発達障害はどうでもいいことにこだわる?考え方を変えるコツはある?

※こちらの記事は、発達障害をお持ちの方に対し、「こだわりを強く持つ対象がどうでもいいことである」と断定し説明する記事ではありません。発達障害を持つ方々の特性は様々であり、その方々なかでもこだわりを強く持ち過ぎてしまうことに悩みを持つ方の助けとなる記事とできればと考え、執筆しています

他人からすれば、どうでもいいことにこだわるときがある

他人からすれば、どうでもいいことにこだわるときがある

自分なりの基準で動くことがある

発達障害には、ADHD(注意欠如・多動性障害)ASD(自閉症スペクトラム)など、様々な種類があります。また、特定の学習をすることが苦手なLD(学習障害)もあります。

それぞれに困難に感じる点や得意な分野も異なりますが、「独自の考え方で行動する」ことが共通点の一つです。

自分なりの基準で考えたり、行動したりすることで周囲を混乱させてしまうことも考えられるのではないでしょうか。

他者と感じ方・考え方が異なっていることに気づいていないケースもある

中には、他の人とは感じ方や考え方が異なっていることに気づかないケースも考えられます。「みんなも自分のように考えているだろう」と思い込んでいることで、周囲とのズレを自覚できないこともあるのです。

そうしていつまでも自分のやり方や考え方に固執していることで、「どうでもいいことばかりにこだわっている」と思われてしまうことがあります。

参考:発達障害の特性(代表例)|厚生労働省

職場では、柔軟な対応が必要な時がある

職場では、柔軟な対応が必要な時がある

これが自分の家であれば、周囲に迷惑が掛からない限り自己流のやりかたでも良いでしょう。しかし、仕事となれば違います。ほとんどの仕事は「チームプレイ」です。したがってお互いの意思を統一して、一つの方向に進むために取り組んでいくことが必要になります。

にもかかわらず、一人だけ違う方向を向いていることや、その場に留まっていればどのようなことが起きますか?もちろん、チームとしてスムーズに業務が進みづらくなるのです。

だからこそ、仕事では職場や周囲の求めていることを、忠実に行う必要が出てきます。

では、どうやって「周囲との意思を統一させる」ことができるのでしょうか?そのためにはまず、どうして周囲はあなたのこだわりや考え方を「どうでもいい」と思うのか。その「ずれ」から見ていきましょう。

参考:こだわり、不安がつよい:困りごとのトリセツ(取扱説明書)|発達障害プロジェクト|NHK

なぜ、周囲は『どうでもいいこと』と言うの?

なぜ、周囲は『どうでもいいこと』と言うの?

①本来の目的を達成するのに支障がある

例えばオフィスで、100枚の書類に同じ印鑑を押す仕事があったとしましょう。さらには終わった書類を他の方に渡したのち、その方が押印チェックの業務をするとします。

ここで大切なのは「いかに押印漏れ・ミスがなく、早く終わらせて次の人に渡すか」です。しかし「どうでもいい」こだわりを持っていると、この次の人の事情を無視したところに労力を費やすことが多くなります。

内容によっては相手を待たせることになりますし、手間を与えていることがあるかもしれません。「どうでもいいこだわり」と言われる人には自己完結の意識が強く、「次へつなげる」という意識が低いケースが多いです。

②急いでいるのに、時間を取られてしまう

仕事においても「時間」はとても大切です。ほとんどの仕事において期限・締め切りなどの「制限時間」が設けられていることでしょう。

その「どうでもいい」こだわり自体は必要なことかもしれません。しかし時間がないのにわざわざ優先して行うべきことでない物事のとき、「どうでもいい」と言われてしまうのです。

このようにいつ部分や細かい部分に注目しすぎて、全体の流れが見えていない場合は周囲に迷惑をかけていることがあるかもしれません。

周囲から「そんなことをしている時間はない」「時間が無駄になる」など言われている場合は、注意が必要です。

③仕事には必要のないことなのに、強く主張してくる

また、何も言わなければ周囲も受け入れられることでも、あまりにもしつこく主張したり、強く訴えたりすることで不快にさせていませんか?

