発達障害を持つ方が「クローズ」で就職にトライするときの対策3つ

発達障害を持つ方がクローズで就職するには、現場に適応するための綿密な準備が必要。

1)「クローズ」とは

「クローズ」とは、精神障害や発達障害を持つ方が自身の障害を開示せず、企業に就職することをいいます。

反対に、企業に自身の障害を開示して就職することを「オープン」といいます。オープンとは、障害者枠で就職することに加え、障害を有することを開示し、一般枠で就職することも含まれます。

「クローズ」での就職は一般枠で応募し、他の障害を持たない方と同じ条件で仕事をします。障害を有することを開示しないということです。経営者が理解ある方の場合、経営者には障害を持つことをオープンにし、現場で働く方々には非開示にするという方法を取るケースも稀にあります。

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2)「オープン」と比べて、「クローズ」での職場定着は難しい。

発達障害を持つ方で、採用後1年間でおよそ3割の方が離職しています。

離職の主な原因として、体調面の問題や対人関係が多いです。職場に障害を開示しない「クローズ」で就職する場合、発達障害を持つ方自身で体調やコミュニケーション方法を調整する必要があります。

発達障害を持つ方本人でも自覚していない特徴があった場合、周囲とうまく関われず離職してしまう方もいます。

参考:障害者職業総合センター研究部門 障害者の就業状況等に関する調査研究(平成29年)

【ポイント整理】精神障害・発達障害を持つ方が「クローズ」で就職した場合

ここでは、精神障害を持つ方が「クローズ」で就職した場合のうち、発達障害を持つあなたにも共通しているポイントを抜粋してご紹介します。

【共通】精神障害・発達障害を持つ方がクローズで就職したときのメリット・デメリット

【メリット】
1)キャリアアップの可能性が高まる
2)職種の選択肢が幅広い
3)給与が高いケースが多い

【デメリット】
1)通院・服薬の配慮がない→対策:医療機関と相談して、通院日などを工夫する。

精神障害・発達障害を持つ方に共通した、クローズで就職するときのポイントはこちらです。上記についてさらに詳しく知りたい、という方は公開の記事「精神障害を持つ方がクローズで就職したときのメリット、デメリット」をご覧ください。

ここでは、発達障害を持つあなたが障害を開示せず、クローズで就職したいときに「特に心がけてほしいポイント」をご紹介します。まず、クローズで就職したときにあなたが抱える課題をご紹介します。

発達障害を持つあなたが、クローズで就職したときに抱える課題

1)特性に対しての配慮がなく、苦手なことにも適応しないといけない。

クローズで就職すれば、職場の方は誰もあなたの特性を知りません。もちろん、あなたの特性への配慮はありません。他の障害を持たない方と同じ条件のため、あなたが苦手な業務でも、努力して適応していかなければなりません。

また、採用の時に「上層部や経営層の方にのみ障害を伝え、現場には障害を公開しない」という方法もあります。しかし、現場の方はあなたが障害を持っていることを知りません。そのため「形式上『電話対応はなし』となっているけど、現場の上司から『なぜ電話を取らないんだ!』と怒られてしまった・・」というケースもあります。

このようにクローズで働く場合は、現場の状況によってあなたに臨機応変に対応が求められます。

2)コミュニケーションの「ずれ」に注意しなければならない。

発達障害を持つ方は、周囲とのコミュニケーションが苦手です。そのため周囲の方と噛み合わないリスクがあります。

「オープン」で就職した場合、周囲の方はあなたが発達障害を持っている「前提で」対応します。そのためコミュニケーションにずれがあっても、周囲の方は理解しやすいです。

しかし「クローズ」のときはこの「前提」がありません。あなたと周囲の方とでコミュニケーションが噛み合わなかった場合、「あの人何であんなことを言うんだろう・・?」「あの人、何を考えているか分からない・・」など、周囲の方から疑問や不満を持たれる可能性があります。

3)障害を隠すために、自分をコントロールしないといけない。

発達障害を持つ方で、中には障害を隠し続けることに罪悪感を持つ方がいます。罪悪感を感じる必要はありませんが、どこかで他者に向けて演じる自分に疲弊してしまって、うつなどの二次障害を発症してしまうケースもあります。

クローズで就職した場合、「障害がばれたらどうしよう・・」という不安の中で仕事をしなければなりません。発達障害を持つ方は、独特の感覚や価値観を持っています。周囲に適応するため、常に「障害を持たない方」として自分をコントロールすることが必要になります。

関連記事:精神障害を持つ方の離職率を下げ、定着率を向上させるためのポイント4つ

このような課題に向き合い、発達障害を持ちながら「クローズ」での就職にトライしたい!という方のために「3つの対策」をご紹介します。

発達障害を持つあなたが、クローズで就職するための対策

1)自己理解を深めて、苦手なことへの対処法を用意する。

「オープン」で就職した場合、あなたの障害に合わせた業務の配慮があります。そのため、あなたの苦手な業務に関わることは少ないです。一方「クローズ」で就職した場合、業務配慮がありません。担当業務があなたの苦手なことでも、行わないといけません。そのための準備として、

〇あなたが持つ弱みや苦手な業務を理解する。
→例「電話対応が苦手」
〇あなたが希望している企業の業務内容を調べる。求人票などを見てあなたの苦手な業務がないかを確認する。
→例「求人票に『電話対応』の表示があった」
〇苦手な業務があった場合、その対処法を考える。
→例「電話業務を外し、得意なことに集中する仕事内容とできるか交渉してみよう」
→例「電話が鳴っても戸惑わないように、どんな電話が来るのかを想定しておこう」
〇対処法を用意したうえで、その他現場で起こりうることを想定しておく
→例「イレギュラーなことが起こったらどのように対処すべきか、上司に事前に確認しておこう」
の4点を心がけましょう。あなたひとりで考えるのが不安な場合は支援機関に相談してみましょう。

2) 定期的に支援機関の方に相談して、コミュニケーション方法を確認する。

コミュニケーションのずれは、あなたでは気付かないかもしれません。そのため就労支援センターや就労移行支援事業所など、定期的に支援機関のスタッフの方に相談しましょう。

「クローズ」の場合、支援機関の方が企業に直接助言をすることはできません。現場ではあなた自身でコミュニケーションのずれに気付いて、周囲に適応していくスキルが必要です。

3)ストレスや疲労の解消法を用意する。

先ほどの課題でもお伝えしたように、「障害を隠す」ことや苦手な業務も行うことはあなたの負担になります。「オープン」で就職するときと比べて、あなたにかかるストレスや疲労は大きいです。

長く職場に定着するために、あなたなりのストレスや疲労の解消法を用意しましょう。体調を崩す前に、リフレッシュできるスキルが必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。発達障害を持つ方は、得意・不得意にムラがあることが多いです。そのためクローズで就職する場合は「多くの方が『当たり前にやっていること』ができない」ことに立ち向かう強さが必要です。

自己理解を深めて、支援機関の方とも相談しながら、現場に適応できるよう綿密な準備をしていきましょう。もし迷うことがあればSalad編集部までご相談ください。