アサーショントレーニングは、自己主張タイプを知るところから始まる
アサーションとは
「アサーション」とは、コミュニケーションの大きな2つの軸である、『伝える力(発信する力)』『聞く力(受け取る力)』のバランスを整えながら対話をしていくコミュニケーション方法の一つです。
主張ばかりになると、「押しが強く傲慢な人」として受け取られます。反対に主張が少ない場合は「何を考えているか分からない人」「自分を持たない人」と思われます。このバランスを整え「自分も相手も大切に考えて表現する」対話を心がけるのが『アサーション』なのです。
関連記事:『アサーション』とは?意思表示が苦手な発達障害にもメリットあり!
アサーションをトレーニングするには、自己主張のタイプを知る必要がある
筆者もASD(自閉症スペクトラム)を持っており、自己主張のバランスを保つことが苦手です。主張するかしないかの二者択一思考になりがちです。そのため、アサーションを学び改善していこうと考えました。
アサーショントレーニングのスタートは、まず「自己主張のタイプ」を知るところから始まります。アサーションで考えられている自己主張タイプは以下の3種類です。
・アグレッシブタイプ(攻撃的なタイプ。自己主張が強い)
・ノン・アグレッシブタイプ(非主張タイプ。自己主張が弱い)
・アサーティブタイプ(自己主張のバランスが取れた理想的なタイプ)
この3種類のいずれかであることを確認し、それぞれのタイプに応じたトレーニングをするところから始まります。
参考:大人の「自閉スペクトラム症(ASD)」とは?特性の理解が大切!
参考:アサーション〈自己表現〉トレーニング | 株式会社 日本・精神技術研究所(日精研) | 心理アセスメント・心理トレーニング
今回は、筆者がこの自己主張タイプを知るテストを受けた体験についてお伝えします。
【アサーション】自己主張タイプのテストの流れ
1)アグレッシブタイプに関わる項目にチェックする
まずはアグレッシブタイプに関わる質問を見て、項目にチェックをしていきます。項目としては
①正しいと思ったら、自分の主張を通す方だ(○・×)
② 人の間違いを指摘するのは当然のことだと思う(○・×)
③ 自分の思い通りにいかないと感情的になることがある(○・×)
④ 人に弱点を知られたくないと思う(○・×)
⑤ 安心して人に任せることが難しいと感じる(○・×)
⑥ 実際以上に強がってしまうところがある (○・×)
⑦ 人の力を借りることは、自分の能力のなさを知らしめることだ(○・×)
こちらの7項目です。筆者はこの中の①と⑤に該当しました。
2)ノン・アグレッシブに関わる項目にチェックする
次に、ノン・アグレッシブに関わる質問に関して、該当している項目をチェックしていきました。項目は
①相手と意見が違っても、言い出すのは躊躇しがちである (○・×)
②意見を求められたり、指摘をされると黙ってしまうことがある(○・×)
③自分から率先して動くより、指示を受ける方が気楽だ(○・×)
④上司や目上の人に対しては萎縮してしまう(○・×)
⑤つい自分より相手を優先しがちである(○・×)
⑥理不尽なことを言われても反論できない(○・×)
⑦自分に自信がない(○・×)
こちらの7項目です。筆者は①、④、⑤、⑦の4項目に該当しました。
4)該当した項目の個数の差によってタイプが決まる
以上14問の項目にチェックしたのち、2つのタイプの質問に該当した項目数を比較していきます。
・アグレッシブタイプの項目数が、ノン・アグレッシブの項目数より多い
→アグレッシブタイプの傾向がある
・ノン・アグレッシブの項目数が、アグレッシブタイプの項目数より多い
→ノン・アグレッシブタイプの傾向がある
・2種類の該当した項目数が同数
→アサーティブタイプの傾向がある
このような結果になります。どちらかの項目への該当がが偏っていれば、傾向が特に強いと言えるでしょう。筆者はアグレッシブタイプ2か所(7か所中)、ノン・アグレッシブタイプ4か所(7か所中)該当しましたので、『ノン・アグレッシブタイプの傾向がある』ということになります。
テストの結果を見てどう感じた?
テストの結果を見て感じたことは、以下の通りです。
①おおむね納得できる結果である
テストの結果はおおむね該当していて、納得できる結果であると感じています。
筆者はASDに加えてHSPの気質も強いです。他人の感情に敏感なため、どうしても「他者優先」で物事を考えやすい傾向を自覚しています。
また、子供のころに『空気が読めない』 ことで嫌がらせなど辛い経験をしてきたため、『自己主張してはいけない』とどこかで気持ちを抑えてしまう傾向があることもあるでしょう。
参考:HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)とは?その特徴や症状|心療内科・精神科|うつ病治療の新宿ストレスクリニック
関連記事:【HSP体験談】他人の感情の影響で優柔不断に…適度な距離の保ち方
②他者に自分についてテストを受けてもらい、検討してみたい
テストは落ち着いて考えて答えることができ、筆者の主観が深く関わります。そのため、本来の事実とは異なる可能性も考えられるのです。もしかしたら実際には『押しの強い人』もしくは『バランスが取れている人』と感じている方もいるかもしれません。
ですから自分が受けるだけでなく、他の方にも「筆者について」テストを受けてもらうことでより正確な情報を知ることができるのではと感じました。
③今置かれている環境でタイプが大きく変わる可能性がある
テストの内容を見た時、筆者は『置かれた環境ごとに回答が変わって来ることがある』と感じました。職場や私生活など、場面ごとに主張のバランスをコントロールしているからです。
ですから自己主張に問題がある場合、環境を変えることで改善されるというケースもあるのではと考えました。
環境を変えることで、コミュニケーションも改善される可能性がある
環境を変えることで、
・関わる人のタイプ
・対話する内容
これらの項目が変わる可能性があります。よって自己主張できないことができるようになったり、そこまで強く主張する必要がないことに気づいたりする可能性が出てくるでしょう。
今の環境で自分の意見が通らないからこそ、むきになって主張が強くなってしまうことや、反対に諦めてしまうことはありませんか?そのような場合は、環境を変えることで改善され「アサーティブタイプ」のコミュニケーションが取れるようになるかもしれません。
環境を変える方法の一つに、『カスタマイズ就業』という言葉をこの機会に覚えておきましょう。カスタマイズ就業とは障害を持つ方の個性や長所を活かし、「より自然体で」仕事に臨んでいく働き方です。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はアサーションのトレーニングについて筆者の体験を紹介しました。コミュニケーションは、相手のタイプによっても関わり方が変わる難しいやり取りです。
相手が押しの強い人たちばかりの中では、全く自己主張しない人が好まれるかもしれません。反対に物を言えない人たちの中で主張が強い人がいれば、強いリーダーシップとして重宝されるかもしれません。
このような「周囲の自己主張タイプとのバランスを測る」意味でも、アサーショントレーニングは効果的ではないでしょうか。興味がありましたら、ぜひテストにトライしてみてください。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。職場では、周囲にはないポジションを見つけて受け持つことが多い。