【体験談】ミスを減らす工夫~発達障害を持つ方が仕事を続けるヒント

不安をなくせば仕事のミスは減る。「安心」を増やす工夫をしよう。

(筆者紹介)
30代男性。大人になってから発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)と診断されている。

公務員として10年間勤務、うつ病を経験し民間企業の障害者枠の事務職として4年間勤務。以前勤務していた民間企業では、臨機応変な対応を求められる電話応対が苦手だった。しかし当時いた会社ではメールは普及しておらず、単独で業務を行っていたため、電話を利用しないといけない機会があった。現在は就労移行支援に1年通所の末、在宅勤務の仕事に就くことができた。

発達障害を持つ方は、体調キープが難しい環境に置かれている

発達障害を持つ方は、仕事を長く続けることに苦しんでいます。

その大きな理由として、体調キープが難しいことが挙げられます。感覚が過敏なことや、うまく自分の気持ちが表現できないなど、辛い気持ちを感じていませんか?

他の障害を持たない方と比べて、苦手なことが目立ってしまう・・。しかも、他の方から「なんでそんなこともできないの?」と受け入れてもらえない・・。こんな状況では、あなたも「頑張りにくい」ですよね。辛い状況で仕事を続けることは、障害の有無問わず難しいことです。

参考:障害者職業総合センター研究部門 発達障害者の職業生活への満足度と職場の実態に関する調査研究(平成27年)
参考:障害者職業総合センター研究部門 障害者の就業状況等に関する調査研究(平成29年)

苦手なことを意識し続けるだけで、心身に負担がかかる

苦手なことを意識し続けることで、ストレスを感じていませんか?同じことをしていても、常に障害を持たない方よりも負担がかかっています。あなたにとって不利な環境で、ミスを繰り返して自信をなくしていませんか?

今回は、そんなあなたが仕事を続けるためのヒント「ミスを減らす工夫」をご紹介します。実際に発達障害を持つ筆者が苦手な、電話対応をするために行った工夫をお伝えします。

【発達障害を持つ筆者体験談】仕事でミスをした苦手な業務:電話対応

苦手な理由

【ASD(自閉症スペクトラム)の特性】
○電話の相手や用件が、取る前に明確にならないと不安になるため。
(Aさんから来た場合はこう対応、Bさんの時はこう対応して…と、事前に自分の中でシミュレーションして混乱する)
○他の方に相談しても、「電話を取ってから考えればいいじゃない」と言われて、理解されない。
○耳から聞いたことを、自分の中で処理することが苦手なため。

入社時に就労支援センターのスタッフの方同伴の上、苦手な旨は職場に伝えていました。

しかしながら上司が不在な時や、周囲がサポートしきれない時などに対応を求められました。見た目で分かりにくい障害のため、忙しい時ですと、筆者が障害であることを忘れていた方もいました。そのたび「僕は障害を持っているので、できません。」と言うことが、申し訳なくて辛かったです。

実際に電話対応の業務で起こしたミス

○電話の相手の話し方が聞き取りづらく、名前を聞きそびれてしまった。
自分の業務ではなく、他の方の業務を取り次いだものであったため、さらに正確に聞く必要がありました。そのプレッシャーもありました。
○パニック状態で受けたため、電話の操作を誤り取り次ぐはずが切ってしまった。

仕事でミスをした結果…

○先輩社員に怒られてしまった。「もう電話は取らせない!」と言われて落ち込んだ。

この先輩社員は「完璧にできないものはやらせない」「やるなら完璧にやれ」のような、ミスに厳しい方でした。この方によってさらに筆者の不安が高まっていたかも知れません。

【認知行動療法】工夫への第一歩。まず、なぜ苦手なのかを考えた。

筆者はできる限り、やれることは行っていきたいと考えていました。

当時勤務していた環境では、得意なことだけを行っていても評価されなかったからです。周囲の方と安心して関わっていくためには、苦手なことへ取り組む姿勢を見せる必要がありました。

そのために、まず「なぜ自分が苦手と感じているのか」を改めて考えることにしました。

【筆者が考えた、苦手な理由と改善のヒント】
〇電話を受けた時、瞬時に用件の該当業務に意識を切り替えられない。
→瞬時に頭を切り替えられる準備ができれば、改善できるのではないか?

このように、自分の中で特性を見つめ直して、以下の工夫を行いました。

【体験談】ミスを減らした工夫~発達障害を持つ方が仕事を続けるヒント

1)周囲の方に改めてお願いし、サポートを受けた。

【適切なサポートを受けられるよう、より具体的に障害を伝えた。】
周囲の方には最初の着信は取ってもらうようにお願いした。自分の担当業務のみを取り次いでもらい、受ける形式をとってもらった。

効果:自分が受ける用件は担当業務のみに限定された。

2)自分で工夫した対処法

【電話を受けた瞬間に対応法が明確であれば、ミスを減らせる。】
工夫1:あらかじめ、どんな業務の用件が来るかを整理した。
※「契約書」「データ関係」など
工夫2:業務内容に応じてファイリングし、デスクに置いた。
※該当業務の用件が来たら、すぐに取り出せるように準備した。

効果:「電話が来たら、このファイルの中から取り出して対応すればよい。」と方法が明確になったことで、不安が解消された。

3)ミスを減らす工夫をした結果

〇安心して電話を受けられるようになった。
〇徐々に上達して、最終的には内線電話を取り次げるようになった。

以上が筆者の仕事のミスをなくすために工夫した方法です。自分の特性や体調を確認しながら、支援機関や上司と相談して行いました。不安を解消したことで、他の業務もスムーズに行えるようになりました。

まとめ

【ミスを減らす一番の工夫は、強みを活かせる仕事環境を選ぶこと】
このように筆者は仕事を続けるため、苦手な仕事への工夫をしました。

職場に長く勤めるために、苦手なことをどうカバーするか。そのための取り組みは大切です。しかしそれだけだとミスがなくなっても、あなたの心身には常に負担がかかります。何よりそのような辛い状態では、自分を生かして社会で活躍することは難しいです。

仕事のミスを減らす一番の工夫は、あなたの得意なことを活かして、成長できる環境を選ぶことです。今カスタマイズ就業という、あなたが得意としていることを企業側も求める働き方が出てきています。今の仕事環境で「どう頑張ってもミスが減らない・・」「気を付けていても怒られる・・」と悩んでいる方はいませんか?

そのような場合はあなたの努力不足ではなく、あなたが活きる環境が他にあるのかもしれません。「もっと自分を生かしたい!」と感じている方はぜひSalad編集部までご相談ください。