疑い深いことで、人とうまく関われない
ネガティブさが疑念を生みやすい
ASD(自閉症スペクトラム)は発達障害の一種です。「アスペルガー」と呼ばれている障害も、現在はこのASDという名称で診断されます。
特性として過去を引きずる傾向があり、それが疑いなどのネガティブな発想につながりやすいです。
人へのネガティブさが、疑い深さにつながる
特性の「ネガティブさ」の対象が「人」になるケースがあります。その場合、どこまでも他人を疑ってしまう「疑い深さ」として現れます。
辛いことが起きないため、想定外の物事に対して心の準備をしておきたいために疑い続けてしまいます。
では、アスペルガー(ASD)を持つ方がなぜ、疑い深いのでしょうか。
他人に対して疑い深い理由
過去の嫌なイメージを引きずりやすい
冒頭で触れたように、特性上ネガティブな思いをしたイメージをいつまでも引きずってしまいます。
理由はそのほとんどの経験に対して、明確な結論が出ることがないからです。他人の心情などは常に曖昧です。時間が経てば経つほど曖昧になっていきます。
それでも曖昧な物事を受け入れられないため、「なぜネガティブな経験をしたのか」が分からない限りずっと原因や結論を考えてしまいます。
そのため身を守るために、どんな人でも疑ってしまうことにつながります。
事実を確認することをせず、想像で解決しようとする
周囲の事情や他者のことについては本人に聞いて確認することがもっとも効率的な方法です。しかし、この「関わる」ということを怖れているため、自分だけで解決する方法をとりやすいです。
もともとがネガティブな発想から来ているため、それが「思い込み」や「疑い深さ」として現れやすいです。
一度疑い始めると、自力で考えを切り替えられない
アスペルガー(ASD)を持つ方は特定の物事へのこだわりが強い特徴を持っています。
そのため、臨機応変な柔軟な対応が苦手です。一度疑い始めると自力で考えを切り替えることが苦手なため、どこまでも疑ってしまうおそれがあります。
疑いすぎると、双方にとって負担になってしまう
何もかも人を信じるべき、というのは確かに危険なことです。
しかしあまりにも疑い過ぎることも好ましくありません。他者と対等なコミュニケーションができないことはもちろん、疑い続けることでのあなたへの精神的負担も大きいです。
健康的に生活していくためには、猜疑心(さいぎしん)とうまく付き合い、良好な人間関係を保っていかなければなりません。
【セルフケア】人や自分を信じたいときのヒント
①過去に関わってきた人を基準に考えない
人の心情や価値観は、人の数だけあります。頭ではそれを分かっていても、過去に関わってきた人を基準として考えていませんか?
形のないもの、見えないものが苦手なことはありますが、同じ人は一人としていません。過去に関わって来た人をモデルとして考えないようにしましょう。
②想像で事実をつかんでも、解決にはならない
疑っていることを人に聞かず、自分の想像だけで判明することはあります。しかし、それで根本的な解決につながるケースは少ないです。
解決のプロセスに人が関わっていないと、その人の人間性が分からないままです。同じ人に違う不安が生まれたときに、また疑ってしまい解決になりません。
③気持ちを切り替えるために、安心できる対人関係に触れる
何を見ても疑う癖がついていたら、休日やオフの時間に友人などと接するようにしましょう。
「疑う必要がない」安心できる対人関係に触れることで、
④疑う発端が分からなくなったら、疑うのをやめる
アスペルガーを持つ方は、どこまでも考え込んでしまうことがあります。これが疑いとなった時、何を発端に疑い始めたのか分からないくらい深いところまで考えてしまいます。
過去に関係していることまで引きずり出して、雪だるま式のように大きくなっていませんか?こうなると、精神状態に大きく負担がかかってしまいます。
どうして疑ったのか、発端を考えてみましょう。何をきっかけに考え始めたのか分からない時は、疑うことを止めるタイミングです。
相談・話し合いの仕方が分からないときはこちらをチェック
相談をお願いする方法が分からない場合はこちら
人に対する疑いや「もやもや」を晴らすためには、他人に聞いて確認する方法が最適な手段です。しかしながら、「コミュニケーションが苦手でうまく相談できない…」と悩んでいませんか?
その場合はこちらの記事「【ASD・アスペルガー】悩み事を相談できない…きっかけの作り方4つ」をチェックしてみてください。
うまく話し合いができない悩みがある場合は
「相談を依頼しすることはできるけど、そのあとうまく話し合いができない…」と不安に感じている方はこちらの記事「アスペルガーは話し合いが出来ない?相手に意見を伝えるヒント4つ」をチェックしてみてください。
もし相談先に迷う場合は、Salad編集部までお声かけください。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
特に過去に人に裏切られた経験など「傷」を抱えている場合、どうしても疑いたくなってしまいますよね。二度と同じ思いをしたくない、そう感じてしまうことは自然なことです。
しかし疑っているうちは、その傷をずっと意識していることなのです。いつまでも疑い続けることで、反対に苦しい思いをしていることが多いです。
ですから自分なりの受け止め方を考えて、安心して生活できるように心がけていきましょう。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。診断はされていないものの、子供時代はADHDの特性も目立っていた。