発達障害を大切なひとに伝えることは、勇気がいる
恋人に自身の障害を伝えるまえに
発達障害を持つ方の場合、目には見えない障害のため自身で伝えない限り分からないこともあります。会話の中などで相手が違和感を持つことはあっても、確信を得るまでには至りません。
ほとんどの方が恋人に自身の障害を伝えているという調査結果もあります。ただ、関係を維持するためには伝え方が大切です。
単純に、発達障害を持つということだけ伝えても、相手は「???」と不安だけ大きくなってしまいます。何が苦手で、どういう環境や状態であれば、問題ないのか、具体的にわかりやすく伝えることが大事です。その際に、お相手が自然体でいることがあなたにとって問題ないのであれば、明確にその点を伝えると相手は安心できますので、お相手が何か対応しなければならないことがあるのかないのか、明確に示すように工夫して伝達するようにしましょう。
それでも、障害を伝えるのには勇気がいる
それでも、発達障害であることを大切な彼氏に伝えるのは戸惑ってしまいますよね。「心配されてしまうのではないか」「嫌われてしまうのではないか」「相手のご両親にどうやって伝えようか・・」など、悩んでしまいます。結婚を考えていると、なおさら考えてしまいますよね。
そうして彼氏に伝えるタイミングを逃してしまって苦しんでいる方に、今回は不安を解消するヒントをご紹介します。
結婚前に彼氏に発達障害を伝えなかった時のリスク
まず、結婚前に彼氏に発達障害を伝えなかった場合、その後の生活で起こるリスクをご紹介します。
通院など、生活に関わってくる
結婚すると、共に過ごす時間が増えます。そのため、たまに会うときには黙っていても問題がなかった生活に関しての問題が関わります。通院に関しても、そのたび彼氏に黙って行くことになります。神経質な彼氏の場合、「いつも黙ってどこに行っているのだろう?」と心配してしまいます。
コミュニケーションの擦れ違いが増える
お互い時々会う時とは違い、結婚は日常生活での会話が増えます。そのためこれまでは気付かれなかったとしても、会話の食い違いが起こりやすくなります。
ここであなたが発達障害であることを知らなかった場合、
「あれだけ言ったのにまた忘れた!」
「片付けもできないのか」
「どうして人混みで具合が悪くなるんだ?」
など、あらゆる場面で疑問や不満を持ちやすく、けんかになってしまいます。そこでも伝えずに我慢していればあなたは苦しんでしまいます。
また、そのタイミングで障害を伝えると「どうして早く言ってくれなかったんだ!」とさらに不満を持たれてしまいます。
家庭での「クローズ」は精神的に辛い
発達障害を隠して働く「クローズ」をご存知ですか?一定の時間職場にいるだけでも、綿密な準備を要するくらい障害を隠すのは負担がかかることなのです。
このプレッシャーが、本来安心する場所である「家庭」にあることを想像してください。障害を隠すというのは、精神的に辛いことなのです。
障害自体は、悪いことではありません。しかし、隠す期間が長くなればなるほど、「悪いこと」として考えるようになってしまいます。
カミングアウトをせずに共同生活をすると、このような問題が起きる可能性があります。それでは、結婚前に障害を伝えることではどんなメリットがあるのでしょうか。
結婚前に彼氏にカミングアウトをするメリット
コミュニケーションにずれがあっても、受け入れられやすい
発達障害がコミュニケーションに特徴のあることが多いのは、多くの方が知っています。もし彼氏が知らなかったとすれば、あなたが特徴や困っていることを伝えてください。
本当に大切に考えている彼女であれば、必ず受け止めてくれます。
会話のやり取りに不安を感じていたら、こちらの記事「発達障害を持つ方の会話のコツ4つ~話が通じないときは要確認!」を参考にしてみてください。
精神的に不安定なときでも、理解されやすい
発達障害を持っていると、生活のあらゆる場面でストレスをためやすいです。それによってイライラしていたり、不安が強まったりすることもあります。そんなときに障害であることを知らないと「なんでイライラしているんだ?」と不満に思われてしまいます。反対に、障害を伝えておけば「今日は具合が悪いのかな」と考えやすくなります。
このように、彼氏のあなたに対する心情の汲み取り方が変わります。よってあなたが精神的に不安定なときや具合が悪い時でも、理解されやすくなります。
気持ちの保ち方に不安を感じている方はこちらの記事「発達障害を持つ方が「白黒思考」に苦しむのはなぜ?職場での予防法」、「「イライラ」に効く!大人の発達障害を持つ方のための認知行動療法」を併せてチェックしておくことをおすすめします。
何よりも、あなたが安心して生活できる
一緒にいる時間が多い中で、不安を感じながらずっと生活していくのは辛いことです。障害を彼氏に伝えていれば、この不安は解消されます。
結婚後、通院や障害についての相談も彼氏に同行してもらう機会があるかもしれません。そのような生活面を考えても伝える方が安心です。
結婚する上での不安
障害を伝えたのち、結婚に関して生じやすい不安を紹介します。
彼氏のご両親にはどう説明したらよいか
彼氏のご両親には、彼氏を交えてよく相談していきましょう。一番は「あなたと一緒でも、彼氏は幸せでいる」ことがご両親にも分かれば安心されやすいです。
その他、彼氏からご両親が結婚に関してどんな心配をしているかを聞いて、二人で解決策を考えていきましょう。
生まれてくる子供には遺伝しないのか
発達障害は、先天性の脳機能の障害です。育て方や環境の影響ではありません。
遺伝に関しては、現在の研究では「親が発達障害だから子も発達障害になる」とは言い切れないとされています。
参考:きょうだいの結婚へのハードルは、案外高くないかもしれない / 山下のぞみ×太田信介×藤木和子×持田恭子 | SYNODOS -シノドス-
結婚後、新居への引越し手続きに混乱しないために
めでたく結婚し、新居に彼氏と住むことになれば様々な手続きが必要です。障害を持っていると、他の方よりも手続きが多くなります。こちらの記事「「精神・発達障害者が引っ越したときの必要手続きを一挙まとめて紹介!」をチェックして準備しておきましょう。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
冒頭で触れたように、調査ではほとんどのカップルがカミングアウトによっての変化はなかったと回答しています。これまでのあなたとの信頼関係があれば、大丈夫です。
勇気を出して、大切な彼氏に伝えてみませんか?
【筆者紹介】
30代男性。既婚。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。あらゆる出会いの場所に出向いている経験がある。体験談はこちら「発達障害者は結婚できない!?30代既婚ASD男性が取り組んだこと」