心の声を聞きすぎて、具合が悪くなる
心の声が耳に入りすぎてしまう
筆者は、HSPの性質を持っています。
このHSPは「とても繊細な人」という意味を持ち、あらゆることに敏感なために生きづらさを感じることが多いです。筆者もまた、その敏感さに苦労しています。
職場で最も気になるのが「周囲の雑音」です。雑音と言っても、聴覚に響く雑音ではありません。それ以上に、精神的に直接響く周囲の「心の声」によく悩んでいました。
参考:HSPとは | HSP診断テスト
参考:HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは?その特徴や症状|心療内科・精神科|うつ病治療の新宿ストレスクリニック
体調不良の一番の原因でもある
問題なのは、自分に向けた「心の声」でなくても具合が悪くなるということです。他者の負の感情に触れることで、その刺激にやられてしまいます。
筆者は過去2か所の職場を経験してきましたが、2か所目の前の職場ではまさに他人の心の声だけでうつになりかけたほどです。
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では、筆者が不快に感じる「心の声」にはどのようなものがあるかをご紹介します。
敏感、騒音として聞こえやすい『心の声』
咳払い
「ゴホン!」と咳払いをすることはよくあることなのではないでしょうか。さらに言えば、それに深い意味があるケースは少ないはずでしょう。
…と頭では分かっていても、何か深い意味があるのではないかと疑ってしまうのです。さらにはHSPの特性で共感性が高く、人に嫌われるのを極端に怖れる傾向があります。そのために、「何か意味があるのかもしれない」「嫌われているかもしれない」と警戒心が強くなります。
そのために、関係のない、自分と関係があるかも分からない咳払いでも気になってしまいます。
ひそひそ話など、第三者同士の内緒話
前の職場では、特にこの「自分の目の前でひそひそ話している」ことが多くありました。これが不快に感じる原因は2つあります。
①「自分には聞かれたくない」という、拒否されているかのような気持ちを感じる。
②隠したいという「負の感情」によって刺激を受けてしまう。
ことです。このような「声」は、音量以上に不快な気持ちになります。これも自分とは無関係な方が多いでしょう。それでも「自分には聞こえてほしくない」という感情だけで、辛くなってしまうのです。
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負の感情を感じる言動
人がたくさんいるオフィスですと、一人一人の表情や声の音質(トーン)の違いなどを受け取ってしまいます。ちょっとした語気の違いや、自分を見ながら話をしている人などもキャッチしてしまうことがありました。ほぼ部屋全体の会話に耳を澄ましている、というときもありました。
過去の職場では、筆者の「全体を見て仕事ができる力」を評価してくださっていました。そのため、座席も全体が見渡せる席にしていただいていました。しかし、自分にとって都合の悪い情報が多く来ることで、精神的に辛いことも多かったのです。
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怒りや不満を物にぶつける音
言葉として言うと「カドが立つ」ために、分からないようにものに当たっているケースがあります。その風景を多くキャッチしてしまい、さらにその先の心情を想像してしまうことで具合が悪くなるのです。
この感情は、職場以外でもあります。よくプロ野球の中継でピッチャーが打たれてベンチに帰ったあと、悔しさからグローブを投げつける風景があります。そのような時も、その人の違う一面を見てしまうようで落ち込んでしまうことがありました。
ストレートに言葉で表現してくれた方が、筆者としては負担を感じません。言葉として表せない「不完全燃焼さ」に、ダメージを受けやすいです。
対象がいなくなってから言う陰口
よく3人くらいの集団で仲良さそうに話していて、1人離れたとたんに残り2人が離れた1人の悪口を言う…というケースがあります。
負の感情の「人の汚さ」を見ているようで、筆者は具合が悪くなります。また、表面上きれいに見せて負の感情を隠す「汚さ」にあっても、疲れてしまうことがありました。
筆者は発達障害も持ち、聴覚が過敏です。しかし聴覚として受け取るものよりも、このような「心への騒音」に苦しむケースが多くありました。
このような事態から身を守るために、いくつか試した対策があります。
実際に行った『騒音対策』
過集中をコントロールし、周囲に気が向かないようにした
一定期間、時間を決めて過集中状態にして、定期的な休息で補う方法です。過集中とは、特定のものに対して深く集中する代わりに、周囲が見えにくくなります。さらには体力消耗が激しく、疲れを自覚しにくいリスクが高いです。そのため、良い方法ではありません。
しかし筆者には、その過集中でしか「自分のセンサーを止める」ことができませんでした。したがって普段の2倍近くの作業スピードにするなどして、敢えて周りを見えなくさせる対策をしました。
この方法、一時的に成果は上がりますし、他者が気にならなくなります。しかし「過集中をコントロールする」こと自体、難しい作業でした。何より過集中は、心身への負担が大きいです。そのため疲労がたまり、平日に休みを取って「ガス抜き」をする必要がありました。
上司にお願いして、雑音が少ない席に移動した
上司に相談し、そのような雑音を発する人と離れた場所で仕事をさせてもらうなどの工夫をしました。しかし雑音の対象が日によって変わり、沢山の方が「騒音の対象」になっていました。
そのたび席を調整してもらうことも申し訳ないので、我慢していることが多かったです。
警戒心が強まらないように、ストレスをためないようにした
仕事をしていく中で、「ストレスが溜まっているとより過敏になる」ことが分かりました。
したがって対策として、オフに一人の時間を設けるなどして、気を休めるよう工夫しました。
しかしこれも実際には、家に帰ってもその対象のことを気にしてしまうため、負担がなくなるということはありませんでした。
心の声を聞かないようにはできなかった
よく自分の「気にする特性」に対して周りからは「それなら気にしなければいい」と言われます。筆者としては「それができないから悩んでいるんだ!」と叫びたくなります。実際に他の方法がないかを聞いても、答えてくれる人はいませんでした。
結果的に、「心の声の騒音」を聞かないようにすることはできませんでした。そのため、長く働ける環境を見直したのです。
最大の騒音対策として、テレワークを選んだ
人間は、何かしらの感情を持ちます。ですからオフィスのような「人がいる環境」では、力を出し切れないと考えました。
そこで行きついたのが、「テレワーク」でした。テレワークは周囲には誰もいませんし、やり取りはチャットなどの文面に絞られます。そのため、「心の声」などの感情を聞くことなく、筆者にとって必要最小限の情報で業務を行えます。
これにより、筆者にとっての「騒音」を気にすることなく仕事ができています。その他、テレワークになったことで変化したことはこちらの記事を参考にしてみてください。
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今回は、テレワークについて紹介してきました。『これからテレワークを始めてみたい!』と感じたらこちらの記事「【障害者のテレワーク事例】総まとめ!始め方から注意点もわかる!」をチェックしてみましょう。準備から注意しておくこと、障害を持つ方だからこそ気を付けることなどテレワークに関する情報を紹介しています。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
このように自分の特性からなる問題と向き合い、環境を選んでいくことも「カスタマイズ就業」の一部です。個性を活かし強みを伸ばしていく働き方をしていくことで、自分の力を最大減に発揮することができるかもしれません。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。HSPのチェック項目の9割以上が該当している。