アスペルガーは突然ヒステリックになる?想定外のパニック防止法3つ

アスペルガーが突然ヒステリックになるのには、原因がある

アスペルガーが突然ヒステリックになるのには、原因がある

見通しが立たないと不安なため、遠い先まで道筋を立てることが多い

ASD(自閉症スペクトラム)はかつて「アスペルガー」や「自閉症」などと呼ばれていた障害が統合された名称です。現在では、主にこのASDと言う名称で診断されています。

アスペルガー(ASD)を持つ方は見えないもの、曖昧なものが非常に苦手です。そのため職場や日常生活などでも変化への弱さ・耐性のなさが目立つことがあります。

そのため不安を軽減させようと、必要以上に先のことまでの道筋を立てるケースが出てくるのではないでしょうか。

参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について| e-ヘルスネット(厚生労働省)

特性上、道筋や見通しが生命線になりやすい

特性上、道筋や見通しが生命線になりやすい

分かりやすく言えば、アスペルガーを持つ方にとって想定は「レール」です。レールがなければ走ることができなくなることもあるのです。よって道筋(予定や準備など)は不安を解消するための『生命線』なのです。

そのため、途中で予定変更などの「想定外の物事」が起きるとひどく動揺してしまいます。これにより、その動揺が怒りや混乱のような「ヒステリック」として外に映ってしまうことがあるのです。

さて、アスペルガーを持つ方はどのような「想定外」にパニックになるのでしょうか。

参考:パニックは事前の回避を心がける | 専門家によるアドバイス | エール&リンクエール&リンク

職場でパニックになりやすい「想定外」のケース

職場でパニックになりやすい「想定外」のケース

①想定した会話の流れからずれたとき

アスペルガーを持つ方は、コミュニケーションが苦手なことが多いです。会話の中の雰囲気から次の会話の内容を決める…というようなその場の雰囲気を基にした判断が苦手なため、あらかじめ話す前に会話の「台本」を決めていることが多いのではないでしょうか。

そのため、その「台本」通りに会話が進まないと台本を書き換えないといけません。そのため「変更前の段階まで想定を戻さなきゃ…!」という焦りから、パニック状態になるケースがあります。

相手にとって「突然ヒステリックになりだした」瞬間は、会話の「台本書き直し」が決まった時なのです。

②想定した仕事の段取りが変わったとき

仕事などの作業においても、かなり先までを考える傾向があります。他の人からすると、「まだいくらでも変わるから準備の意味がないよ」と言われるような先の段階まで、仮でも良いから考えないと動けないのです。

そのため、自他問わず、公私の事情問わず「予定変更」があると動揺します。アスペルガーを持つ方からすると「かなり前の段階まで戻らないといけない」ということから怒ってしまうこともあります。

自分でも理不尽なことだな…と思いつつも、「せっかく頑張って作った準備が台無しじゃないか!」とヒステリックになってしまうのです。

③担当者や部署など、関わる人や環境が変わったとき

もちろん、人や作業内容などの環境の変化にも動揺します。アスペルガーを持つ方がルーティーンワークを好むのは、こういった「台本」や「段取り」の書き換え作業が少ないからです。そのたび行動を考えることをせず、台本や段取りの「コピー」を行うことで生活を安定させようとします。

そのため、人や環境が少しでも変わるとパニックになります。突然知らされたときはもちろん、辞令などで事前に知っている場合も当日まで不安定な状態です。

安心するために、その時にならないと分からないようなことでも「想定A」「想定B」と組み立てて、頭の中で準備しようとします。台本をいくつも考える「ストレス」を抱えてでも、見通しが立たないと落ち着かないのです。

このような時は普段気にしていないようなことでもイライラしたり、ヒステリックになったりしてしまうことがあるかもしれません。

その他、自分の想定外の物事が起きたとき

その他、他の人からすれば何気ない小さな変化に対しても動揺する場合があります。特に上記の環境変化の最中に起きやすいです。

アスペルガーを持つ方はこだわりが強く、普段使う道具や物の置き方などにもこだわりを持ってはいませんか?

