【アスペルガー】傷つく時ほど表情が乏しい…心の痛みを伝えるには

辛い時、傷つく時ほど表情が乏しい…

感情表現が苦手なだけで、感情がないわけではない

アスペルガーは現在「ASD(自閉症スペクトラム)」という名称で診断されています。しかし便宜上、現在でも呼ばれることがあります。

アスペルガー(ASD)を持つ方は感情表現が苦手であることが多いです。ただし、これはあくまで「多くの方、万人に分かりやすい感情表現ができない」だけであって、アスペルガー特有の感情表現をしています。しかし「感情が伝わりにくい」ことから、苦労をされることもあるのではないでしょうか。

辛いと、思考が停止して表現ができなくなる

アスペルガーを持つ方は、「喜怒哀楽」の表現をすることに、人一倍「エネルギー」を使います。障害を持たない方の場合、辛い時は「辛い!」という表情や表現をしますが、表現に労力を要するアスペルガーを持つ方が辛い時、表現そのものができなくなるのです。

本当は辛いことで「無表情」「無反応」になっているのですが、客観的には「全く堪えていない」「受け止める気がない」ように見えてしまいます。相手はあなたに反応をさせるために、語気を強めるなど「力」を使ってくることがあるでしょう。

もちろん、さらに思考が停止して相手の語気が強まる…という悪循環に悩む方も多いのではないでしょうか。

それでは、アスペルガーを持つ方が傷つくときに「どうして表情が乏しくなってしまうのか」をさらに詳しく見ていきましょう。

【アスペルガー】傷つく時ほど表情が乏しいのはなぜ?

パニック状態になり、感情表現ができなくなる

【辛い、悲しいを表現するのにも労力がかかる】
冒頭で述べたように、障害を持たない方は動揺している時ほど感情表現が激しくなります。しかしアスペルガーを持つ方は一つ一つの感情表現にエネルギーを使うため、反対にフリーズ(思考停止)してしまうのです。

怒られて反省しているのに、それが伝わらず「反省の色がないな!」と言われてしまい心を閉ざしてしまうこともあるのではないでしょうか。

激しい動揺から身を守るため

アスペルガーを持つ方は、怒られるなどの激しい感情を受けた場合、激しく動揺します。これを真正面から受け止め表現しようとすると、精神が壊れてしまうのです。そのため、感情に「フィルター」をかけて「何も感じない」ようにすることで身を守ろうとします。

この状態を「事実から逃げている」と捉えられて、さらに反感を買ってしまうことがあるのです。

常に緊張状態であるため

アスペルガーを持つ方は、対人緊張や社交不安を持ち合わせているケースが多くあります。そのため、人と対面しているときは常に張り詰めた状態でいることがあるのです。

緊張していれば、当然表情は硬くなります。相手に「緊張している中でどう反応しろと言うんだ」と言いたくなることもあったのではないでしょうか。

このような理由から、傷ついたときや動揺しているときの表情が乏しいケースがあります。

表情が乏しいことで、誤解を招きやすい

反応がないため、挑発しているように思われる

表情が乏しいと、相手にはあなたがどのように受け止めているかが分かりにくくなります。また、表情が乏しいことで相手には「余裕を見せている」ように見えることがあります。

「挑発されているのではないか」と誤解されることで、相手はさらに感情が高まります。そうしてどんどん、コミュニケーションが難しくなってしまいます。

感情が爆発し、ヒステリック状態になることもある

その時の一件が、過去の体験まで思い出させてしまうことがある

アスペルガーを持つ方は反応がなくても、心のダメージはしっかりと残っています。また過去の情報をうまく消化することが苦手です。そのため、フラッシュバックとなって、いつまでも悪い記憶がよみがえってしまうのです。

過去の分も含めた感情が爆発し、ヒステリック状態になってしまう

そして今回の「傷」がもとで、フラッシュバックされた分もまとめて感情を爆発させることがあります。「あの時も分かってもらえなかった!!」と過去の分の怒りまでその時の相手にぶつけてしまうこともあるのです。

このようなヒステリック状態になるとお互いの関係に溝ができるほか、何より自身にさらに深い傷がついてしまうのではないでしょうか。

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このような傷がついていくことで、発達障害の二次障害ってどんなものがあるの?事前にできる予防法は?適応障害になり体調を崩してしまうおそれもあります。

このような事態を未然に防ぐためには、どのようにして「心の痛み」を伝えていけばよいのでしょうか。

心の痛みを相手に伝える方法

①事前に辛い時にどうなるかを伝えておく

分かりやすく言えば「辛い時には無表情になります」と事前に伝えておく、ということです。相手の中で「辛い=無表情」ということが分からないからこそ、語気を強めたり感情的になったりするわけです。『無表情』は障害を持たない方にとっての「堪えていない」反応だからこそ、最悪の形で誤解されてしまいます。

ですから、上司などに事前に「あなたなりの感情表現」がどのようなものなのかを伝えておくことで、誤解が少なくなります。

②上司とよく相談し、早めに辛さを解消する

辛い時の対応も大切ですが、そもそもは辛くなる前に対処することが前提です。定期的に上司と相談していき、辛いことや悩み、問題を早めに解消させるように心がけましょう。

相談の機会が多ければ、その中からあなたがどういう感情表現をするかも理解してもらえるかもしれません。

もし、相談するきっかけをうまくつかめないときはこちらの記事「【ASD・アスペルガー】悩み事を相談できない…きっかけの作り方4つ」を参考にしてみましょう。

③対面ではなく文面など、別の表現方法を活用する

対面でのやり取りだと、表情や雰囲気など「アスペルガーにとって誤解されやすい状況」が多いです。したがって、大切な報告や指示などは書面などの他の方法を使えるようにお願いしてみましょう。

メールやメモなどの文面であれば、そこから表情や空気を読み取ることはほとんどありません。伝えたいことだけを整理したいときには、対面での会話以外の方法をとるとよいでしょう。

関連記事:【発達障害】説明が下手で伝わらないときの、説明力改善のヒント4つ

自分なりの表現が全く伝わらない時は、環境を見直してみよう

書面で伝えようとすると、「大切な時は直接話すのが礼儀だろう!」と言われることがあるかもしれません。その他自分なりの感情表現が全く伝わらない「誤解だらけ」の職場であれば、一度環境を見直してみましょう。

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今の働き方に疑問を感じている、環境を変えたいというときはSalad編集部までご相談ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

自分なりの表現をしているのに、「間違った表現」として理解されないのは、辛いことですよね。

この周囲が考える「間違い」を「自分なりの、他との違い」としていくためには、あなたの特性を職場に伝えていかなくてはなりません。

もう一度自分の特性を見直して、上司に相談をしてみましょう。

【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。もともと計算の効かない「感情的なタイプの人間」が苦手なこともあり、うまく表現できないことに苦労した経験がある。うつ病を発症した時も、原因は感情的な上司であった。

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