仕事をする体力がない…
体力はあるはずなのに仕事になると、疲れやすい
発達障害を持ちながら、仕事を頑張っている方が増えています。その中でも「仕事をする体力がない」ことで悩んでいることはありませんか?「普段の生活では全く問題がない」「過去に運動経験があって体力には自信があるのに、疲れてしまう」など感じている方も多いでしょう。
このように職場でだけどうしてこんなにも疲れるのか…という原因がわからずに苦しむケースが多くあります。これにより、職場に定着できない問題も起きてしまうのではないでしょうか。
充分に休んでいるのに、なぜか疲れてしまう
疲れている姿を見て、「ちゃんと休んでいるか?」「しっかりと食べていますか?」と言われたこともあるでしょう。
しかし、休養や体のケアもしっかりと行っているのに疲れてしまうのは、別の原因があります。
働く体力は、運動の体力と異なる
精神的な疲労も加わる
仕事の疲労は、身体的な疲労だけではありません。走ることやスポーツをすることなどの体力とは異なる「精神的な疲労」も含まれます。肉体的な労働であったとしても、この精神的疲労はつきものです。
発達障害を持つ方は、この精神的疲労を強く感じる傾向があります。では、その原因をご紹介していきます。
参考:働く人の疲労蓄積度セルフチェック(働く人用)|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト(自殺対策を含む)
働く体力がない正体『精神的疲労』の原因
疲労を自覚できない
発達障害を持つ方は、様々な事情から自分の状態を把握することが苦手なケースがあります。
主な自覚できない例として、
・過集中状態になりやすく、その間は自分の状態を見失ってしまう
・自己評価が低く、「もっと頑張るべきだ」と無理をしてしまう。
このような理由から、自分の状態を正確に知ることが苦手なのです。これにより、疲労の対処が遅くなってしまいます。
関連記事:【大人の発達障害】疲れに気づかないと二次障害の危険も!対策を紹介
緊張や不安が激しい
人や業務など、発達障害を持つ方は常に不安を抱えながら仕事と向き合っていることが多いのではないでしょうか。よって不安なことに直面した時の緊張が強くなります。また、緊張する機会も多いでしょう。
例として、
・話が噛み合わないなど、苦手な人と話さないといけない
・どうしても苦手な業務をしなければいけない
・指示の意味が分からないのに、聞くことができない
・オフィスの空間自体に抵抗感がある(心当たりのある場合はこちらもご覧ください)
緊張や不安は精神的な疲労を加速させます。
関連記事:【発達障害】苦手克服を求める職場とは?頑張りすぎると適応障害に
感覚過敏に悩みやすい
発達障害を持つ方で感覚過敏に悩んでいる方が多いのではないでしょうか。雑音やまぶしい光、不快なにおいなど他の人からすれば些細なことでもダメージを受けます。
周囲に理解されにくく、「それぐらい大したことない」と考えられやすいのもストレスになるのではないでしょうか。そうして対処がない、対処してくれないストレスに疲れてしまうのです。
『燃費の悪さ』が疲れやすい原因なことが多い
他の人よりも、ひとつひとつの行動にエネルギーを使う
このように、発達障害を持つ方は一つ一つの行動にエネルギーを多く使っています。どれだけ体力に溢れていても、消費量が激しければすぐに疲れてしまうでしょう。
発達障害の「体力のなさ」はこの「燃費の悪さ」が大きな原因なのです。
では、このような「精神的疲労」を緩和し、疲れを予防するためにはどのような方法があるのでしょうか。
精神的疲労予防・働く体力をつけるコツ
毎日の健康状態を確認し、変化に気付きやすくする
疲れを自覚できない問題を改善するには、変化に気づくきっかけが必要です。その一つとして、毎日の健康状態を記録しておく方法があります。
例えば朝起きたときの感覚や食欲、毎日のルーティーンをこなした時の気持ちなどでも良いです。何か一つ、自分にとって分かりやすい体調をチェックするだけでも構いません。
その記録から「いつもと違う」状態に気づくきっかけをつかんでいきましょう。
成長を体感して、気持ちを慣らしていく
どこまで仕事ができているか、どこまで成長できているかが分からないまま不安を感じていることはありませんか?上司や周囲の方から「採点」してもらえれば分かりやすいですが、現状として数値で測ってもらうことは難しいです。そのため、成長や達成度に関しては自分でも確かめられなければいけません。
ですから、常に「過去の自分」と比較するくせをつけてみましょう。「できないことができるようになった」「作業が早くなった」「ミスが少なくなった」なども成長です。これを自覚していくことで、少しずつ自信がつき気持ちが慣れてくるのです。
仕事の『合格点』を確認する
自分のやっている作業が「合っているのか・合っていないのか」正解が分からないまま行っていると、不安からストレスがたまります。
ですから上司に確認をして、仕事の「合格点」を知ることが大切です。「これができれば大丈夫」という基準や業務目的を把握していると、不安が弱まります。
定期的に上司と相談する機会を作る
その他周囲との対人関係や特性による困難など、悩むことが多いのではないでしょうか。「困ったらいつでも相談する」という方式ではタイミングがわからないケースが多いでしょう。ですから定期的に相談する機会を設けてもらうようお願いしましょう。
悩みを伝えられる場がある、という安心感だけでも疲労が軽減します。
相談方法については、下記の関連記事を参考にしてください。
関連記事:【大人のADHD】仕事で辛い悩みを相談できない…原因と打開策4つ
関連記事:【ASD・アスペルガー】悩み事を相談できない…きっかけの作り方4つ
過敏な感覚を把握し、対処を考える
どの感覚が過敏なのか、過敏に感じるもとが何なのかを把握し、上司に伝えてみましょう。
伝え方としては、
①辛い原因となる感覚はどんなものか(聴覚・視覚など)
②職場で過敏になっている対象は何か(電話の音がうるさい、陽の光がまぶしいなど)
③過敏なことで体調にどんな影響が起きるか(気分が悪くなる、めまいがするなど)
④希望している対処は何か(席を変えてほしい、ブラインドを閉めてほしいなど)
⑤対処することでどんな効果が期待されるか(体調が戻る、集中できるようになるなど)
の5つを軸として伝えてみましょう。
感覚過敏に関してはこちらの記事も参考にしてみてください。
充分な食事や睡眠をとる
体の疲労がたまっていることで、警戒心や不安、緊張が高まることが多いです。そのため、充分な食事や睡眠をとることも忘れずに心がけましょう。
関連記事:【体験談】大人の発達障害も偏食や食事のこだわりがある?注意点4つ
業務に慣れない、対処しようがないと感じていたら…
今回は、職場での精神的疲労を緩和する方法をお伝えしました。しかしながら工夫をしてもできない業務があったり、困難について対処してもらえないというケースも考えられます。
そのようなことで悩んでいたら、ぜひこの機会に「カスタマイズ就業」という言葉を覚えておきましょう。これまでの「できないことをどう頑張って克服するか」がメインではなく、本来持っている個性を活かして働いていくというスタイルです。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
発達障害を理由に体力が続かないのは、決して「ひ弱」でも「根性なし」でもありません。疲れ方が周囲と異なるだけなのです。ですから疲れ方の特徴をつかんでいけば、他の方と同じように、もしくはそれ以上の活躍もできる可能性があります。
上司や医療機関と相談しながら、疲労予防に努めていきましょう。