ワークスタイルイノベーションとは?
そもそも、ワークスタイルとは
ワークスタイルイノベーションの説明の前に、まず「ワークスタイル」について説明しましょう。
「ワークスタイル」とは、働き方という意味です。しかしその受け取り方は人や状況により様々です。
受け取る人が従業員である場合などは、個人としてどういった仕事の進め方をするのかという考え方になります。一方、個人ではなく企業や組織の働き方に関しても使われるケースがあるのです。この場合、企業風土や労働環境などの意味として使われます。
ワークスタイルイノベーションとは、この考え方の改革なのです。
ワークスタイルイノベーションとは
さて、話をワークスタイルイノベーションに戻しましょう。
「ワークスタイルイノベーション」とは、組織の「働き方」を変えて新しくしていこうという取組みです。また、「ワークスタイル変革」とも呼ばれることもあります。近年では国を挙げて取り組まれている活動です。
時代背景やニーズに変化により、多様な働き方が求められるようになってきました。このような現状に基づいて『働き方改革関連法』が生まれ、それまでの労働に関する様々な法律の改正がスタートしたのです。働き方関連法に関してはこちら「『働き方改革関連法』とは?障害者雇用には、どんな影響があるの?」を参考にしてみてください。
それでは、ワークスタイルイノベーションによってどのような変化を期待しているのでしょうか。現状にオフィスにありがちな問題を紹介したのち、ポイントを解説していきます。
従来のオフィスで起こりがちな問題
それでは、従来のオフィスで起こりがちな問題を紹介します。加えて、障害を持つ方がどのような苦労をしやすいかも併せて説明します。
紙ベースによる保管や整理に手間がかかる
一般的なオフィスワークでスト、内部書類が山のようにあるケースが見られます。契約書や請求書など、保管期限などもありすぐに廃棄できないものが多いです。そのため、これを保管しておくスペースや手間がかかってしまいます。
さらには、
・書類を印刷するための用紙の量
・印刷する作業の手間
上記のような労力を考えると、効率的に仕事を進めることが難しくなってきています。
【障害を持つ方が苦労しやすいこと】
手足に障害を抱えている方など、作業をするのに時間を要してしまう。その他ADHD(注意欠如・多動性障害)など障害特性により書類整理が苦手なために、紛失や混同する可能性も出てくる。
関連記事:【大人の発達障害・ADHD】片付けられない方への整理の工夫4つ
会議など、組織内の意思決定に手間がかかる
従来のオフィスワークですと、会議の際には会議室を用意しなければなりません。これを確保する工程やスペースにも労力がかかります。
また、全国単位の会議となれば全国各地から参加者を集めなければなりません。そのための労力として、
・日程調整の作業や手間
・会議場所への交通費・人員
・会議に参加する間、本来業務が手薄になる
このような問題が発生しているのではないでしょうか。
【障害を持つ方が苦労しやすいこと】
会議は、各部署の幹部が参加するケースが多い。そのため障害者雇用で働いている方にとっては「上司が不在のため、指示をする人がいない」というケースを作ってしまいやすい。
コミュニケーションに手間がかかり、情報共有ができない
コミュニケーションの行き違いなども問題になっています。情報化社会が進む今、従来のコミュニケーション方法だけでは伝えきれない部分が多いのでしょう。
【障害を持つ方が苦労しやすいこと】
・電話対応が苦手な方がいる。発達障害や精神障害を持つ方の場合、他の方の用件(自分が知らない用件)を受けると混乱してしまうケースがある。
・直接会話をすることが苦手で、緊張や不安から意思を伝えられないことがある。その他双方のどちらかが不在の場合、伝えるタイミングを逃してしまう。それ以降話せなくなるというケースも考えられる。
このような問題も関わって、障害者雇用のみならず多くの労働者が苦労しているのではないでしょうか。
それでは、ワークスタイルイノベーションによってこのような問題をどう改善されていくのでしょうか。
ワークスタイルイノベーションの取組みとは
オフィス内のワークスタイルイノベーションのポイントは、以下の4つが挙げられます。
・ペーパーレスの促進
・コミュニケーションや意思決定の迅速化
・打合せスタイルの変化
・ICT(情報通信技術)を活用したスムーズな情報共有
上記の4つの取組によって「労働力減少の問題」「グローバル化」「多様な働き方への適応」を改善していこうと進められているのです。
ワークスタイルイノベーションの事例
今回は総務省の行政機関で実際に行われているケースを紹介します。
席の指定がなく、自由に着席できる
「フリーアドレス制」という、固有の席を持たないスタイルの制度です。これにより席の指定がなく、当日の状況によって座席を変えることができるのです。そのため、現時点で特にコミュニケーションを取りたい方同士が集まって仕事をすることができます。
これによりコミュニケーションの行き違いが少なくなることはもちろん、部外に情報が洩れるリスクも減少します。
自分の席がないわけですから、整理をするほどものに溢れるというケースも少なくなるでしょう。
会議や打合せスタイルの変化
会議や打ち合わせのスタイルの変化しようとしています。これまでは、会議室など一つの部屋に集まることで話し合いを進めているケースがほとんどでした。
しかし、今回の改革の事例では主に2種類のケースがあります。
①ICTを使用し、会議内容を各自のモニターで見る形式(Web会議やチャットなど)
②フリーアドレス制のため、簡易的にテーブルや椅子を動かして打ち合わせを行う
このような方法をとることで、
・会議中も参加者が在席しているケースが増える。
・移動における経費の削減
・迅速に話し合いを進められる
ことが期待されます。
会議に参加する機会の多い指示命令権者が在席していることによって、障害者雇用の方も安心して仕事ができる機会が増えるかもしれません。
関連記事:【テレワーク】会議の常識が変わる!?Web会議システムの効果とは?
電子情報をメインに取り扱うことで、身軽な業務スペースになる
ペーパーレスを進め情報を電子データ化していくことで、紙に関わるあらゆるものを減らすことができます。例えば、
・書類。それを保管するスペース
・書類を裁断するシュレッダーを減らすことができる
・書類をコピーする機会が減り、コピー機や関連の消耗品(インクなど)にかかわる経費を削減できる。
上記のようなケースが考えられます。さらには書類に関わる諸作業(用紙発注や消耗品管理など)も減り、より効率的に働ける可能性が高くなることが期待されています。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回のようなオフィスのスタイルが、必ずしもすべての方にメリットがあるかどうかはわかりません。しかし、オフィス全体のコミュニケーションが円滑になり、それまでに生じていたストレスも緩和されるかもしれないのです。
また、チャットなどICTの浸透が進めば、自宅で作業をすることも可能になってきます。ワークスタイルイノベーションの取組実はまだ始まったばかりです。今後の動向に注目していきましょう。
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