パラレルワークという働き方が注目されている
パラレルワークとは
「パラレルワーク」とは、複数の仕事を並行して行う働き方です。「複業」や「パラレルキャリア」とも呼ばれています。
複数の仕事を行うものとして「副業」もありますが、こちらは本業との優先順位がある点でパラレルワークとは異なる働き方です。
関連記事:『副業』と『複業・パラレルワーク』の違いとは。障害者雇用で選べる?
働き方改革の浸透で、注目されている
かつては一か所に勤め続ける『終身雇用』が主でした。しかし『顧客のニーズの変化』、『事業のグローバル化』、『労働力の減少』などにより、それまでのスタイルから新しいワークスタイルが求められるようになってきました。
その影響でワークスタイルイノベーションなど、新しい考え方が誕生しています。パラレルワークも、この流れで誕生したワークスタイルなのです。
参照:「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて」 厚生労働省
参考:総務省|ワークスタイルを変えるオフィス改革の試行的取組
発達障害を持ちながら、パラレルワークにトライしている
筆者はASD(自閉症スペクトラム)という発達障害を持っています。公務員と民間企業(障害者雇用)を計17年経験したのち、現在のワークスタイルになりました。
現在は、
①Salad編集部員として、障害を持つ方に関わるライター
②障害者アーティスト
この2つを並行して行う『パラレルワーク』にトライしています。
比重として現在は①が大きいため、②が忙しくなったときなど今後のバランスのとり方に注意しています。
今回は自身がパラレルワークにトライしていることで、
・実際にどんな効果を感じているか
・気を付けていることはどのようなことか
この4点についてお伝えしていきます。
参考:発達障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省
参考:大人の「自閉スペクトラム症(ASD)」とは?特性の理解が大切! | NHK健康チャンネル
パラレルワークをして感じた効果は?
収入が増える
分かりやすい効果ですが、収入が増えます。アートについては作品が企業から採用をいただく際に収入を得る形式が主ですので、不定期です。しかしながら収入を得られるということは有難いことで、「『好き』を仕事にしている」達成感があります。
両方に共通点があると、相乗効果を生みやすい
ライターとアーティスト。この2つの共通点が「障害を持つ方が関わること」です。2つが共通していることで、相乗効果を生む場面がありました。
個人的には「障害者アーティスト」として取り組むことで、ライターとして記事として活かすことができました(記事はこちら)。さらには記事に見ることで、障害者アーティストになりたいと感じる方が増えることも期待できます。このように、1つの行動で2つの場面に活かせるという相乗効果が出てきます。
これが例えば同じライターでも、全く違うジャンルの事業であれば記事にはできません。業種が違えば、もっと活かせないわけです。
そのため、『共通しているからこそ同時進行が可能』なのかもしれないと感じています。
オンオフのスイッチになり、過集中などの予防につながる
筆者は過集中状態になりやすく、過去にも時間を忘れて没頭してしまう経験がありました。それにより発熱など体調悪化につながったこともあります。
パラレルワークは、「やらないといけないこと」が2つになるということです。ですから強制的に意識を切り替えないといけない部分が出てきます。
例えばアートで作品作りに没頭したままでいる…ということを「そろそろ仕事(ライター)の時間だ」とセーブすることに役立っているという感覚です。自分の意識で「オフ」にするのが苦手なので、違うスイッチを「オン」にして対処しているのです。
これがオンオフのスイッチ代わりとなり、過集中状態を予防することに一役買っています。
では、パラレルワークで注意していることを紹介していきましょう。
パラレルワークの働き方で注意していること
「仕事」という概念そのものを見直す必要がある
パラレルワークにトライする際に、まずは『仕事』という概念を見直していきました。それまでは「仕事は楽しんでやるものじゃない」「我慢や苦しさがあるからお金をもらえる」このような固定概念を持っていました。
パラレルワークは、このような考え方ではすぐに体調を崩してしまいます。そのため仕事という概念を見直しが必要です。あくまでも自然体で、「『好き』をエネルギーにできる」ことを意識していく必要があると感じています。
時間配分や予定管理など、自己管理が必要になる
パラレルワークは、当然仕事に費やす時間が多くなります。しかし一日24時間しかないのは誰でも同じ条件です。限られた時間の中で同時進行をするためには、「あらかじめ当日に何をするのか」が決まっていないと難しいです。
予定が曖昧なまま漠然と行っていると、どちらも全く進行していないという事態になりかねません。ですから事前に行動予定を決めておき、「作業がぶれない」ように注意する必要があります。
そのためには常に時間や予定の管理はもちろん、それに耐えうる心身を保つ自己管理にも注意しています。
提出物等は可能な限りすぐに対応する
ライターで言えば、仕事そのものも「提出物」です。その他必要書類などを送付する機会が出てきます。アーティストとしても作品などの送付依頼があれば、期日内に送付しなければなりません。
筆者はこのような提出物をすぐに出すようにしています。理由は相手への礼儀としてはもちろん、実行しなければ「タスク」として覚えておくことが増えるからです。パラレルワークは当然、意識しなければいけないことが増えます。そのためやり残したことを忘れてしまうリスクも高くなるのです。
相手の業務が滞ることがないように、提出物について行動できる時間を見つける工夫が必要になります。
収入目的以外の動機が大切
筆者は収入以上に「障害を持つ方の活躍」という目的を持って仕事をしています。もしパラレルワークをしたい一番の目的が「収入」だとしたら、一度考え直した方がよいかもしれません。
好きなことや長所を活かせるからこそ、仕事への負担が最小限に抑えられます。ですからパラレルワークを行う際には、少なくとも1つは「好き」「長所」を活かしたものを選び、生活に浸透させる工夫が必要になるでしょう。
筆者はパラレルワークについてこのようなことに気を付けています。さらに必要事項を知りたい!と言う方はこちらの記事「【発達障害】複業・パラレルワークをしたい!実現に必要なこと5つ」を参考にしてみてください。
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おわりに
【発達障害でもパラレルワークはできる?】
いかがでしたでしょうか。
障害者雇用でも「同一労働同一賃金制度」などが浸透すれば、収入はもちろん仕事のやりがいも変化するかもしれません。しかしながら経済的自立にすぐにつながるかといえば、難しいかもしれません。
パラレルワークは障害に甘えることなく、むしろ活かす気持ちで臨めば発達障害でもできる可能性があると考えています。筆者もまだ成長の途中ですが、共に頑張る方が増えるよう願っています。
もし、自分らしい働き方を探していたらSalad編集部までご相談ください。『カスタマイズ就業』というワークスタイルをもとに、より長所や個性を活かす仕事を探すお手伝いを致します。
ともに「障害を持っているから輝ける」働き方を目指していきましょう。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。HSP傾向も強い。Salad編集部員としてライターを行いながら、障害者アーテストして活動している。将来的には取得したメンタル心理カウンセラーの資格も活かすことも目標としている。