うつ病は生活リズムが崩れ、夜行性になりやすい
夜型の生活になりやすい
うつ病になると、スムーズに睡眠をとることができない「睡眠障害」などあらゆる身体症状に現れることがあります。これにより、生活リズムや精神状態の乱れなどが生じやすくなるのです。眠れない状態が続くケースが多いため、どうしても「夜型人間=夜行性」に傾きがちになります。
参考:からだの症状|うつ病とはどんな病気?|うつ病こころとからだ
参考:うつ病|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省
うつ病により、夜型の生活に苦労したことがあった
筆者もまた、過去にうつ病を経験したことのある人間の一人です。回復し再就職するまでには、およそ4年かかりました(詳しくはこちらの記事をご覧ください)。今振り返ってみると、その4年間のリハビリ生活のほとんどが「夜行性」の生活だったと感じています。症状がひどい時は、完全に昼夜逆転の生活であったこともありました。睡眠を改善するためにあらゆる対処を試してみました。しかし最終的に職場実習が決まって朝起きなくてはならない状況になるまで、夜型生活は続いていました。
今回は筆者の体験から、
・どうして夜眠れないのか
・生活リズムを改善したときに行った心がけは何か
こちらを中心にお伝えしていきます。
【うつ病】夜行性になりやすい理由
①体の緊張・興奮状態が抜けない
うつ病になると、交感神経と副交感神経のバランスが乱れてしまうケースがあります。車で言うと交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキの役目です。簡単にいうとこの副交感神経の働きが乱れてしまい、リラックスできないことがありました。いつまでも落ち着くことができず、布団の中でも日中のような感覚が続いたのです。このような症状により、体の緊張や興奮が落ち着くことがありません。いつまでもスイッチが「オン」のまま、朝まで眠れないことも多く経験しました。
参考:自律神経失調症の症状とは?うつ病が併発することも|心療内科・精神科|うつ病治療の新宿ストレスクリニック
②「眠らないといけない」というプレッシャーを感じる
うつ病を発症していたころ、24時間全く眠れないという時期もあれば、昼間は眠れるという時期もありました。前者は仕事を休む直前直後あたりのみで、リハビリ期間中はほぼ後者の状況が多かったです。うつ病の回復、社会復帰のためには、眠れるようにならないといけないことは理解していました。しかし、なかなか夜に眠ることができませんでした。
理由は、夜に限り「眠らないといけない」というプレッシャーがかかるからです。眠ることに義務感があったのです。「寝ないといけない、寝ないといけない」と意識するたびに、頭がさえてしまい困っていました。
日中は、このプレッシャーを感じないのです。「寝ても起きていてもいい」ときに心が落ち着き、眠気を感じる→昼間に眠り、夜さらに眠れなくなる…と言う悪循環が続きました。
③明日になってほしくない
一種の「現実逃避」かもしれません。夜眠れば、朝になります。朝になれば、その日に行うことを考えます。…これを意識したくないために、眠れないこともありました。
例えば筆者の場合、休養中は職場復帰もしくは再就職活動を目標として生活していました。『職場復帰しなくてはならないけれど、まだ休んでいたい』『明日は就活でハローワークに行かないといけない…だけど、考えたくない』このような心理を夜中に感じることがあったのです。
明日になってほしくない。まだ何も考えなくていい時間に浸りたい。そのような気持ちから、夜行性に傾いていったのです。
④休養前と比べて活動量が大きく減り、疲れない
ほとんどのケースで、うつ病での休養前は仕事をしていた方が多いのではないでしょうか。仕事でなくとも、学校など何らかの活動をしていたかもしれません。少なくとも、今よりも活動していたことでしょう。
筆者も休養前と比べると、休養中に活動量がグッと減りました。それまで活動していた「疲れがあった」からこそ眠りにつけたものが、疲れなくなったために体が「お休みモード」にならないのです。
この疲れは運動などの体の疲れだけではないため、休養中に同じように疲れるということが難しいおともありました。
一日中眠らず、睡眠リズムを戻そうとしたこともあった
筆者は夜行性を直そうと夜眠らず、昼も眠らず、敢えて「疲れさせる」ことで眠れるのではと試したことがあります。しかし、我慢できずに夕方眠ってしまい、結果うまくいきませんでした。
例え昼間に眠る生活でも、無理に戻そうと眠らない手段を取ったことで、以降数日間体調が大きく乱れたのです。
夜行性の体質への対処、予防する方法は?
プレッシャーにならない程度の目的を見つける
朝起きてハローワークに行くように義務付ければ、起きられるようになる…これができたら、筆者もここまで睡眠に苦労しなかったでしょう。うつ病で休養している方にとって、「就職活動」は一番ハードルの高い活動ではないでしょうか。筆者の場合は、ものすごく高いハードルのように感じていました。ハードルが高いと、活動することを諦めてしまい朝起きるモチベーションがありません。
これを改善するために、まずはプレッシャーにならない程度の目的や楽しみを見つけるように心がけました。絵を描くでも良いですし、好きな本を読むでも構いません。筆者の場合「朝起きるモチベーション」のためだけに、無計画で新幹線に乗り旅行に出かけたこともあるほどです。
眠れなくても、横になるだけでも良いと意識する
眠れないことで焦りを感じてしまうと、さらに緊張や興奮が強まってしまいます。筆者はとりあえず眠れなくても良いから、夜に必ずベッドに横になるように心がけました。最悪、横になるだけでも疲れはいくらか取れます。眠れなくても無理をせず、今できることから取り組んでいきました。
これらの心がけを行い、少しずつ夜行性の生活から改善されました。
また不眠症状の時に行った対策として、こちらの記事「【体験談】ASD男性、うつ・不眠症状で眠れない時に行った改善法」で詳しく説明しています。併せて参考としてください。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
不眠症状を含め、うつ病の症状は当事者・経験者でないと理解してもらえないケースが多いです。そのため、うつ病を経験したことのない人から「やる気がない」「意欲が足りない」など辛い言葉を言われたこともあるかもしれません。筆者もまた、理解無い言葉に苦しい思いをしたことがありました。
このようにうつ病の症状は経験しないと理解されにくい疾患なのかもしれません。だからこそ、疾患やあなたをよく知る医療機関、家族などと相談しながら、一つずつ治療に取り組んでいきましょうね。
【筆者紹介】
Salad編集部員。1980年生まれ男性。うつ病発症後、医師からASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。うつ病発症からおよそ9年後、ようやく睡眠導入剤のない生活に戻ることができた。