【精神障害者雇用】入社後すぐはプレゼンティーズムに注意!対策は?

精神障害者雇用は、入社直後プレゼンティーズムのリスクが高い

オフィスワークに追われる精神障害者雇用で働いている女性

プレゼンティーズムとは

プレゼンティーズムとは、『出勤しているものの、心身の健康上の問題によって十分な仕事ができない状態』を指す用語です。

風邪やその他入院を伴うような大きな病気だけではなく、
・頭痛・肩こり
・花粉症
・睡眠不足
・精神的ストレス

これらの問題もプレゼンティーズムに含まれます。

このような「小さな不調」も企業全体で積み重なった時に大きく生産性を下げるものとして、現在社会的に問題になっているのです。

参照:健康経営 オフィス レポート – 経済産業省

関連記事:アブセンティーズム、プレゼンティーズムとは?健康問題の原因と対策

精神障害者雇用の方は、入社直後無理をして体調を崩しやすい

特に精神障害者雇用として就職した方はあらゆる事情から精神的負担がかかりやすいケースがあります。また場合によっては自身の疲労を自覚できず、気づいた時には長期休養を要するおそれもあるのです。

入社して1年の間に半数以上の方が離職してしまう問題があります。その理由の大多数が「体調不良」によるものなのです。環境や気候の変化、対人関係や業務への適応など、様々な事情から疲れを感じやすい傾向があります。

精神障害者雇用の方にとって『プレゼンティーズム』は、生産性を下げる問題だけではありません。無理を続けることで大きく体調を崩し、休職や長期休養に入り穴をあけてしまう『アブセンティーズム』につながる要因でもあるのです。

参照:障害者雇用の現状等 – 厚生労働省
参照:調査研究報告書No.137

関連記事:【精神障害】仕事が辛いのに休めない「プレゼンティーズム」の予防法

そこで今回は、
・精神障害者雇用の方が入社直後、プレゼンティーズムに陥りやすい要因
・プレゼンティーズムをなくし、体調悪化を未然に防ぐための対策

このテーマについてお伝えしていきます。

【精神障害者雇用】入社直後にプレゼンティーズムに陥りやすい要因

無理をしながら仕事をする「プレゼンティーズム」状態の女性

①仕事開始直後、緊張状態が続きやすい

精神障害者雇用の方の場合、
・一度精神障害を発症したことで職場を辞め、リハビリの末に再就職した
・精神障害のために職歴がなかったが、何とか就職できた

このようなケースが考えられます。

そのため、『今度こそは頑張りたい』『こんな自分を拾ってくれた会社に恩返しなくては』と意気込み過ぎてしまう可能性があるのです。よって緊張が強まってしまい、心身への負担が大きくなりやすい可能性があります。

②人や業務に慣れるまで疲労を自覚できない可能性がある

さらに職場の『感覚』に慣れることにも神経を使うことが多いです。
・職場の人は、親切にしてくれるだろうか。怖い人はいないだろうか。
・仕事で迷惑をかけないだろうか。業務を覚えられるだろうか。
・オフィス内の空気感や電話の音など、環境に耐えられるかどうか。

一度発症で離職している、もしくは職歴がないために仕事に対する自信を持っていないことが多いのです。

そのため、あらゆる事情に対して不安を抱えることが多いのではないでしょうか。

③見捨てられてしまうのではという不安から、無理をしてしまう

自分に対する自信のなさなどから、常に「職場に見捨てられてしまうのではないか」という不安を持ちながら仕事をしているケースがあります。

・ミスをしたら、見捨てられる
・休んだら、見捨てられる
・サポートなどお願いをしたら「わがまま」だと思われて、見捨てられる
・自分がいることで迷惑をかけているから、見捨てられる

上記のような「見捨てられ不安」を常に抱えていることが多いのです。そのため辛くても無理をして出勤したり、定量を超えて仕事をするなど『見捨てられないように』振舞ってしまう可能性があります。

④生活リズムの変化で体調を崩しやすい

はじめて、もしくは久々の仕事が始まることで、それまでの暮らしと大きくサイクルが変わることでしょう。

・朝起きる時間
・通勤電車に乗る
・日中の生活
・通院の頻度

このようなこれまでと違う生活リズムが続くことで、心身への疲労がたまっているケースがあります。加えてそれまでの生活から、常に「翌日のことが気になる」というプレッシャーが加わるのです。

参考:アブセンティズムとプレゼンティズム (absenteeism / presenteeism)|株式会社こどもみらい

プレゼンティーズムをなくし、体調悪化を防ぐ対策は?

