認知行動療法について
「認知行動療法」は、社会生活を送るうえで感じられる問題に焦点を当て、「認知」(物事の捉え方・考え方)と「行動」の面から解決を試みる精神療法です。は発達障害に分類される障害の一つです。このADHDを持つ方は、大人になってから不安や抑うつ症状などの二次障害を併発するリスクが高いです。
参考:認知行動療法とは|認知行動療法センターのご案内|認知行動療法センター
参考:注意欠陥・多動性障害(ADHD) | 医療法人東横会 心療内科 精神科 たわらクリニック
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うつ病や不安障害など、ADHDの方が発症しやすい二次障害に対して、認知行動療法はどのように活用できるのでしょうか?今回はADHDを持つ方が働くうえで直面しやすい、典型的な場面を3つ挙げ、認知行動療法によって改善できる可能性についてご紹介します。
【ADHD】二次障害に対する認知行動療法とは?
ADHDは、先天的な脳機能の障害と考えられています。そのため症状そのものを治癒させるのではなく、症状が原因となって日常生活で生じている問題を緩和させることを目指すのが一般的です。
ADHDが起因となる日常生活上の問題として、過度に悲観的になってしまったり、物事をネガティブに捉えてしまう傾向が強くなったりするなどの抑うつ症状や不安症状が挙げられます。
仕事でミスをしてしまったときに「自分は何てダメな人間なんだ」という思考や、「あの人は自分のことを嫌っているにちがいない」と苦しんだことはありませんか?これらのように生活にも支障をきたすほどの精神症状に対し、認知行動療法は有効となり得ます。
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認知行動療法が有効な「考え方のクセ」
人にはそれぞれ考え方や価値観がありますが、うつ症状や不安症状を抱える方の多くが陥っている「考え方のクセ」があります。
例えば
・自分のことを必要以上に過小評価してしまう
・根拠なく、他者が自分に対してネガティブなイメージを持っていると考えてしまう
・希望をいっさい持てず、将来に対し過度に悲観的になってしまう
など、「自分」「相手」「未来」に対し過度に悲観的な思考を抱くことが多い方にとっては、これらのクセに基づいた考え方や行動を軽減していく方法として、認知行動療法が有効であるといわれています。
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認知行動療法によって仕事はやりやすくなる? 3つの場面例
ADHDの影響により二次障害を抱える方にとって、働いていくうえで直面しやすいと思われる場面を3つ紹介しましょう。それらの場面で認知行動療法を活用した場合、どのような効果が得られそうかイメージしてみてください。
例①:仕事でミスをしてしまったとき
仕事にミスはつきもの。とはいえ、物事を悲観的に捉える方にとっては
・「自分はいつも失敗ばかりで価値のない人間だ」
・「この先もミスばかりで、仕事が続けられるはずがない」
など極端な思考に陥ってしまうきっかけになってしまいます。
このような場面で、認知行動療法のうち例えば「認知再構成」という技法を用いると、
・「今回はミスをしたけれども、過去に上手くいったときもあった」
・「確かにミスは多いけど、◯ヶ月も仕事を続けられている」
など、事実に基づいた客観的でバランスのとれた思考に整えられるようになります。
例②:苦手な人と仕事をするとき
社会人として働いていると、ときとして苦手意識を感じる人と仕事をしなければならない場面にも遭遇します。
・「あの人は自分のことを嫌っているにちがいない」
と思いながら仕事をするのは苦痛ですよね。恐怖心や億劫感を持ちながら成果を挙げることは難しいです。
「あなたが嫌いです」と本人から面と向かって言われたことのない限り、あの人が本当に自分を嫌っているのかは確証できないものです。
このケースでも、認知再構成を用いて視野を広く振り返ってみると、
・「そういえば、感謝してもらえたことがあった」
・「相手から挨拶をされたことがあった」
と、必ずしも嫌われていると思えない事実にも気づけることがあります。
そのような事実に気づけたことが、今後の関係性を前向きにつくっていくきっかけなる、ということも期待できます。
例③:転職するかどうか、いつまでも決められないとき
現在の職場環境を変えるために転職したいという思いを抱えながら、なかなか行動に踏み切れず悶々と過ごしている方もいらっしゃるかもしれません。
認知行動療法には「メリットデメリット分析」という技法があります。ためらっている行動があるときに、
・行動することのメリット/デメリット
・行動しないことのメリット/デメリット
を丁寧に書き出してみて、選択肢を幅広く分析する方法です。
例として転職活動を挙げましたが、このメリット/デメリット分析を活用すれば、タスクを先延ばしにすることのメリット/デメリットなども分析することができ、適切なタイミングでタスクを消化するためのきっかけとすることもできます。
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まとめ
この記事ではADHDの主に二次障害に焦点を当て、抑うつ症状や不安症状に対する認知行動療法の効果を例としてご紹介しました。
二次障害の診断を受けていない方でも、「自分」「相手」「未来」に対して悲観的な考えを持ったり行動をしてしまったりする困りごとを感じている方にとって、認知行動療法はひとつの解決策となるかもしれません。
認知行動療法のゴールは「自分でできるようになること」です。長期的な視野をもって、継続的に訓練することがとても大切です。
この記事をお読みになって認知行動療法に関心をお持ちになった方は、ぜひ精神科クリニックやカウンセリング機関など信頼性のある専門家に相談してみてはいかがしょうか。