人の話を聞かないと言われる…
人の話を聞きなさいと言われる
アスペルガー(症候群)は、現在は「ASD(自閉症スペクトラム)」という名称で診断されています。
「空気が読めない」、「こだわりが強い」ことなどから、コミュニケーションに困難を感じることが多いです。
話を聞き取ることが苦手なため、周囲から「人の話を聞きなさい」と言われることがあるのではないでしょうか。
でも、相手の話を無視しているわけではない
でも、「本当に相手の話を聞く気がない」ということは少ないです。真面目で几帳面なことも多く、相手の話をしっかりと聞こうとしていることが多いのではないでしょうか。
それでも「人の話を聞きなさい」といわれるのはどうしてか。そもそも「人の話を聞かない」とは、どんなことを表しているのでしょうか。
「人の話を聞かない」とは?
相手が話すときに、相手を見ていない
【相手に真剣に向き合っている旨が伝わっていない】
相手の話を聞いているときに、相手の方を向いていないことで「真剣に向き合ってくれていない」と思わせてしまうことがあります。
相手を見ないで聞いているなど、気持ちを受け流しているように感じさせてしまうのです。
これにより、相手は「話を聞く気がない」と感じてしまい、「話を聞きなさい」と言うのです。
返事や相槌など、意思表示が少ない
【相手にも聞いている旨が伝わっていない】
相手の話を聞いているとき、受け身になっていませんか?
「しっかり聞いているから、問題はない」と無反応でいることで、相手に聞いている旨を示していないケースがあります。
もともと感情表現が苦手なこともあり、相手はあなたがどれくらい理解しているのかが見えにくいため、「話を聞きなさい=聞いているという反応をしなさい」と言う場合があります。
話の主旨を理解せず、何度も同じことを言わせている
【聞き流しているのでは?と思われる】
聞いているときには問題がなくても、伝えた内容を理解していないケースです。
相手が同じ指摘を何度もしているのに、「ずっと同じミスをする」「何度も同じことを聞いてくる」ことから、「話を聞いているのか」と感じてしまいます。
勝手に作業を進めることがある
【勝手に行うことで相手を不安にさせている】
周囲や相手を経由せずに単独で行うケースです。
仮にそれが正しいことであっても、相手には「あなたがどのような心情や経緯で行っているのか」が分かりません。にもかかわらず、「必要なことだから」「間違いないことなのだから確認は不要」と判断して行動してしまっていませんか?
これにより「話を聞いていない=あなたの意図を聞いていない」と言われてしまいます。
仕事上の「聞く」は「理解する」ということ
理解している旨を示すことも求められる
このようにただ事務的に「聞く作業」をしているだけでは、「聞く」にはなりません。大切なのは聞いた話をしっかりと消化させて形として示すことです。
理解している旨を相手に示さないと、誰にも意図が見えません。では、「人の話を聞いていない」と言われたときに、どのように改善すればよいのでしょうか。
「人の話を聞かない」と言われた時の改善法
相手に向き合っている旨を伝える
真剣に聞いている旨を相手にも示しましょう。言葉以外の姿勢も見せることで、相手も「しっかりと聞いているな」と安心できるのです。
こちらの記事「【アスペルガー】目を合わせないから誤解される…職場での対処法は? 」をチェックして、相手と対面した時の話し方を見直してみましょう。
話の節々に、内容確認の言葉を入れてみる
話の節々に内容を確認する言葉を入れてみることで、相手に理解している旨を伝えられます。話の途中で「それは、どのような意味ですか?」などの質問や「~と言うことですね」など、あなたがどれだけ理解しているかを言葉にしてみましょう。
ただし、相手の言葉をそのまま返す「オウム返し」を多用していると逆効果になることがありますので、注意してください。
話の内容を自分で消化して、主体的に活かす
話を聞いているときも、ただ受け身で聞いていればよいわけではありません。話を理解できていいない時は、あなたが相手の話に対して「迎えに行っていない」可能性があります。
「迎えに行く」とは、相手の話に対して「自分ならどう活かすか」「自分でどう消化していこうか」など、自分のことに置き換えて考えることです。
相手の話を主体的に捉えることで、理解している旨を相手に伝えることができます。
関連記事:【アスペルガー】とんちんかん発言・会話が噛み合わない時の対策3つ
自分の考えで行いたい部分は、事前に伝えておく
アスペルガー(以下、ASD)を持つ方は、コミュニケーションが苦手です。そのためについ、他人を経由せずに行動しがちです。しかしどんなに正しいことでも、独断で行動することは周囲を不安にさせてしまいます。
ASDを持つ方は曖昧な物事への判断が苦手です。しかし「どうしてそのような行動をするのか」という意思が見えないことは、どんな方でも不安になるのです。
ですから対処として事前に周囲に「こういう意図で動きます」と伝えていきましょう。その言葉そのものには意味がないかもしれませんが、相手の不安を解消するものとして必要なやり取りです。
悩みの対処は早めに。定期的に上司に相談しよう
このように、ASDを持つ方は周囲に真意が理解されないことで悩むことがあるのではないでしょうか。「こんなことで頼ってはいけない」など責任感を持って一人で対処しようとしていませんか?
どのようなことでも、ずっと悩んでいては心身に負担がかかり適応障害になってしまいます。
ですから、定期的に上司に相談できるようお願いしましょう。
もし、相談の持ち掛け方が分からない場合は、こちらの記事「【ASD・アスペルガー】悩み事を相談できない…きっかけの作り方4つ」を参考にしてみましょう。
理解できない、相手に理解してもらえないときは、環境を見直してみよう
「話を聞かない・理解しようとしないと言われるけど、いざこちらの意思を言おうとすると聞く耳を持ってくれない…」「相談したいのに『忙しいから後にして』と言われる」など、周囲と噛み合わないことに悩んでいませんか?
この場合すれ違う原因は、職場環境に原因があるかもしれません。あなたが無理せず行える伝え方で、理解してもらえる環境がある可能性もあります。
「カスタマイズ就業」と言う言葉を聞いたことがありますか?障害を持つ方の弱みと思われていた個性や特性を強みに変えて働いていく考え方です。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
しっかり聞いているのに、「聞いていない」と言われると「どうせ自分なんか理解してもらえないんだ…」と落ち込んでいませんか?思いを受け止めてもらえないのは辛いことですよね。
しかし、「聞かない」と言っている相手もあなたに「受け取ってもらえていない」と感じるからこその言葉である可能性もあります。
自分の話し方を見直して、相手の話に踏み込んでいく気持ちを持ってみませんか?
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。30歳の時にうつ病を発症。のちの診察で広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。繊細さ・敏感さを特徴とするHSPの特徴もある。過去の職場では、すれ違いが多かった。特に、感情的になりやすい女性との会話が苦手だった。現在はテレワークにおいて、弱みをカバー、強みを活かす仕事を続けている。