社交不安障害には、被害妄想が伴う場合がある
社交不安障害とは
「社交不安障害」とは不安障害の一種で、主に対人関係・コミュニケーションの際に不安を感じやすい障害です。特徴として
・人前に出て話そうとすると、極度に緊張してしまう
・初対面など、慣れていない人と話すときに緊張や不安を伴う
・その他、他者とのかかわりの中で不快や不安を伴いやすい
このような特徴があります。詳しくはこちらの記事「社交不安障害の症状とは。障害の原因は親とは限らない!?」で詳しく説明していますので、併せて参考にしてください。
症状に「被害妄想」が伴うことがある
また上記の特徴に加えて、社交不安障害には「被害妄想」を伴う場合があるのです。これにはどのような特徴や傾向があるのか。また、どうやって乗り越えればよいのでしょうか?今回はこの『被害妄想』に焦点を当てて紹介していきます。
【社交不安障害】「被害妄想」とは?
「被害妄想」とは、実際にはそのような事実がなくても、「誰かから嫌がらせをされた、バカにされた」などの危害を加えられたと確信することを総称したものです。統合失調症や妄想性障害などの症状としても良く見られます。
また怒りや不満、刺激に対して過敏になりやすいことが特徴です。そのため、周囲を「敵」「(自分の身を守るための)攻撃対象」として思い込んでしまうこともあります。
本人は被害を受けていると感じているため「被害者」として認識していますが、周囲は実際に何もしていないとなれば、意見が対立し孤立してしまう事態にもなりかねません。
関連記事:【統合失調症】『誇大妄想』になる原因は?対処法、向き合い方は?
被害妄想には、形態や状況などによって様々な種類のものがあります。次は被害妄想の種類について説明していきます。
被害妄想の種類
迫害妄想
誰かから迫害されている、危害を加えられているという妄想です。最も被害感を強く持つのがこの「迫害妄想」の特徴になります。「何者かが自分を陥れようとしている」「集団になって自分に嫌がらせをしている」「何者かによって自分は操られている」などが該当する症状です。
関係妄想
対人関係において不愉快なことをされていると感じる妄想です。被害妄想の中でもっとも多いケースがこの「関係妄想」になります。たまたま目が合っただけなのに「睨まれた」と感じるなど、本来関係がないことまで自分と関連付けて思い込むのが特徴になります。
その他
配偶者やパートナーが浮気をしているのではないかと感じる「嫉妬妄想」、誰かから監視されていると感じる「注察妄想」、ものを盗まれているのではと思う「盗害妄想」なども被害妄想に該当します。
被害妄想の原因は?
被害妄想の原因として、
・依存傾向が強く、何かを強く信じやすい
・思い込みが激しい
・少ない情報で結論を出しやすい
・外国人など、意思疎通が図りにくい状況が苦手
・「この場合は、絶対こうなる」など、判断が一辺倒なことが多く、多方面を意識した判断が苦手
このようなことが原因として考えられています。また過去に実際にいじめなど被害を受けた経験があると、身を守るためにイメージを膨らませやすい傾向もあるでしょう。
さらに生活環境で常にストレスをためやすい状況にあり、脳の働きに不調が生じることでも起こるとされています。
被害妄想を治療する方法は?
被害妄想を含む社交不安障害の治療方法としては、主に精神科において妄想の原因となる精神疾患を治療する方法です。
薬物を用いる薬物療法、本人が持っている思考の偏りや特徴を改善していく認知行動療法などを行います。認知行動療法については、下記の関連記事も参考にしてください。
関連記事:認知行動療法とは?セルフケアで発達・精神障害の不安を解消!
関連記事:不安になる理由が分からない時の原因、改善する認知行動療法とは?
被害妄想を改善し、乗り越えるにはどうしたらよいの?
不安になりやすい傾向を振り返ってみる
まず、被害妄想は強い不安から生じることが多いです。そのためどういった時に不安に襲われるか、傾向を知るところから始めてみましょう。
・心身ともに疲れてくると、周囲への警戒心が強まる
・職場など、特定の環境に身を置くと不安が強まる
・過去の辛い体験に類似した出来事に直面すると、不安が強まる
・「自分は被害を受けるべき対象だ」などの自己否定を持っている
このような「自分の不安になりやすいくせ」について振り返ってみましょう。また、特定の環境によって強い緊張を伴う場合「選択性緘黙(かんもく)」もしくは「場面緘黙症」である可能性もあります。こちらの記事「落ち着いて話す場所がない『場面緘黙症』のサイン、対処法とは」も併せてチェックしておきましょう。
できる限り、刺激を受けないように工夫をする
他人の感情や周囲の雰囲気などを敏感にキャッチして、「警戒モード(=妄想)」のスイッチが入ってしまうケースもあるでしょう。疲れやストレスが蓄積するだけでも、不安は高まります。この場合、
・できる限り人混みのある場所に行かない
・在宅勤務などにより、他者からの刺激を必要最小限に抑える働き方をする
これらのような生活の工夫をすることで、ストレスや不安を溜めないように工夫する方法もあります。
過去と現在の自分を、正確に把握する
これは筆者もそうなのですが、過去の辛い体験に近い体験をすると、「完全警戒モード」になることがあります。家族や知人を除き、目に見える人間を全て敵のように感じるのです。これは現在の自分ではなく、「過去(体験した当時)の自分」を基準に意識していることが多いからです。
このようにずっと当時の「出来ない時の自分」のままで考えてしまうため、不安を感じてしまうことがありました。この様なときは、敢えて経験した当時の場所に行くなどして、「今と過去の違い」を認識するように工夫しました。
詳しくはこちら「【アスペルガー】過去の記憶のトラウマとどう向き合う?体験談を紹介」を参考にしてみてください。
その他社交不安障害の改善法については、こちらもチェック
その他社交不安障害についての改善法については、こちらの記事「【体験談】社交不安障害で人生辛い…改善の為にした5つのこと」も併せてチェックしてみましょう。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
「思い込むな」と言われても、不安の元が解決されないまま警戒を解くことは、なかなか辛いことですよね。また、自分自身の思い込みを認識するというのも辛いことです。ですからひとりで考えず、医療機関や支援機関の支援を受けながら、少しずつチームワークで乗り越えていきましょう。
【筆者紹介】
Salad編集部員。1980年生まれの男性。ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。加えてHSP傾向も強い。過去の辛い体験が原因で、「傷つくときのショックを和らげるため」被害妄想をすることがあった。そのような傾向も踏まえ、現在はテレワークにて、刺激の少ない環境での働き方を選択している。