症状から多重人格に見られることがある
うつ状態と噪(そう)状態を行き来する
双極性障害は、意欲や気分が低下している「うつ状態」と、反対に意欲や気分が高揚する「躁(そう)状態」を行き来する精神疾患です。
うつ状態が目立ち躁状態は「調子が良い状態」と誤解しやすいため、症状の特定が難しい問題があります。
性格や雰囲気が激しく変わることがある
双極性障害は、気分の上下が激しいです。これにより、うつ状態と躁状態とで性格が異なって見えるケースも考えられます。
症状が激しいとあまりにも状態が違うため、「多重人格」と考えられるケースもあります。
それでは、双極性障害を持つ方がどうして「多重人格」と見られやすいのか。詳しい原因をご紹介します。
【双極性障害】多重人格に見られやすい原因
うつ状態と噪状態を繰り返している
冒頭で触れたように、双極性障害は「うつ状態」、「躁状態」の相反する状態を行き来します。場合によっては短いスパンで頻繁に変わる可能性もあります。
状態に伴って、言動も変わることがあります。
本人は「全く変わっていない」と感じていても、周囲から見ると「頻繁に性格が変わっている」ように見える場合もあります。そのため、多重人格と言われる可能性があります。
症状によっては過去の言動を覚えていないことがある
また、症状によっては「うつ状態」のときに「躁状態」であったことを覚えていない場合もあります。(その反対も含む)
この「過去のことを覚えていない」「反対の状態の記憶がない」状態を繰り返していると、多重人格に見える可能性があります。
しかしながらそもそも、双極性障害は「多重人格」なのでしょうか。
そもそも、本来の多重人格とは?
多重人格は、解離性障害が該当する
多重人格は、「自分が自分である」という感覚が失われている状態を指します。一方の人格の時には、別の人格の記憶はおろか「感覚もない」状態です。辛い記憶など、思い出したくないことから身を守るために対象の人格を封じてしまうのです。
これらの状態に該当する障害は「解離性障害」が該当します。したがって双極性障害はどちらの状態も自分であるという意識があれば、多重人格ではありません。
しかしもし「解離性障害もあるかも…?」と不安を感じていたら、必ず医療機関に相談しましょう。
治療によって、噪・うつ状態の波をなくしていく
多重人格に見られるには、「うつ状態」・「躁状態」の波が激しいことが原因です。これをなくすためには、医療機関に診察を受け治療を行っていく必要があります。
双極性障害を乗り越える、改善のヒント
うつ病発症時に、双極性障害についても相談してみる
双極性障害の診断のタイミングとして、「うつ病の診断時」、「うつ病の治療を進めていても、回復が見られない時」の2つがあります。早期に回復するために、「早くうつ病ではなく双極性障害である」ことに気づく必要があります。
これはうつ病に処方される薬と、双極性障害に処方される薬が異なるケースがあるからです。症状に合った薬を服用することが早期回復のポイントです。
こちらの記事「双極性障害の診断基準~うつ病との違いを見分けるポイントは?」をチェックして、自分の症状と比較してみましょう。
治療を受けるための健康・精神状態を保つ
うつ病と同じく、双極性障害の治療も長期にわたることが多いです。「なかなか回復しない…」という理由から服薬を止めてしまったり、生活リズムを崩してしまったりしていては回復も遅くなります。
そのため治療を受けるための健康状態・精神状態を保つことが大切です。
就職の際には、就労移行支援事業所に相談してみよう
休養中などは就職に関しての不安もあるのではないでしょうか。この不安が高まり過ぎると、ストレスを原因に回復が遅くなってしまいます。ですから、その不安を解消させる工夫が必要です。
相談する場所のひとつに、「就労移行支援事業所」があります。障害や精神疾患を持つ方などがそれぞれの個性を活かした就業を目指すためのサポートをする障害福祉サービスです。
全国各地にさまざまなスタイルの事業所があります。「事業所がたくさんあってどこ行けばいいか分からない…」という場合はSalad編集部までご相談ください。
関連記事:うつ病や双極性障害を持つ方の就職には「就労移行支援」がおすすめ!
仕事・働き方に悩んでいたら。『Salad』が強みを活かす就職のサポートをします
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「多重人格」と言われて「自分は多重人格なのかな…」と不安になっていませんか?当事者として経験していない場合、うつ状態と躁状態のギャップに驚かれてしまうかもしれません。
しかし医師から「双極性障害」と診断されていれば、多重人格ではありません。ですから安心して治療に専念してくださいね。
あまりにも言われて不安であれば、「解離性障害」について医療機関に相談してみましょう。