのではないでしょうか。

できないと伝えても、マルチタスクを求められる

「企業に『マルチタスクはできません』と伝えている。それなのに一度に複数のことを求められる…」このようなことはありませんか?

確かに伝えているはずなのに、どうしてマルチタスクを求められるのでしょうか?

同時に作業を行うだけが、マルチタスクではない

「マルチタスク」というと、「仕事を進めつつ、同時に別の仕事をする」「話を聞きながらメモを取る」など、複数の作業を同時に行うことをイメージする方が多いのではないでしょうか。しかし、実際にはさまざまな種類があります。筆者が体験し苦しんだ、様々なマルチタスクを紹介します。

【体験談】苦しんだマルチタスクの主な種類

1)作業のマルチタスク

何かを行いながら他の作業も同時に行う方法です。障害の有無を問わず、「マルチタスク」と聞いて多くの方が思い浮かぶのが、こちらではないでしょうか。

しかしこのマルチタスクは、業務自体に慣れればできてくる方もいます。筆者もそうでした。そのため、周囲から「もうマルチタスクに関しては問題がないのかな」と誤解されやすいです。

2)意識のマルチタスク

一度に複数のことを気にかけられない、集中力の分散ができないケースです。「仕事をしながら雑談ができない。どちらかになってしまう。」などが挙がります。

筆者はこの種類のマルチタスクが苦手です。仕事をするときは雑談をする気にはなりません。そのため、周りからは「頑固な人」と言われやすく、「人間が嫌いなのかな…?」と誤解されやすいです。

ただし、休憩時間では普通に話します。むしろ冗談を言うこともあるので、よく周囲に「何を考えているか分からない」と言われていました。

3)目的・方向性のマルチタスク

今後何をするべきか、目的や方向性の複数同時進行が苦手なケースです。

筆者はこのマルチタスクも苦手です。

例えば就職活動ですと、より早く、より確実に就職するには一社ずつ応募しているようでは非効率的です。そのため、本来ならば一度に複数の企業に応募する方法を取るのがベストです。

就職活動の経験がある方であれば、ほとんどの方がこの方法をとるはずです。しかし、筆者は「道」が複数あると集中力をどう振り分けたらよいか分からず、混乱してしまいます。よって今回の就職活動では、就労移行支援のスタッフの方と相談して「できる限り一社ずつ受けていく」形を取っていました。

筆者はこの、3つのマルチタスクに苦しみました。さらにこの3つのマルチタスクも、人の受け取り方で変わってきます。

苦手なものほど、「マルチタスク」と感じやすい。

【体験事例】苦手な人と得意な人の作業の感じ方

例えば、筆者は車の運転が大の苦手です。

筆者にとっては、
○ハンドル操作(手)
○アクセル・ブレーキ操作(足)
○ウィンカーやライトのスイッチ(手)
○数ヵ所の安全確認(目)
○エアコンの調整(目と手)
○踏切で電車の音を聞く(耳)
○車幅感覚(目など)
○危険予測(意識)
○地理や移動場所(目的・方向性)
これらを全て「別なもの」として考えているため、同時に行うことは「マルチタスクである」と考えます。

しかし、車の運転が得意な方には「車を運転して移動する」の一連の流れで行えます。そのため「マルチタスクではない」と感じています。

マルチタスクの見方は人それぞれ

このように、得意・不得意によって「マルチタスク」の価値観も、人それぞれに変わります。苦手なものほど細部に注目してしまい、ひとつの本質につなぎにくいです。

「話を聞きながらメモを取る」ことに苦しむ方の気持ちが周囲に理解されにくいのも、この違いからではないでしょうか。

これだけマルチタスクが複雑に存在するなかで、どのように対処していけば良いのでしょうか?以降、筆者が取り組んだ「マルチタスクのヒント」をお伝えします。

苦手な『マルチタスク』の困難解消法

何を同時にできないか、具体的に伝える。

上司への配慮事項として伝える際には、
○『何』と『何』を同時にできないのか。
○どんなとき・どんなことに『一点集中』したいのか。

を具体的に伝えましょう。

『同時に複数の作業を行うことはできますが、指示を同時に2つ以上受けると混乱します。』
『自分のペースで行う作業は複数同時でもできます。ただし、話を聞きながらなど他の方のペースが関わると難しくなります。』
などと伝えると分かりやすいです。

行う作業の所要時間、労力を把握する

どんなに優秀でも、一度に全ての作業を全力でできる人はいません。もっと言えば、本当に同時に複数の作業をしている人もいません。

では、「マルチタスクができる人」とはどうしているのでしょう?
答えは、「作業ごとの労力を計算して、合計で100パーセント以内になるように作業をしている」です。分かりやすく例を挙げて説明しましょう。

【マルチタスクができる人の動きを見ると…】
○メイン業務の表入力を進めながら、封筒に会社名のスタンプを押している。
○データのチェックをしながら、書類のラベルを作成している。
のように、片一方に比較的簡単な作業を行っています。

こうすることで「雑務のために使う時間」を別の業務に使えて、業務がよりスムーズに進みます。あなたがどれくらいのボリュームをできるのかに、作業を当てはめていく感覚です。

視覚・聴覚の得意・不得意を把握する

「音楽を聴きながらスマートフォンを見る」ということはありませんか?「ラジオを聞きながら本を読む」も同じです。

実はほとんどの方が日常生活のなかで、 多くの方が既に「マルチタスク」をこなしているのです。

仕事のなかで情報を得るのは主に目(視覚)からか、耳(聴覚)からです(※一部触覚もあります)。あなたがどちらの感覚から情報を得るのが得意なのか。または両方苦手の場合にカバーする方法があるかを考えると、混乱しにくくなります。

【「相手の話をメモする」での例】
〇「聞きながら書く」が苦手でも、「見ながら書く」ことはできる。
→メールやメモなど、視覚情報での指示をお願いする。

〇「聞きながら書く」ことも苦手。「見ながら書く」こともうまくできない。
→ボイスレコーダーやスマートフォンのボイス録音機能などで、何度も指示を聞いてやってみる。
など、工夫をしていきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

マルチタスクができる人を見ていると、自分には無理かな・・と感じやすいです。しかし、マルチタスクの仕組みを知れば、あなたも混乱せずに業務ができるようになるかもしれません。

【筆者紹介】
30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。過去に2ヶ所の職場を経験しているが、うつ症状がみられたときにマルチタスクに苦しんだ。