アスペルガーで、目を合わせないひとがいる
コミュニケーションが苦手
アスペルガー(症候群)と呼ばれていた障害は、現在ではASD(自閉症スペクトラム)という名称に統合され、診断されています。
表情などの「非言語コミュニケーションが分からない」特徴により、コミュニケーションに困難を感じやすい障害です。
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会話で相手と目を合わせない人がいる
これらの特性から、会話の際に相手と目を合わせないことがあります。これにより、「真面目に聞いていない」「真剣に聞こうとしていない」などの誤解を受けやすいです。
アスペルガーは、他にも他者の誤解を受けやすい問題があります。さらには自力でその誤解を解くことが難しいため、周囲とのすれ違いに苦しみやすいのです。
その一つとして、「相手の目を見て話すことができない」のは、どのような原因があるのでしょうか。
会話で目を合わせられない理由
会話そのものにエネルギーを使うため、目を合わせられない
アスペルガーを持つ方は、コミュニケーションが苦手と感じていることが多いです。そのため、会話そのものにエネルギーを要します。会話でエネルギーを使うポイントとして、
○空気や雰囲気が読めない分、相手の話す言葉に集中している。
○相手と話しているときでも周囲の目を気にしてしまう。
○常に「怒られるのかな…」などのネガティブな不安を持ちながら聞いている。
このような点から、リラックスした状態で話すことが難しいのです。そこに相手の目を直視してしまうと、さらに疲れてしまうのです。
したがって少しでもエネルギーを使わないようにと、目を合わせないようにするケースがあります。
さらに緊張が高まってしまう
アスペルガーを持つ方は、同時に対人不安や対人緊張を持ち合わせているケースが多いです。そのため、相手の前に立っている時点で相当な緊張をしているのではないでしょうか。相手に縛り付けられているような感覚だけでも、疲れてしまいます。
そのためアスペルガーを持つ方にとって、「相手の視線」は刺激が強すぎる場合があります。さらに自分に自信がなく、相手の目を見ると恐怖感を持ってしまいがちです。圧倒されて疲れないように、相手と目を合わせないことがあります。
自分の心情を読もうとされているようで、つい避けてしまう
自分の意図と違うところで相手に心情を知られることを好まないことがあります。これはアスペルガーが嫌う「想定外の物事」に該当するためです。対処として、真意を悟られないように目を合わせないようにすることもあるでしょう。
目を合わすことも意思表示と捉える人がいる
これらの事情により、アスペルガーを持つ方は会話の際に相手と目を合わせないことがあるのではないでしょうか。
しかしながら、相手によっては「目を合わせてもらえない」として、「無視された」などと思われてしまう可能性があります。
少なくとも、「目を合わせたくないわけではない」という姿勢は示さないといけません。周囲と問題なくコミュニケーションをとっていくために、どのような対処を行えばよいのでしょうか。
仕事の会話で目を合わせられない人のための対処法
対処法として大きく分けて2つです。「できるように工夫する」か、「できない旨を周囲に説明して理解してもらう」ことです。各対処法から2つずつご紹介します。
①簡単なあいさつなど、短い時間の会話から目を合わせてみる
いきなり長時間の会話で目を合わせようとすると、ストレスがたまってしまいます。ですからはじめは簡単な挨拶の時に少し目を合わせてみるところから始めてみましょう。
慣れてきたら、会話の中で少しずつ目を合わせる長さや頻度を多くしてみましょう。
②相手の目を見ずに正面を見る方法をとる
相手の目を直視せずに、目に近い高さの部位を見つめるという方法です。人によって眉間(みけん)の部分であったり、鼻であったりと違いがあります。
見ていても抵抗を感じないところに視線を当てて、「そっぽを向いていない」「相手と対面している」という姿勢を示す方法もあるでしょう。
目を見ていないので直接の解決にはなっていませんが、上の①と組みあわせて「会話中はカバーしながら少しずつトレーニングしていく」という方法も効果的です。
③メールやメモのやり取りなど、直接の会話の頻度を減らしてもらう
全てが対面の会話ですと、どんな工夫をしても疲れてしまいます。大切な話の時だけ直接の会話にして、それ以外の報連相(報告・連絡・相談)はメールなどの対面でないやり取りをお願いする方法もあります。
④目を合わせられない旨を上司に相談する
どんな手段を用いても相手との会話で目を合わせられない場合は、その旨を上司と相談してみましょう。
この時は、「目を合わせるとどうなるのか」「目を合わせるような直接の会話が多いと体調にどんな影響が出てくるか」などを具体的に考えておく必要があります。
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まとめ
【どうしても目を合わせることが辛いなら、テレワークがおすすめ】
いかがでしたでしょうか。
今回は「いかにして相手の目を見て話すか」対処法をお伝えしてきました。しかし、どんな方法を用いても目を合わせることが辛い場合は、「テレワーク」という働き方を選ぶのも手段の一つです。
テレワークは、離れたところで通信技術を用いてやり取りをします。そのため、相手と目を合わせないといけない場面を極力減らすことができます。
このように弱みをカバーし、相反する強みを活かす働き方を選ぶことで、自分を活かせる働き方があることも覚えておいてくださいね。
詳しくは、Salad編集部までご相談ください。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性、広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。筆者の場合視線が「睨み(にらみ)」のように見られやすいので、②の対処法をとることが多い。現在はテレワークで、このような困難が解消されている。