うつ病発症により、休職・求職を経験した
30歳の時に、うつ病を発症した
筆者は30歳の時にうつ病を発症しました。
このとき筆者に起こった出来事として
・人事異動により環境変化があった
・正確な引継ぎがなされず、新しい仕事を覚えきれなかった
・苦手な自動車の運転をする必要があった
・役職や担当業務の事情で、30歳以上上の方を説得する機会にストレスがたまった
・直属の上司との相性が悪かった
これらの事情がありました。
そのため人事異動から半年後、30歳の時にうつ病を発症しました。その後かかり付けの病院で心理検査を受け、発達障害の一つである『ASD(自閉症スペクトラム)』の診断を受けたのです。
参考:うつ病|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省
参考:大人の「自閉スペクトラム症(ASD)」とは?特性の理解が大切!
休職中、退職後の求職中にさまざまな経験をした
筆者は休職中には『職場復帰のため』、退職後求職中には『社会復帰のため』にさまざまな行動をしました。休職・求職中どちらも言えることは「空き時間が多い」ことです。そのため、『何かしなければ』ととにかくもがきました。
今回は、筆者が休職中・求職中に行動し、後にスキルとして役立ったことを紹介します(就職活動を除く)。
休職中『職場復帰のため』に行い、スキルアップになったこと
①パソコン教室に通い、エクセルとワードの勉強をし直した
親の勧めで、復職までの間にエクセルとワードの勉強をしようと考えました。これには2つの理由がありました。
①復職後、主にパソコン関係の業務が多くなることに対応できるため
②仮に退職することになった時、資格として活用していくため
この2つの理由から、復職の事前訓練が予定されていた時期までにパソコン教室に通うことにしました。決められた時間に教室に行くため、その日に行う目的ができたことが大きかったです。
最終的には4カ月ほどでエクセルとワードの資格を取得することができました。残念ながら復職には至りませんでしたが、後の再就職先で大いに役立てることができたのです。
②ウォーキングや筋力トレーニングを行った
筆者は復職した場合、「1日8時間を5日間続ける体力に自信がない」と感じていました。実際に一度復職に向けた訓練を行った際、2日しか持たず、3日目には疲労から休んだということもあったからです。
『働く体力』は運動をする体力とは異なり、これを休養中に身につけることはとても難しいことです。それは疲労の原因が「緊張や不安」であることが多いためで、休養中に同じ場面に遭遇することがないからです。このような事情は理解していましたが、寝ているよりは良いとしてウォーキングや筋力トレーニングを続けて行いました。これにより、今以上に「基礎体力が落ちる」ことを防ぐ効果がありました。
こちらも直接復職には役立ちませんでしたが、後の再就職先で力仕事をする際に役立つことになったのです。
③精神科デイケアに通い、コミュニケーションを行った
筆者は病院に設置されている精神科デイケアに通い、様々なプログラムを通じて参加しているメンバーの方とコミュニケーションをとっていました。
筆者はうつ病になったことで『自分は人と会話する力がない』と自信を失っていました。しかし、異なる環境で問題なく話せる自分を経験していくことで、少しずつ自信を取り戻していったのです。
こちらも直接復職先の職場に役立てることはできませんでしたが、再就職先の職場でその効果を感じることになったのです。
④友人の紹介で、障害を持つ方を支援する作業所のボランティアに参加した
友人の紹介で、障害を持つ方を支援する作業所に「スタッフのボランティア」として参加しました。その中で障害を持つ方と会話していく中で、「様々な障害を持つ方がいる」ことを知りました。
後に障害を持つ方への偏見がなくなった意味で、大変役立っています。
求職中「社会復帰のため」行い、スキルアップになったこと
⑤ラジオ放送を聴いた
仕事を辞めた直後「すぐに就職活動」という気にはなれませんでした。何もする気にはなれず、一日中録音していたラジオ放送を聞いていた時期がありました。
成長を意識せず行っていたことですが、のちにラジオ放送を聴いていたことで以下のような効果があったのです。
・口頭のみでいかに分かりやすく説明することができるかが分かるようになった
・相手の口頭でのコミュニケーションに関して、聞き取りができるようになった
このような効果を感じたのです。これは『ラジオには視覚効果がなく、全て口頭で状況を説明するため』、自然と身についたのではと考えています。
⑥書店に行き、様々な書籍を読んだ
うつ病発症当時は本を1ページ読むのも疲れるような状態でした。しかし再就職間近のころにはこのような状態も改善され、発症前のように本を読めるようになっていたのです。
再就職の時期が決まっていたので、それまでにできるスキルアップの方法として「本を読む」ことにしたのです。長いときは同じ書店に5時間いて様々な本の存在を知ることができました。さらに帰宅後購入した本を読む、という行動をしたのです。これにより、再就職後周囲との会話で過去と比べて「回答できることが増えた」感覚がありました。
社会復帰後、何が変わった?
辛い思いを経験したことで、同じ状況でも落ち着いて考えられるようになった
再就職先でも、過去の職場のような「ストレスを感じやすい方」はいました。筆者の場合「感情を表に出すタイプ」が苦手です。中でも特に「口には出さないけれど、表情や語気などで表すタイプ」に強いストレスを感じます。
うつ病経験前はどう対応したらよいか迷ってばかりでした。しかし、一度経験したことで対象の方と少し距離を置き、落ち着いて考えられるようになったのです。具体的には「相手の弱さに気づくゆとりができた」ことで、感じるストレスに違いがありました。
同じ状況になったとき、対処法に辿り着けるようになった
筆者は再就職した職場でも、一度めまいや不眠、職場に恐怖を感じる「うつ状態」になりました。
しかし既に同じ状況を一度経験しているため、
・どうしてそのような症状になったのか知っている
・どうやって改善してきたかを知っている
上記の事情を理解していました。
そのため自分の精神状態を客観的に見直して、一日でうつ症状から回復することができたのです。
直接の解決にならなくても、後の生活に活きる可能性は充分にある
筆者はこのように社会復帰のためにさまざまな行動をすることで、問題解決に取り組みました。正直どれも、『直接復職に結びついた』とか『就職のときに有利になった』などにつながったことはありません。そのため、行っていた当時は「ほとんど役に立たなかった」と考えていたのです。
しかし、時間が経って少しずつ『辛い時にあがいた経験』が様々な場面に活きてくるようになったのです。
ですから何か懸命に行っていれば、必ず先のどこかの場面で活かせるタイミングは来ると感じています。
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おわりに
いかがでしたでしょうか。
うつ病などの精神疾患で休養していると、『できない自分』に絶望してしまうこともあるでしょう。筆者もそのような精神状態が長いこと続きました。しかしこのような時期を経験したことで、後の生活を支える『強い軸』ができました。
休養中、何もできないことで『無駄な日々を過ごしている』と感じる時があるかもしれません。しかしその「無駄な日々」と感じていることも、後の生活を豊かにするものになります。
ですから今の自分を否定せず、希望を持ち続けてください。時には休みながらも懸命にあがくことで、活きる道があることを覚えておいてください。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。うつ病発症後リハビリの末、民間企業の障害者雇用として再就職。現在はさらなるステップアップのため、テレワークとして現在の仕事に就職している。