【筆者紹介】
Salad編集部員。1980年生まれの男性。30歳の時にASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けており、HSPの傾向も強い。現在の前の職場ではおよそ4年間、障害者雇用として民間企業の事務職に勤務していた経験がある。Saladでは主に記事制作を担当。
障害者雇用として、働く目的が見えなくなる時期を経験した
何のために働いているのか分からない
筆者は障害者雇用で、およそ4年間事務の仕事をしていました。書類やデータのチェック、社内便の対応などが主な業務内容です。もちろん職場のために貢献したいという気持ちから、懸命に仕事に取り組んできました。実習時代から直属の上司と日誌のやり取りをしていましたが、このおかげでコミュニケーション上での不安も軽減されていました。その日誌をもとに、今の体験記事に活かすこともあります。
このように、決して周囲のサポートに対して不満を持つことはありませんでした。しかし、「何のために働いているか」自分なりのテーマが見つからないことで苦しんだことも事実です。この件に関しては仕事内容への文句にもつながってしまうため、上司などには相談はできませんでした。
自分で工夫して、「やりがい」を探すことにもトライした
ただし、筆者の性格上「何となく仕事をやる」「何となく毎日を流す」というスタイルは受け入れられませんでした。だからこそ、今自分が直面している仕事を「何とか意味を感じられるものにできないか」と試行錯誤をしたのです。
状況によって改善案を上司に提案したり、業務に関係している方の要望を聞いてその対策を考えたり…。このような、自分自身でやりがいを探す工夫もしてきました。「障害を持つ『からこそ』できること」を求めて取り組んでいたのです。
職場の中には理解してくださる・賛同してくださる方もいましたが、多くの方は「勝手なことをするな」「言われたことだけしていればいい」「私たちも努力しないといけなくなるから、余計なことはするな」という反応でした。それに対する圧力を感じた事もあります。筆者以外にも、自分らしく働けないことで不安を抱えているケースが多いのです。
参考:障害者雇用の現状等 – 厚生労働省
参考:障害者職業総合センター研究部門 発達障害者の職業生活への満足度と職場の実態に関する調査研究(平成27年)|障害者職業総合センター NIVR
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そこで今回は、
・障害者雇用で働く目的についてどう感じたか
・障害者雇用について、今企業が求めている人物はどんな人物だと感じたか
・障害を活かして活躍する方法はあるのか
この3点について紹介します。
【体験談】障害者雇用で働く目的、企業が求める人物像について感じたこと
障害者雇用の方が、劣等感を抱きやすい環境にある
筆者の勤めていた企業では、『障害を活かす』という発想はありませんでした。特に精神障害や発達障害に関しては困難を目で確認することができないために、職場も対処に苦労している感覚がありました。そのために、大多数の人にあてはまる対処として『誰でもできる仕事』を任せられることが多いのではと考えています。この様な仕事に個性を求めると、業務のバランスが周囲との連携が崩れやすいのです。
このままでは、障害者雇用では企業の指示とおりに仕事をこなすロボットを求めているように感じました。そこには、一般的にいう「健常者」を正解・模範とすることが大前提という印象を受けています。よって障害を持つ方は「間違い」「不足」として受け取られるため、その不足分を埋めようとできる部分を伸ばすことで貢献したいと考えました。実際にそれである程度の成果も挙げることができましたが、どんな成果を挙げても周囲にとって筆者は『電話が取れない人』でしかなかったのです。
このように、障害者雇用では「健常者に近づける人」を求めているように感じました。よって
・自分らしさを発揮できない
・障害を持つ人が「下」に見られやすい環境
これらの条件によって、劣等感を持つこともありました。
当時の心理状態を例えると、本来借りてもいない借金を返さなくてはならない感覚…というような罪悪感の中で仕事をしていたものです。
関連記事:大人の発達障害を持つ方が、職場で劣等感を持ったときの対処法
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障害者雇用と管理者の間に、双方を理解している役割の方がいない
当時に困ったこととして、『翻訳者がいない』という問題がありました。『翻訳』という表現を用いるくらい、障害者雇用と健常者の方、さらには障害者雇用同士で用いる言語でのすれ違いを感じていました(実際には、同じ言葉ではありますが)。そのため、上司も管理に苦しんでいるのがこちらにも伝わってきたのです。それを意識してか、相談することをためらうときもありました。
今ではジョブコーチなど、公平な立場であり双方を理解しているポジションが設置され始めています。しかし筆者の企業には、このポジションがありませんでした。そのために、周囲に自分なりに辛さを訴えてもその重要性や緊急性が伝わらない、ということは多くあったのです。
筆者自身、在職中自宅にいる時にカウンセラーの資格を勉強して取得しました。これは自ら職場でこのポジションになることも考えていたからです。
関連記事:【発達障害】フリーランスを目指してカウンセラー資格を学んだ体験談
自分らしく働けないために、目的を見いだせない
冒頭で紹介したように、自分らしさを求めようとすると不満を持たれることもありました。ただこれに関しては理由もあって、
・他の障害者雇用の方への刺激が強すぎる
・多様な価値観で働くと管理しきれない
・業務について共有することが困難になる
これらを危惧した結果だとも感じてもいました。自分自身『頑張ることで周りを不幸にさせる』『でも、頑張らなければ怒られる』というジレンマにずっと悩んでいたのです。また、そうして悩むのが当たり前なことだと意識していたために、変わろうとは考えていませんでした。
このように自分らしさを制限された中で、どう他者を傷つけずに自分を活かすかを考えていくうちに、精神的に負担を感じ始めていたのです。
参考:障害者枠で契約社員として働くADHD男性の苦悩 | ボクらは「貧困強制社会」を生きている | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
障害を活かして働く方法はあるの?
当時の筆者ももちろん、「障害を持つ『からこそ』できる」ことで働く方法はないか考えました。筆者には妻がいますが、妻からも「ありのままで活躍できる仕事を探す」ことを求められたほどです。悩んだ挙句この民間企業を辞め、就労移行支援事業所に通うことを決めたのです。
はじめはお世話になった会社を、中途半端な形で辞めるために戸惑いもありました。しかし今考えると『自分らしさに近づけてよかった』『こんなに我慢せずに働く方法もあるのか』と気づいたことが多く、良かったと感じています。
関連記事:就職手段に就労移行支援を選ぶまで【発達障害を持つ筆者の体験談】
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仕事・働き方に悩んでいたら。『Salad』が強みを活かす就職のサポートをします
まとめ
【Saladは、障害を活かして働くスタイルをサポートします】
いかがでしたでしょうか。
筆者もさまざまな悩み・苦難を迎え、現在の業務に辿り着きました。強みを活かすことで、自然体で働くことの大切を実感しながら仕事をしています。強みを活かす分、より責任や達成感も得られます。その責任を受け入れられる度合いも大きく変わっています。
筆者のように『就労移行支援事業所に通いたい』『自分を活かして働きたい』と感じていたら、ぜひSaladまでご相談ください。こちらのお問い合せフォームから送信することができます。お待ちしています。