特性を活かして、芸術の才能がある人がいる
発達障害の特性を、芸術などの表現に活かしている方がいる
発達障害とは、先天的な脳機能の障害です。主にADHD(注意欠如・多動性障害)と「アスペルガー」とも呼ばれているASD(自閉症スペクトラム)などが挙げられます。
発達障害は独特の感覚であるがゆえに、周囲とのコミュニケーションなどが噛み合わず、苦労をすることが多いです。しかしながら、独特な感覚であるからこそ貴重な才能として活きる可能性もあります。
そのうちの一つが、芸術などの「表現」です。実際に発達障害を持ちながら活躍している芸能関係の方も沢山います。
今回は、ADHD、ASDの特性がなぜ芸術的才能に関わるのかについてお伝えします。なお、発達障害の特性は表現と密接な関係にあります。しかし必ずしも全員芸術的センスがあるとは限りません。
ただし、今気づいていないだけで奥底に才能が眠っている可能性もあります。最後まで読んでみてくださいね。
ADHD(注意欠如・多動性障害)芸術に活かせる特性
落ち着きのなさが、動きのある表現になる可能性がある
良い芸術には、躍動感が必要です。絵画で言うと、「絵から飛び出してきそうな表現」は、見る人を引き寄せる力を持つことがあります。
ADHDを持つ方は注意をうまく向けることが苦手で、落ち着きがないという特徴を持つケースがあります。この特徴が芸術では、躍動感になる可能性があります。
関連記事:【ADHD】落ち着きがない特性はクリエイティブな面も?理由を解説
刺激を求める気持ちが、そのまま表現に活きる可能性がある
ADHDを持つ方は、新しいものに興味を持ちやすく、常に刺激を求める方もいます。これがオフィスなどの仕事となるとデメリットが目立ちます。しかし、芸術には「斬新な表現」として、作品に反映される可能性があります。
衝動的に作品に反映した表現が、インパクトを生むことがある
ADHDを持つ方は衝動をコントロールすることが苦手なことがあります。仕事や生活では抑えることも必要です。しかし、芸術などにあっては思いのままに表現することで強いインパクトがある作品になる可能性があります。
ASD(自閉症スペクトラム)芸術に活かせる特性
色合いや構図がはっきりしている表現ができる
ASD、アスペルガー特性を持つ方は、曖昧な物事を処理するのが苦手なことが多いです。そのため、日常のコミュニケーションでは苦労することが多いです。
しかし、芸術などの表現では、
〇コントラスト(明暗の強弱)や配色がはっきりした作品ができる
〇構図がはっきりしている
ことから、見る人に「鮮やかさ」を伝える表現ができる可能性があります。
こだわりの強さで、細部にこだわった表現ができる
ASDを持つ方は、こだわりの強さを持っています。オフィスなどの人間関係では周囲との溝を生む材料になることがあります。しかし芸術などの表現の場では、「細部にまで徹底した表現」として、見る人に繊細さを伝えられる可能性があります。
関連記事:「アスペルガー」と呼ばれる人はネガティブ?向いている仕事もある!
特定の法則に基づいた表現で、面白みができる
ASDを持つ方は、自分なりのルールやパターンに基づいて行動する方がいます。これが職場では、周囲に理解してもらうのに時間や労力を要します。しかし、この「定型パターン」が芸術に活きてくることがあります。
「模様が決まっている」「赤系統しか使わない」「使う楽器が同じ」などのパターンがあることで、「この人と言えば〇〇の人」というような「代名詞」に変わるチャンスがあります。
考え方次第で、悩んでいることで活躍できるチャンスがある
今回は「芸術」についてご紹介しました。しかし「自分どう頑張っても絵を描くの下手なんだよな・・」「不器用だから楽器は弾けない・・」「譜面が読めないから音楽ができない・・」など様々な得手不得手はあります。
しかし、発達障害を持つ方に共通して言えることは、「今解決させようとしている悩みや課題の中に、別の場面や視点で活躍できる要素がある」ということです。
ですから「自分は発達障害だから・・」「ADHDだからミスしてばかり・・」と落ち込む要素だけではありません。
まだまだ、活躍できるチャンスはたくさんあるのです。
芸術に取り組むときには、「過集中」には注意!
芸術に興味のある方ですと、寝食を忘れてしまうくらい集中してしまう可能性があります。この場合、あなたの体調を崩してしまう可能性があります。
こちらの記事「【発達障害】過集中には要注意!なりやすいケース、仕事中の対策は?」をチェックして、あらかじめ過集中(没頭し過ぎない)の対策を考えておきましょう。
仕事・働き方に悩んでいたら。『Salad』が強みを活かす就職のサポートをします
まとめ
いかがでしたでしょうか。
表現は自分の心情を素直に表すことができるので、何かしらの芸術に興味がある方も多いのではないでしょうか。中には個性を活かしてイラストレーターやデザイナー、作曲家を目指している方もいるかも知れません。
そのような方には表現のヒントとなり、他のことに興味がある方にとっても新しい考え方のきっかけになれれば幸いです。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受ける。特性を活かして過去に絵画の個展を開催、書籍を出版した経験を持つ。