クレーマーと思われる行動とは
精神不安定なときに、理不尽な感情を出してしまう
精神障害には、うつ病や双極性障害、統合失調症などの様々な症状があります。症状として気分の低下や反対に気分が高揚してしまうなど、安定した精神状態を保つことが難しいです。
さらにはストレスや疲れなど、自分の状態を把握できていない状態にもなり得ます。そのため精神状態が不安定な時に、つい理不尽な感情を出してしまうことがあります。
ついカッとなって発した言葉で、気づいたときに後悔することもあったのではないでしょうか。
関連記事:精神障害と発達障害の種類。2つの違いや共通点とはどんなこと?
怒りとして相手にぶつけたとき、「クレーマー」となる
精神状態が安定していないと、普段目につかないことに不満を感じたり、不快に感じたりすることがあります。自分の身を守るために警戒心が強くなることで、怒りとして他者にぶつけてしまうことがあるのです。
相手からすると「直接関係していない」「怒っている理由が分からない」などの事情があると、「クレーマー」と感じる場合があります。
自分では「正しい」と考えて行ったことが、相手に不快にさせている可能性が高くなるのです。
では、なぜ精神障害を持っていると「クレームを言いたくなる」状態になりやすいのでしょうか。
クレーマーと思われやすい理由
ストレスがたまっていて、かつ自覚していない
冒頭で触れた「ストレスや疲れなど、自分の状態を自覚していない」ケースです。本来はギリギリの状態でも、それを自覚できないことで「クレーマー」になりやすい状態になります。
ストレスが溜まっていれば、怒りや不満を持ちやすくなります。「許せない!」と感じる機会が増えることで、良かれと思って発した言葉が「クレーム」になっていることがあるのです。
関連記事:双極性障害は「キレる」ことがある!?イライラする原因や対処法は?
主観にとらわれやすく、その場で感じたことを発しやすい
精神不安定の状態ですと、自分自身の心情に焦点が向きます。したがって他者や周囲の関係を踏まえて発言をするのではなく、自分から発された感情を言葉にしやすいのです。
直接自分とは関わっていないことでも、関係なく相手に向けてしまいます。相手からすると「どうして言われたのか分からない」理不尽さが、「クレーマー」にさせてしまう可能性があるのです。
あらゆるものに対して過敏になっている
精神的に不安定な状態ですと、自分自身はもちろん周囲に対しても神経質になりやすい傾向があります。場合によっては目に見える人が全て「敵」や「攻撃してくる」ような妄想に襲われることもあるのではないでしょうか。症状によっては、本人には実際に見える・聞こえてくることに苦しんでいるケースもあります。
「敵」「攻撃された」と感じやすいことから、反抗したくなるのです。もちろん相手は全くその気はないわけですから、「クレーマー」に映ってしまいます。
関連記事:【統合失調症】幻聴が聞こえるのが辛い…職場や病院への伝え方3つ
関連記事:【統合失調症】『誇大妄想』になる原因は?対処法、向き合い方は?
感情に任せた発言は、「クレーマー」になりやすい
精神障害は、相手には症状を持っていることが見えにくいです。周囲に理解されないことで苦しんでいることもあるのではないでしょうか。
しかしながら、相手はあなたの状態を「知らない」ことがほとんどです。ですからどんなにあなたが症状に悩んでいても、相手は「症状を持っていない人」と同じ目であなたを見ます。
ですから他人と接するときには、特に自分自身の感情をコントロールしていかなければなりません。
怒りやすいときのトラブル防止法
医師との相談、服薬を続ける
まず、定期的な通院と服薬を継続しましょう。自分の体調や気分で通院や服薬を止めてしまうと、症状も不安定になりやすいです。
イライラする状態を作らないよう、医師と相談しながらコンディションを整えていきましょう。
ストレスのパターン、サインを知る
自分が今疲れているのか、ストレスが溜まっているのかを自覚することが必要になります。そのためには、自分なりのストレスのサインを把握し、気づくことが大切です。
どんな時に辛くなるか、ストレスが溜まってくる「パターン」をつかんで予防に努めましょう。
また、ストレスのサインをパターンを把握したら、原因となる考え方を改善することで、ストレスをためにくくする取り組みも必要です。
関連記事:認知行動療法とは?セルフケアで発達・精神障害の不安を解消!
視野が狭くなってきたら、休養をとる
ストレスや疲労がたまってくると、物理的な視野はもちろん精神的な視野も含めて狭くなってきます。
物理的な視野は…歩いているときに周りが見えていないことで、目に見えたものだけを見て怒ってしまう。
精神的な視野は…「絶対に悪く考えているに違いない」など、極端な思考になっても気づきにくい。
など、見える箇所が少なくなります。視野の狭さが理不尽さ(=クレーマー)につながります。
自分の考えに縛られている感覚があった時は、休養を取りましょう。
私情と事実をつなげたり、混同させない
自分の感情に任せて動くことで、クレーマーになりやすくなってしまいます。事実や周囲の状況とずれやすくなるからです。
ですから私情と目の前にある事実を無理につなげて考えたり、混同させたりしないように注意しましょう。
自分の感情が抑えられず困っている場合は、医師や精神科デイケアのケースワーカーなどのスタッフに相談してみましょう。
就労移行支援で、症状との向き合い方を学ぼう
「精神障害の症状が辛い…」「障害を抱えながら社会生活をしていくことが不安…」というときは、「就労移行支援事業所」に相談してみましょう。
事業所では、障害を持つ方の就職や社会生活を送るための情報やスキルを得る機会があります。症状の向き合い方などの相談をすることも可能です。
「どんな事業所があるの?」「就労移行支援についてもっと詳しく知りたい!」というときは、Salad編集部までご相談ください。
関連記事:うつ病や双極性障害を持つ方の就職には「就労移行支援」がおすすめ!
仕事・働き方に悩んでいたら。『Salad』が強みを活かす就職のサポートをします
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「クレーマー」だと自覚したうえで相手に感情をぶつけることは少ないです。その場の感情に任せて発したことが、クレーマーにさせてしまうのではないでしょうか。ですから「クレーマー」にならないための一番の予防法は、『自分の感情に気づくこと』です。
職場や医療機関・専門機関と相談しながら、セルフケアに努めましょう。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。HSP気質も多く該当している。30歳の時にうつ病を発症。社会復帰に至るまで、リハビリに4年間かかっている。うつ病発症時、特に仕事をしていない時は常に将来の不安があるため、情緒不安定になりやすいと感じている。