会話が「とんちんかん」な回答になることがある
話の内容、主旨を理解しきれない
アスペルガーと呼ばれる障害は、現在はASD(自閉症スペクトラム)という名称で診断されています。
特性として「ルールやパターンに忠実」「こだわりが強い」「暗黙の了解などをつかむのが苦手」などがあります。
このような特性が関わり、相手の話の内容や主旨をつかむのが苦手です。
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双方噛み合わないことで、とんちんかんな発言になってしまう
話の主旨をつかみにくいことで、会話が噛み合わないこともあります。よく会話の中で相手に「?」という顔をされたり、「いやいや、そういうことではなくて…」と言われたりしていませんか?
この「ズレ」や「食い違い」が激しい場合、相手からは「『とんちんかん』なことを言っている」ように映ってしまいます。
ではアスペルガー(以下、ASD)を持つ方は、どうして話が噛み合わなくなるのでしょうか。
【アスペルガー】話が噛み合わない原因
何について、誰についての話か主旨を勘違いしている
会話の際、個人名やテーマをあげて話すことは少ないです。ASDを持つ方は、言葉に隠れた「主語(人以外の主語も含む)」をとらえることが苦手です。分かりやすい例をひとつ挙げましょう。
相手が「あの人はほんとダメだよね」と言ってきたとします。この「あの人」が誰なのかは分かっていません。この分からない部分をうまく想像できずに『そうですよね』と同意してしまって、あとで見当違いの人のことを言っていたことに気づくケースです。
このようにその場で「ズレ」に気づかないことが多く、誤解や食い違いを生んでしまいます
思い込みが強く、別の可能性を疑わない
話の食い違いを指摘されるとき、「分からないならどうして聞かないんだ?」と言われて納得できないことはありませんでしたか?
ちょっとでも疑問があれば聞くでしょう。しかしその時、判断に全く迷いがなければ聞く必要はないと思うわけです。
この思い込みの強さが、勘違いを気付きにくくさせています。その思い込みで発言したことと、事実が大きくずれることが「とんちんかん発言」につながるのです。
受け身姿勢で聞いていて、疑問点に気づかない
ASDをお持つ方は、ネガティブになりやすい性格やコミュニケーションに関する自信のなさを抱えていることがあります。
会話において常に「相手主導」になっていませんか?
受け身姿勢だと、疑問点に気づいて確認するなどの「能動的な発言」に結びつきにくいです。よって会話の主旨がずれていても、その場で修正することができません。
これが大きくずれることで「とんちんかんなことを言っている」と思われてしまうのです。
これらの問題を解消するための対策には、どのようなものがあるのでしょうか。
「とんちんかん発言」を予防する対策
①話すとき、相手に会話の主旨、対象者を確認する
会議などの改まった場合は別ですが、普段の会話で対象者の名前や何について話しているかを敢えて言う、というケースは少ないでしょう。ほとんどの場合、刺激が強い言葉になってしまうからです。
ですからその時内容が分かる・分からないに関係なく、「主語」にあたる主旨や対象者を言われていない時は確認するようにしましょう。
②どんな場合でも、他の可能性を考えてみる
聞いているときは「絶対これ以外はあり得ない!」と感じていても、後でずれてしまっては仕方ありません。また確信めいた言動ほど、ずれているときに「とんちんかん」に見えてしまいます。
ですから相手が主語を明確にしていない限りは、どんな場合でも「もしかしたら別のことを言っているのかな…」と考えるゆとりを持つことが大切です。
③話の内容からどう活かすかを考えながら聞いてみる
受け身なのは、話を聞いたらそこで終わりだという感覚から来ていることが多いのではないでしょうか。
ですから能動的に聞く姿勢を身に着けるコツとして「相手の話をどう吸収して活かすか」考えながら聞く方法があります。相手の話について自分から考えていくというスタンスでいることで、疑問点にも気づきやすくなるのです。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
話が噛み合わないことで、「自分の話し方に原因があるのでは」と自信を失っていませんか?しかしこのように、本当の原因は話す前の「受け取り方」に問題があることが多いのです。
こちらを参考にしつつ、話し方について職場の上司とよく相談してみましょう。
相談相手など、もし迷うことがあればSalad編集部にもお声かけください。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受ける。思い切り断言することほど、ずれたときにとんちんかんなものとして解釈された記憶がある。