入社直後の障害者雇用の働き方についてアドバイスする女性

①自己理解を深め、他者に説明できるくらいにしておく

『無理をする』がどうして生じるのか。それは自分自身の「限界」を把握していないことが原因です。

・これ以上頑張ったら体調を崩す、『体力の限界』を知らない
・どこまで業務をこなせるのか・抱えられるのか、『業務ペースの限界』を知らない
・どこまで自分一人で行うことなのか、『精神面の限界』を知らない

このようにどこまでOKか、どこからがNOなのかを知らなければ、自然と無理をしていても気づかないケースが多くなるでしょう。ですから上司や医師と相談しながら、自己理解を深め限界を把握していくことが大切です。

また、「ナビゲーションブック」などを活用して、繰り返し確認できるツールを用意しておくとよいでしょう。

参照:精神障害者が働き続けるためには?当事者・企業の視点から – 記事 | NHK ハートネット
参考:「ナビゲーションブックの作成と活用」の概要

②相談する・他者に頼るタイミングを決めておく

仕事を進めていけば、必ずと言ってよいほど「自分の力だけでは打開できない」場面に遭遇します。

この場面で、
・「相談するべきタイミングではない」「自分の頑張りが足りないだけだ」など感じて無理をする
・「辛い」と感じているけれど、どうやって言えばよいか分からない

とためらうことで、追い込んでいくことになるのです。

ですから自分の意思で他者に伝えることが難しいかな…と言う場合は、定期的にコミュニケーションをとる機会を設けるようにお願いしましょう。

常にコミュニケーションをとることで、自分でも気づかない不調に気づいてくれる可能性があるかもしれません。

③長期的に考え、予定や業務ペースを組み立てていく

まずは「早く仕事ができるようになりたい」「すぐに結果を出して、給料アップしたい」など急いで頑張れば、確実に体調を崩すことになると覚えておいてください。またどこまで頑張ればよいか分からない「曖昧な状況」も不調のもとです。

ですからその日だけでなく週間、月間の業務目標を立てるようにしましょう。これにより『今必要な業務量や内容はどれくらいか』限度を知る目安を作りやすくなります。

はじめは上司と相談しながら組み立てていくようにしましょう。その際に「自分がどれくらいの業務量を、どれくらいの時間がかかったか」などを伝えると、より正確な目標を立てることができるでしょう。

④医師と相談し、指示に従う

健康管理のために、医師と定期的に相談しましょう。ここでポイントとなるのは、『自分の体調を正確に伝えること』です。

「体調どうですか?」『はい、大丈夫です』のやり取りだけでは医師も分かりません。睡眠や食事の状況、終業時や朝起きたときの疲れの状況などを伝えられるよう、記録しておくようにしましょう。

参考:「助けて下さい」と言える力 | 東京発達・家族相談センター

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まとめ

精神障害者雇用で働き続ける男女
いかがでしたでしょうか。

よく周囲から「無理をしないでね」「頑張り過ぎないでね」と言われる機会があるかもしれません。しかし「そこまで無理はしていないけどなあ…」と感じているケースもあるでしょう。なぜそのようなケースが生まれるのか分かりますか?

それは、あなた以上に周りは「あなたの限界」を知らないからです。知らないからこそ、心配してなるべく早め・多めに言ってくれているケースが多いのではないでしょうか。

だからこそ、「気が付いていたら無理をしていた」というプレゼンティーズムにならないよう、自己理解を深めていきましょう。

【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。うつ病を発症後4年間のリハビリを経て再就職。およそ4年間勤務した。入社直後は『拾ってくれた会社に恩返しをしたい』『こんな自分でもできることを探さなければ』と神経をすり減らしていた。

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