ASD、アスペルガーの特性で、返事がオウム返しになってしまう
コミュニケーションに困難を感じやすい
発達障害のひとつに「ASD(自閉症スペクトラム)」という障害特性があります。「アスペルガー」という言葉の方がなじみ深いかもしれません。現在はこの「ASD」に名称が統合されています。
これらの障害を持つ方は、主にコミュニケーションに困難を感じることが多いです。「暗黙の了解」などの共通認識が分からない、相手の言葉をそのまま額面通り受け取ってしまうなどの特徴があります。
これには「目には見えない曖昧な物事への判断が苦手」という要因から来ていることが多いです。
返事や回答がオウム返しになるケースがある
「オウム返し」とは、相手が言ったことをそのまま返事として使うことを言います。例えば、「この資料、10部コピーしてくれ」というと「(この)資料を10部コピーしてきます!」といった感覚です。
事情を知らない方の場合、「舐めてるのか?」と不満に思われることや、「自分の言った言葉を添削されている感じがする・・」と不快に感じさせてしまう可能性があります。
今回は「アスペルガー」と呼ばれるASDを持つ方が、
〇なぜ、オウム返しになってしまうのか
〇オウム返しで不快にさせないための対策
をご紹介します。
【ASD、アスペルガー】返事が「オウム返し」になる理由
相手にどう共感したらよいか分からないから
ASDを持つ方は、他人への関心が薄い場合や共感性が低い場合があります。しかし「職場でも他人に無関心」という方は少ないのではないでしょうか。
相手の話を聞く時、うなずくだけでは、「ちゃんと聞いてるの?」と言われかねません。「かといって、なんて言えば相手の話を理解したと分かってもらえるのだろう・・?」と悩んだ結果、相手と同じ言葉を返す「オウム返し」の形をとることがあります。
早く確実に応答しないといけないから
ASDを持つ方は、耳から伝わる「聴覚」に関わる情報を処理することが苦手なことがあります。
「ちゃんと話は聞いているのに、うまく内容を整理できない。」ということはありませんか?そんな時でもすぐに回答しないといけないときがあります。
このような事態の時に早く確実に回答するために、オウム返しになりやすいです。
緊張してしまい、言葉を考える余裕がない
ASDを持つ方は、対人緊張を同時に持つことがあります。この対人緊張が激しく、会話をするときに頭の中が真っ白になってしまうケースです。
この状態ですと、会話のときに頭に浮かんだ言葉が「相手の話した言葉しかない」というケースもあります。このようなときに返事として、オウム返しになってしまうことがあります。
オウム返しを多用すると、不快に感じさせてしまう
オウム返しは、何も悪いことだけではありません。円滑にコミュニケーションを進めていくうえで有効なときもあります。
しかしながら、あまりにも多用しすぎると相手を不快にさせてしまうことがあります。聞き流しているように見えたり、やる気が感じられないと思われたりしてしまいます。
このような誤解をされることなく、正確に相手とやり取りをするためにはどのような対策が必要なのでしょうか。
【ASD】オウム返しで不快にさせない対策
「相手がどうしたいのか」「どうしてほしいのか」目的について聞いてみる
雑談を除けば、相手の話には必ず意思があります。例えば先ほどの「コピー10部」の件で見てみましょう。
指示をした方は、あなたから「コピーを10部もらうことで何をしたいのか」ということです。
「会議に使いたい」、「取引先に配りたい」など様々な意思があるはずです。そのため、「どのようなことに使いますか?」「コピーのあとはどこにお持ちしましょうか?」などの言葉を加えるだけで、伝わり方が大きく変わります。
仮にその後目的についてあなたが行動をしなかったとしても、相手には「考えてくれているんだな」と感じてもらえるようになります。
急を要する場合は、書面(メモ)で指示をしてもらう
急を要する場合は、器用な回答はどのような方でも難しいものです。急いでいるときによくオウム返しになってしまうときは、上司と相談して書面で指示をしてもらうようにしましょう。
あらかじめ「指示メモ」の様式を作っておくと、指示をする方の負担が減るので効果的です。機会があれば、相談の際に提案してみてください。
負担のないやり取りから始める
会話のやり取りが苦手で、話の内容を処理するのに時間がかかる方は負担のないやり取りから始めるようお願いしてみましょう
〇会話の「聞く(相手が話す)」「回答する(相手が聞く)」のテンポをゆっくりにしてもらう。
〇書面やメールのやり取りと織り交ぜてもらう。
〇その日にお願いしたい仕事を書面にまとめておいてもらう。
〇業務をルーティーン化する。
など、上司とよく相談して話の内容を処理しやすい方法を考えていきましょう。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
その場に応じて回答や行動を変えないといけないということは、ASDを持つ方にとって一番負担になることなのではないでしょうか。
相手に「理解していることを示したい」ために、ついオウム返しを多く使ってしまいがちです。しかし相手はあなたの特性を知っていたとしても、無機質さを感じてしまい傷ついてしまうことがあります。
周囲と心地よく仕事ができるよう、お互い誤解のないやり取りの方法を相談して、考えていきましょう。