必要以上に強く訴えることで、周囲にとっての「どうでもよさ」が強まってしまうケースもあります。

④どうして必要なのかが分からない

最後に、「本当は必要なこと」だということを周りが気づいていないケースもあります。誰にも伝えることなく、独断で行っていると周囲には大切さが伝わりません。この関わりを避けて進めてしまうことで「どうでもいい」と言われているケースもあるのです。

「どうせ聞いてくれないから」などと考えて独断で行っていませんか?「勝手に行う」という点だけで周囲から「どうでもいいこと」になってしまっている可能性も考えられます。

このような状態のまま仕事を続けていれば、周囲とのすれ違いが多くなります。「無駄なことばかりしている人」として、辛い時でも助けてもらえないことも出てくるでしょう。

そのような事態を防ぐためには、考え方を変える必要があります。

参考:職場での困りごと全般:困りごとのトリセツ(取扱説明書)|発達障害プロジェクト|NHK

考え方を変えるコツ

考え方を変えるコツ

①上司とよく相談し、必要事項を確認する

まずは「大きなずれ」を防ぐため、上司と相談しましょう。必要事項は時期や作業段階によって変わることもありますから、一度ではなく定期的に行うことが効果的です。

ゴールではないところに進もうとしていると、「どうでもいいこと」と呼ばれます。ですからその「ゴール」は何なのかを確認して、職場の求めている目的を達成できるように心がけなければいけません。

②最優先事項を確認し、その作業を先に行う

作業そのものは大切でも「時期」を間違えると「どうでもいいこと」になることがあります。

もし「それは今やることじゃないだろう!」とよく言われている場合は、この「行うべき時期」を誤っているかもしれません。『今』やるべきことは何なのか。最優先事項を上司に聞いてみましょう。可能であれば、毎朝出勤時に何を優先して行うべきか確認するとよいでしょう。

さらに行っている「こだわり」はいつ行うべきか(行う必要の有無も含む)を確認することで周囲とのズレを防ぐことができます。

③分かってもらえないからといって、感情をぶつけない

自分が大切にしていることが分かってもらえないと、つい感情が高まってしまいます。何としてでも分からせようと、「力」で押さえつけようとしていませんか?

こうなると、本当は大切なこだわりであったとしても受け入れてもらえないかもしれません。

強くこだわりを訴えすぎると、相手を否定する形になることがあります。ですから考えを理解されないからといって、感情をぶつけてはいけません。

④そのこだわりが「どうして必要なのか」を整理して伝える

それでは、どうやって理解してもらえばよいの?と考えたかもしれません。例えば、そのこだわりが多くの方にとって「必要のない作業」だったとしましょう。しかし障害特性から必要なことであったり、担当者でないと分からないポイントがあることも考えられます。

ですから障害特性上・業務上必要な時は、「どうして必要なのか」を整理して伝えることが大切なのです。

伝えるコツとしては、
◎現在の状況。こだわらないことで不便になることを中心に伝える。
◎不便に対しての、対処や取り組みとして行っていることとして伝える。
◎取り組みを行うことで、どのような効果があるのかを伝える。

ことが最低条件です。

うまくこだわる「前と後」を伝えることで分かりやすくなります。また、④として、さらに「周囲の業務にどのような影響があるか」を加えるとさらに良くなります。

その他説明の仕方、伝え方に不安があるときは、下記の関連記事を参考にしてみてください。

関連記事:【発達障害者雇用】この言い方はわがまま!職場への障害の伝え方

参考:自分の思いを伝えられない:困りごとのトリセツ(取扱説明書)|発達障害プロジェクト|NHK

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まとめ

まとめ

いかがでしたでしょうか。

自分が大切にしていることを「どうでもいい」と言われたら、悔しいですよね。どうしてわかってもらえないのだろう?と考えることでしょう。

伝え方や考え方を少し変えるだけで、事態が大きく変わることがあります。自分の業務状況を見直して、一度上司に相談してみましょう。もし、相談先に迷うことがあればSalad編集部までお問い合わせください。

【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。自身もこだわりが強いが、どちらかというと同じ立場の人間の「どうでもいいこだわり」に振り回されることが多かった。

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