皆にわかってもらえない…
周囲に誤解されやすく、対人関係を築くのが苦手
かつてアスペルガー(症候群)や自閉症などと呼ばれていた障害は、現在は「ASD(自閉症スペクトラム)」という名称で診断されています。
このASDの特性で困難に感じやすいことの一つが「周囲に誤解されやすいこと」です。これにより、周囲との対人関係を築くことが苦手なケースもあります。
参照:そもそも「発達障害」って?|大人の発達障害ってなんだろう? – 大人の発達障害|NHK福祉ポータル ハートネット
参照:ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群) | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター
失敗体験を引きずり、関わりを避ける傾向にある
また、このような「理解してもらえない」経験を記憶し、いつまでも引きずってしまいやすいことも問題の一つです。「これまでも理解されなかったから、今回も理解されないだろう」など、過去に関わった人を基準にして考えてしまいます。よってさらに関わりを避けることになってしまうのです。
関連記事:アスペルガーは過去にこだわる!? フラッシュバックを防ぐ対策3つ
誤解されるのはどうして?
さて、ではどうして周囲に誤解されてしまうのでしょうか。
今回はアスペルガーを持つ方が、
・周囲に誤解されてしまう原因
・『皆にわかってもらえない』モヤモヤの解消法
この2点について紹介します。まず、アスペルガー(=ASD)を持つ方が、周囲に誤解されてしまう原因からお伝えします。
【アスペルガー】周囲から誤解される原因
コミュニケーション不足
最も多い原因は、「コミュニケーション不足」です。
周囲と関わる量や質が不足しているために、あなたの人物像をイメージするために
・あなたから聞いたこと
・あなたが直接発した意思表示
このような「あなたを介した事実」からではなく、以下のような部分から判断をしている可能性があります。
それは、
・第三者から聞いた、あなたに関する情報
・遠くから「何となく」見た、あなたの雰囲気
上記の2点のような、あなたを介さない場面から、あなたがどういう人かを判断しているケースが意外にもとても多いのです。
多くの人は、知らないことに関しては、消極的に考える傾向があります。そのため、あなたの本意とずれることが多くなってしまうのです。
言葉の選び方が独特で、相手に分かりにくい
周囲とよく話しているのにもかかわらず、それでも誤解されやすい…という場合は、話し方がわかりにくいことがあります。専門用語をはじめとする「相手に分かりにくい言葉」を選んで話していることで、相手に通じていないのかもしれません。
また、難しい用語を多用することで無意識のうちに「見下している」ように思わせてしまうこともあるので、注意が必要です。
表現が抽象的で、相手の想像に依存している
アスペルガーを持つ方は、自分の気持ちを具体的な言葉にして表現することが苦手な場合があります。しかしだからといって、完全に受け身状態でよいわけではありません。
「少し話せば、あとは相手が上手く想像してくれるだろう」という考えで話していると、真意が伝わることは難しいでしょう。
『誤解されている』と思い込んでいるだけで、事実を確かめていない
コミュニケーション不足にも該当しますが、本人の思い込みが強いケースです。実は、『誤解されている』という事実そのものがないのにも関わらず、確認をしていないためにいつまでも『わかってもらっていない』と思ってしまっていることがあります。
ケースとしては、
・自分が思っているほど、周囲は分かっていないわけではない
・自分が思っている『自分像』が異なり、実は周囲の見解の方が正しい
このようなケースが見られます。
関連記事:【ASD、アスペルガー】思い込みや妄想癖が強い?改善する方法3つ
それでは、このような「モヤモヤ」した状態から脱出し、周囲に正しく理解してもらうためにはどのような工夫が必要なのでしょうか。
『皆にわかってもらえない』モヤモヤの解消法
挨拶から少しずつ、対話を増やしてみる
コミュニケーション不足を補うには、会話を増やすしかありません。よくあるケースとして、「何も話さない」ことで「怖い人」と思われてしまうケースがあります。急に会話ができるようになることは難しいですから、まずは挨拶から始めてみましょう。
そうして関わる意思を見せるだけでも、周囲の誤解が解けることもあります。
話し方に分かりにくい部分がないか確認してみる
自分の話し方が「周囲と異なるかどうか」自分ではわからないこともあるでしょう。ですから話している相手の言葉遣いに注目してみる(意識してみる)、相手に直接言葉遣いで分かりにくいところはないか聞いてみるなどの工夫が必要です。
詳しくは下記の関連記事を参考にして、会話の中での「ずれ」を調節していきましょう。
関連記事:アスペルガーは独特の言い回しが多い?会話での注意点、活かし方も?
関連記事:【アスペルガー】とんちんかん発言・会話が噛み合わない時の対策3つ
自分の意思を言葉にする
アスペルガーを持つ方は、「暗黙の了解」をはじめとした、明確になっていないものが苦手です。そのため自分の心の中の曖昧さをうまく形にして表現することも苦手なことがあります。
そのため情報を並べているだけで、自分の意思が入っていないケースが多いのです。ですから「たくさん説明しているのに理解されない」という状況が生まれてしまいます。
もし、相手から「それで、何が言いたいの?」「結論は?」など言われることが多い時は、あなたがその話でもって「どうしたいのか」、「どうしてほしいのか」意思を伝えるようにしましょう。
自分から発した言葉のゴールは、自分で決めなければなりません。
関連記事:アスペルガーは『ロボットみたい』!?相手に伝わる感情表現とは?
上司に相談してみる
自分一人でも改善されないときは、上司に相談するようにしましょう。定期的に相談するようにして、その都度問題点について考えていくスタイルを保つことが大切です。
相談方法に迷っていたらこちらの記事「【ASD・アスペルガー】悩み事を相談できない…きっかけの作り方4つ」を参考にしてみてください。
必要がなければ、無理に関わらない
「分かってもらいたい」人が業務上関わりのある方など、理解してもらうことが必要である場合は対象が必要かもしれません。しかしほとんど関わることがなく、理解してもらう必要がないケースもあります。
さまざまな考え方を持つのに対して、全て自分の思いの通りに統一させたい気持ちはわかります。しかしながら理解してもらうために多くの労力を要します。
もし、関わる必要がないならば、無理をして理解されようとしなくても構いません。
参考:No.1 職域で問題となる大人の自閉症スペクトラム障害:専門家向けお役立ちトピックス~メンタルヘルス不調関連~|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、どうやって周囲の方に理解してもらえばよいのかについて紹介しました。しかし、職場でどう頑張っても誤解されてしまう場合は、環境とあなたが合っていないだけかもしれません。
そのときの打開策の一つに「カスタマイズ就業」があります。これはあなたが本来持っている強みを活かし、伸ばしていくことで社会貢献していく働き方です。
「もっと自分の良さを知ってもらいたい」「自分を活かしたい」という思いがある場合は、『カスタマイズ』のチャンスかもしれません。詳しくはSalad編集部にお声かけください。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。子供時代から「怖い」とよく言われ、誤解されやすい。