例えば、
○いつも使うはずのボールペンを今日は家に忘れてきてしまった。
○会社に置いてあると思っていたネクタイピンがない。
○気が付いたら、ベルトの一部が切れていた。

他の人からすれば「それくらいのことで…」というような変化でも、ひどく動揺してしまうのです。

このようなヒステリックな感情は、周囲にも悪い雰囲気を与えてしまいます。「分かっていてもできないから悩んでいるんだ!」と言いたくなる方もいるかもしれません。そのような方のために、「『想定外』でのパニック防止法」をご紹介しましょう。

参考:みなさんに、わかってほしいこと – 発達障害情報・支援センター

ヒステリックを防ぐ!『想定外』でのパニック防止法

職場でパニックになりやすい「想定外」のケース

①一度に立てる想定は少なめに。定期的に見直してみる

会話や仕事などにおいて、「レール」を敷いて安心したい気持ちはわかります。しかし、あまりにも先のことまで考えすぎると変更があった時に現在まで戻すことが難しくなります。ですから一度に立てる想定を、少なめに決めていくようにしましょう。

例えばこれまで「10」まで先を決めていた想定を、「3」くらい先までに留めるなどです。さらに自分の想定を見直す機会を増やしてみると効果的です。

②環境変化に対しては、独断で考えず上司に対処を相談する

環境変化などの「他者が大きく関わる変化」に関しては、自分一人で想定を立てるには限界があります。周囲とのズレを防ぐ意味でも、事前に準備することなどを上司に確認していきましょう。

③こだわりに固執しすぎず、本来の目的を再確認してみる

「道具がない」「いつものルートとは違う」などは、そもそもは仕事上のゴールにたどり着くための「手段」でしかありません。

そもそもいつもこだわっているものは、何のためなのか。本来の目的を見失ってまでこだわるべきものなのかどうかを考えてみましょう。

参考:こだわり、不安がつよい:困りごとのトリセツ(取扱説明書)|発達障害プロジェクト|NHK

ヒステリックになる前に、溜め込まず上司に相談しよう

ヒステリックになる前に、溜め込まず上司に相談しよう

普段言えない感情が「ヒステリック」としてまとめて出ることもある

ここまでは想定外の物事からヒステリックになるケースをご紹介してきました。しかし、それ以外にもう一つヒステリックになるケースがあります。

それが、「今までにため込んでいた感情が爆発するとき」です。

アスペルガーを持つ方は感情表現が苦手が苦手なこともあり、不満などがあっても我慢してしまうことがあります。さらには感情を出すべくタイミングが分からないことにも悩みやすいです。よって我慢しきれなくなって「ヒステリック」として一気に爆発してしまうおそれもあります。

ヒステリックになるまでに溜め込まず、上司に相談することが必要

周囲にはあなたの『これまでの累積分の感情』には気づくケースは少ないです。そのため「どうしてあれだけ怒っているのかが分からない」と感じさせてしまうのです。

ですから普段から「感情を伝える機会」を設けなければなりません。不満や疑問は、感じたときに伝えることが一番です。そのために上司と定期的に相談するようにお願いしましょう。

もし、相談のきっかけをつかむことが苦手な場合はこちらの記事を参考にしてください。

参考:「助けて下さい」と言える力 | 東京発達・家族相談センター

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は「いかに想定外の物事に対応できるか」についてお伝えしてきました。しかし、あまりにも自分の想定と違うことばかり起きている職場で、あなたの個性や力を発揮することができるのでしょうか。

そもそもが、あなたが想定しづらい環境にいる可能性があるのかもしれません。だからこそ個性を活かし、今考えている想定も職場への『提案』として活用することができる『カスタマイズ就業』という働き方があります。

あなたの想定が、企業にとっての大切なアイディアになるかもしれないのです。「自分のアイディアを活かしたい!」「環境を見直したい!」というときはSalad編集部までご相談ください。

【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受ける。HSPの項目にも多く当てはまっている。

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