「イライラ」に効く!大人の発達障害を持つ方のための認知行動療法

【筆者紹介】
30代男性。大人になって発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受ける。過去の失敗体験などから、「どうせ自分は…」「全部自分のせい」という思考になりやすく、うつ病を体験。現在はこのような思考を予防するため、認知行動療法を学習。周囲のサポートを受けつつ、自己管理をして改善している。

発達障害の特性ゆえに、他者とのズレや理解されないストレスを感じやすい

1)大人の発達障害を持つ方は、他者とのすれ違いでイライラを感じやすい

発達障害を持つ方が就職しても職場に定着できず、早期に離職しています。離職する理由として、「業務上遂行に課題がある(企業のニーズをクリアできない)」、「体調面の問題」が多いです。

参照:障害者職業総合センター研究部門 障害者の就業状況等に関する調査研究(平成29年)
参照:障害者職業総合センター研究部門 発達障害者の職業生活への満足度と職場の実態に関する調査研究(平成27年)

「周囲は全く自分を理解しようとしない。イライラする!」
「自分はミスしかしない。ダメな自分にイライラする!」
こんな感情を抱いていませんか?このイライラは、あなたが体調を崩す原因になります。また、「そんなことは知っているけど、それでも治らない」と悩んでいるあなたに、改善法をご紹介します。

まず、あなたがイライラを続けることで起こりうるリスクをお伝えします。

【要注意】あなたのイライラによって起こるリスク

1)ストレスがたまり、二次障害を発症する

ストレスがたまると、うつ病やパニック障害、対人不安などの二次障害を発症します。これによりあなたの体調が崩れてしまいます。仕事はもちろん、あなたの日常生活にも大きく支障をきたします。

参考:厚生労働省 こころの耳3 ストレスへの気づき

2)周囲に悪影響を与え、コミュニケーションに支障が出る。

イライラしていれば、周囲の方は警戒します。あなたが隠しているつもりでも、我慢できないイライラは見えています。また、そのような感情を敏感に察知して、具合が悪くなる方もいます。

イライラすることで、あなたも周囲を警戒していませんか?このような緊張状態はコミュニケーションに支障をきたし、あなたが孤立してしまう要因になります。

3)仕事や日常生活において、本来の目的が見えなくなる。

イライラすることで、あなたが本来持つ仕事や日常生活の目的を見失います。「仕事を頑張って成長したい。」「幸せな生活をしたい。」という気持ちが、イライラによって書き消されてしまいます。目的を見失うと、さらに不安になる悪循環を生みます。

「自分や他人に悪影響。そんなことは分かっている。でもどうしてもイライラする…。どうしたらよいか分からない!」というあなたに、今から改善法をお伝えします。

【イライラに効く認知行動療法】スタートは、なぜイライラするのかを振り返ること。

まず「自分は、どうしてイライラしているのだろう?」と振り返ってみましょう。これだけでイライラが収まるケースもあります。
さらにイライラの原因をつかむヒントとなる「自動思考」についてご紹介します。

1)自動思考とは

自動思考とは、無意識のうちにあなたを追い詰める思考のことです。
「ミスをしたということは、自分はダメな人間に違いない。」
「あいつばかりよく思われて、ダメな自分は認められるわけがない。」
このような感情は、自動思考から生まれているケースが多いです。

参考:厚生労働省研究資料

さらにあなたに当てはまる「自動思考=ゆがみ」がないかを詳しく見ていきましょう。

【自動思考の種類】あなたの「イライラ」のもとに「ゆがみ」がないかをチェックしよう

1)【白か黒か】の白黒思考。

発達障害を持つ方には、曖昧な物事に不安を感じる特徴があります。この不安を解消するために、無意識に「白か黒か」「0か100か」の極端な思考になりがちです。

2)【ひとつダメなら全部ダメ】の過度な一般化

ひとつのミスをしただけで、あらゆることに結び付けて悪いイメージを持ちます。こだわりが強い方や、衝動的に行動してしまう方に見られます。

3)【悪いことしか起きない】悲観的に捉えるマイナス思考

過去の体験などから、人や物事に対して悪いイメージしか持たなくなります。悪いイメージを想定することで、実際に起きたときに動揺しないためです。しかし悪いイメージが進
むことで、うつ病などの二次障害を発症するおそれがあります。

4)【何もかも全ては自分のせい】個人化。

責任感の強い方や、対人不安の強い方に多いです。原因を自分に向けることで、他者への意識を軽減するためです。

5)その他

自分ルールを自他に押し付ける(〜すべき思考)、感情的に判断してしまう、など

参考:パニック障害(パニック症)の 認知行動療法マニュアル (治療者用)
参考:うつ病の認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアル
参考:社交不安障害(社交不安症)の 認知行動療法マニュアル (治療者用)

このような思考に心当たりはありましたか?

実際に起きている事実と照らし合わせてみましょう。最後に、以上のことを踏まえて、改善するための流れをおさらいしましょう。

【認知行動療法】大人の発達障害を持つ方を悩ませる「イライラ」に効く改善の流れ

ステップ1:あなたがイライラする瞬間を思い出してみる。
ステップ2:自動思考に気付く。

自分ではどう整理したらよいか分からない・・という方は、こちらの厚生労働省 自動思考記録表(コラム表)-記入用-を参考にチェックしてみることをおすすめします。

ステップ3:あなたの思考と事実のズレを確認する
あなたが感じていることと、今実際に起きている事実を書き出して、整理してみましょう。

あなたの思考と事実とのギャップを感じたら、修正することでイライラが解消されます。

このように、あなたが無意識のうちに起こしている思考に焦点を当ててみましょう。客観的に思考を見ることで、イライラの予防にもつながります。

自分ひとりでは不安…という方は、就労移行支援事業所に相談してみましょう

「ひとりで自分の気持ちを深掘りすることは、辛くて耐えられない」「自動思考が整理できない・・」という方もいるかもしれません。そんな方は就労移行支援事業所に相談してみましょう。

あなたをサポートしてくれる方ができることで、安心して取り組むことができます。相談先に迷ったらSalad編集部までお声かけください。

まとめ

いかがでしょうか。

このようなイライラであなたや他者を苦しめてしまいます。考えてみてください。ポジティブなイメージには深く根拠や条件を求めるのに、どうしてネガティブなイメージは根拠なく確信できるのでしょうか。これも、「ゆがみ」を見つけるヒントです。筆者はこの考えから改善が始まりました

。日々の生活に満足する権利は、あなたにも充分にあります。これを機に、あなたを苦しめる「イライラ」を解消してみませんか?