「ナビゲーションブック」とは?就職活動で精神障害の特性を伝えよう

精神障害のある方の中には、就職活動で「自分の障害特性をどのように伝えればよいか分からない」というお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

障害者雇用枠で就職する場合、職場では障害特性に対する合理的な配慮がおこなわれることが前提となっていますが、面接の限られた時間内に口頭で自分の特性を伝えることは簡単ではありません。

そこでこの記事では、障害のある方がご自身の特性を企業に伝える際に役立つツールとして活用できる「ナビゲーションブック」について、内容や作成方法をご紹介します。

障害者雇用で役に立つ「ナビゲーションブック」とは?

「ナビゲーションブック」とは、障害者職業総合センターによって推奨されている、障害のある方が就職活動や職場定着を円滑に進めるためのツールです。基本的には障害のある方本人が作成し、本人が活用していくことが想定されています。

自分の特徴や障害特性を伝えるためのツール

ナビゲーションブックは、障害のある方自身が就労支援を受ける過程で体験したことを基に作成します。その内容には

・自らの特徴やセールスポイント
・障害特性
・職業上の課題
・企業への配慮事項

などを盛り込むことで、自身の特徴や障害特性を企業に正確に伝えることを助ける働きが期待できます。

(参考)「ナビゲーションブックの作成と活用」の概要

ナビゲーションブックはなぜ必要?

精神障害のある方にとって、就職活動では以下のような困りごとに直面する可能性が高くなります。

・自分の得意なこと、苦手なことが分からない
・自分のことを上手に伝えられない
・履歴書や職務経歴書だけでは、自分の障害特性について書ききれない

ナビゲーションブックは、支援者など他者からの視点も踏まえながら時間をかけて自己理解を深め、履歴書や職務経歴書とは別に作成するツールです。自分の得意なことや苦手なことを整理しながら作成するため、先に挙げた困りごとを解消することに役立つ可能性が高いのです。

ナビゲーションブックを就職活動や職場定着に活かそう!

ナビゲーションブックは、就職活動やその後の職場定着に役立てるためのツールとして大きな効果を見込むことができます。就職活動時や就職後に、どのようなタイミングでナビゲーションブックが活用できそうか、考えてみます。

ナビゲーションブック活用場面①:面接時

企業との面接がおこなわれる場合は、履歴書や職務経歴書に基づいて、基本的には口頭でコミュニケーションが進みます。

その際、自分の伝えたいこと(得意なことや配慮が必要なことなど)を上手く伝えられなかったり、聞いてほしい質問が面接官からされなかったりすることで、不完全燃焼の面接に終わることがあります。

その点、あらかじめナビゲーションブックに必要事項を記入しておくことで必要な情報は企業に伝わり、面接ではその補足をおこなえばよいということになります。

ナビゲーションブック活用場面②:配属時

面接を経て入社が決まって以降も、ナビゲーションブックは大いに活用できます。

一定以上の規模の会社であれば、面接官と実際の上司が異なることも考えられます。配属先の面談などでも、作成済みのナビゲーションブックを用いて自身のことを紹介できれば、職場でも理解を得やすくなり、合理的な配慮のある環境で働くことができるようになります。

ナビゲーションブック活用場面③:環境変化時

会社で働く場合には、職場環境の変化は避けて通れない道でもあります。上司が変わったり、自分が異動になったりすることで、慣れていた環境が変わってしまうタイミングも、ナビゲーションブックを有効に使いたい場面です。

また、業務の量が増えたり内容が変わったりすることで、自身の特性に気づくこともあるでしょう。そのようなときに、作成していたナビゲーションブックを改善して、職場で再度共有できれば安心できるでしょう。

精神障害をお持ちの方がナビゲーションブックを作成するには?

ナビゲーションブックを作成するステップを4段階に分けて解説します。
作成にあたっては、おおむねA4用紙1枚に収まる程度の分量を意識しましょう。

※就労移行支援などの支援者と一緒に、ナビゲーションブックについて理解しながら作成することを前提としています。
(関連記事)就労移行支援・継続A型・継続B型について

ステップ①:自分のことを振り返ってみる

これまでの自身の経験や現在取り組んでいることを振り返る時間を持ちます。その中で、

・障害特性について
・自分の特徴や強み(得意なこと)
・苦手としていること
・苦手なことに対して自分で工夫している対処
・苦手なことに対して配慮やサポートをお願いしたいこと
・通院や服薬状況

などを書き出していきます。

自分の主観だけでなく、周囲の人からの客観的な意見も参考にするのがポイントです。他者から教えてもらった自分の強みに「確かにそういうところがあるな」と自分で納得できれば、追記してみましょう(無理に追記する必要はありません)。

ステップ②:「プレ」ナビゲーションブックを作ってみる

自分の特徴についてある程度整理できたら、様式に合わせて「プレ」ナビゲーションブックを作成してみましょう。

「プレ」としているのは、ナビゲーションブックが何回も修正・改善していくものであるためです。職場で働くことをイメージして、ステップ①で挙げた強みをどのように活かせるか、あるいはどのような配慮が必要なのか、暫定版を作成します。

ステップ③:職場実習などで使ってみる

就労移行支援では、事業所と提携のある一般企業で短期間の「職場実習」に参加できることがあります。

ステップ②で作成した「プレ」ナビゲーションブックを、職場実習で活用してみるのが次のステップです。

日常生活で感じた自分の特徴と、実際に働くうえで実感する自分の特徴は、必ずしも一致しない場合もあります。「仕事」を体感してみて、新しく気づいた自分の特徴があれば書き留めておきましょう。

ステップ④:「プレ」ナビゲーションブックを更新する

職場実習で新しく気づいた自分の特徴を踏まえて、「プレ」ナビゲーションブックを更新しましょう。

ステップ③とステップ④は何度か繰り返しおこない、就職してからも定期的に見直すことで、より正確に自分をナビゲートできるツールが完成します。

まとめ

精神障害を持つ方にとって就職活動や職場定着に役立つ「ナビゲーションブック」をご紹介しました。

先に述べたとおり、作成にあたっては支援者などのサポートを受けることをおすすめします。場合によってご家族や友人などの協力も得られると、より良いナビゲーションブックができあがる可能性も高まります。

この記事を読まれた方が、ナビゲーションブックを活用して理想的な就業を実現できることを願っています。