統合失調症の症状には、誇大妄想になるものがある
統合失調症とは
統合失調症とは、精神疾患の一つです。以前は「精神分裂症」という名称で診断されていましたが、現在ではこの統合失調症に改称されています。
症状として、主に幻覚や妄想などがあります。医学や心理ケアが発達したことで回復した方も増えてきました。しかし、長きにわたり症状に苦しんでいる方もいます。
誇大妄想などの「妄想」に苦しむケースがある
「誇大妄想」とは、妄想の種類の一つです。事実でないにもかかわらず、「自分は有名な人間なんだ」「自分は他の人が持っていない能力を持っている」などの幻想を抱きます。
自分の中で思っているだけであれば、そこまで周囲への悪影響はありません。しかし、本当に上記のような「妄想している存在」だと思い込んでいるため、周囲にもそのようなふるまいをしてしまうのです。
これにより、様々な問題が起きてしまいます。
今回は、統合失調症が
○なぜ、誇大妄想を起こしやすいのか
○対処法や向き合い方にはどのようなものがあるか
についてご紹介します。
【統合失調症】誇大妄想などの症状が起きる原因
1)脳の神経バランスが崩れ、働きを整理できなくなる
統合失調症になると、脳内の神経の働きをまとめることをしにくくなります。これにより、事実とは異なる思考や感覚につながりやすくなります。
2)ドーパミンという神経物質が過剰に放出される
脳内には、「ドーパミン(ドパミン)」という神経伝達物質があります。
このドーパミンは、「気持ちよさ」「心地よさ」を感じる原因となる脳内報酬系という機能の活発化に影響しています。統合失調症になると、このドーパミンが過剰に放出されると研究されています。
3)ドーパミンの過剰に働くことで、妄想などの反応を起こす
この「心地よい感覚」を生みやすいドーパミンの量が増えることによって、幻覚・妄想などの「陽性反応」と感情や気分の低下などの「陰性反応」を起こすとされています。
では、このような辛い症状に対して、どのような対処が必要なのでしょうか。また、どのような心構えで疾患と向き合っていけばよいのでしょうか。
妄想などの辛い症状への対処・向き合い方
症状の経過には特徴があることを知る
統合失調症には、主に4種類の段階に分けられています。
①前兆期…どことなく変な感じがする、だるいなど
②急性期…不安やイライラ、幻聴や妄想など
③休息期…意欲や気分の低下など
④回復期…心身ともに安定してくる
①から④の順に向けて進むのが、統合失調症の回復までの流れの特徴です。この流れを知り、症状の変化に一喜一憂しないことを心がけましょう。
医師の指示に従って、通院や服薬を続ける
上記の時期の変化や病気自体を受け入れないことで、通院や服薬を止めてしまうケースがあります。「幻覚や妄想を見なくなったから、もう治ったのかな」など、自己判断で決めないようにしましょう。
精神科デイケアなど、社会的なリハビリテーションを受ける
発症中は、自分一人で今考えていることが「妄想」なのか、「現実」なのか区別をつけることが難しいです。
ですから常に客観的な視点がある環境に身を置く工夫も効果的です。特に精神科デイケアでは症状に詳しい専門のスタッフもいますから、辛い時に相談するなどして対処するケースもあります。
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将来に悩んでいたら、就労移行支援に相談することもできる
「いつまで治療は続くんだろう…」「こんな状態でいつになったら社会復帰できるんだろう…?そもそも、復帰できるのかな…」など、将来に関して不安や焦りを感じている方もいるのではないでしょうか。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
統合失調症の治療は長期にわたりやすいです。いつまでも回復を感じないことで、治療を止めてしまうケースも見られます。
しかし医師の指示なく通院や服薬を止めてしまったら、症状は悪化してしまいます。辛いリハビリが続きますが、ゆっくりと向き合っていきましょう。