緊張で話せない『選択性緘黙』の症状と診断基準、治療法とは?

家を出ると、何も話せなくなる

コミュニケーションにも問題はないのに、職場では何も話せなくなる

「家で家族と、休日に友人と話すことはできるのに、どうしてか職場になると何も話せなくなってしまう…」ということはありませんか?普段のコミュニケーションに問題なく、家族や友人とは会話ができるのに、なぜか職場だと緊張して話すことができない。さらには相手を見ることもできない…このような症状、性格や環境の影響と考えていませんか?

普段とのギャップが激しい場合、『選択性緘黙(せんたくせいかんもく)』という疾患かも知れません。

場所によって話せなくなるのは、選択性緘黙(かんもく)かも

選択性緘黙とは

『選択性緘黙(せんたくせいかんもく)』とは学校や職場など、特定の社会的場面に直面すると話せなくなってしまう精神疾患です。「場面緘黙」とも呼ばれています。

性格的に話せないことや、全ての場所で話せないというわけではありません。家庭や友人同士など、他の場面では問題なく話すことができるため、『内弁慶』と呼ばれていることが多いかもしれません。

子供の発症が多いが、大人でも症状に悩む方がいる

一般的に子供時代に発症することが多く、大人になってから発症するケースが少ないです。しかし根本的に対人関係に緊張しやすい・不安を感じやすい性格を持つ場合、大人でも発症する可能性があると考えられます。

子供時代にこのような症状がありながら、「性格の問題」と見過ごされてきたかもしれません。そのまま大人になっても症状を抱えている、というケースもあるでしょう。

参考:就労訓練による場面緘黙症状の変化 – 障害者職業総合センター

それでは、「選択性緘黙」は具体的にどのような症状があるか。特徴と併せてご紹介します。

選択性緘黙(かんもく)の主な症状、特徴

本人の意思とは関係なく、特定の場所にのみ話せなくなる

先ほど触れたように、「ある特定の場面のみ話せなくなる」のが特徴です。話せている場面と話せない場面の両方を知っている人がいた場合、「職場の人とかかわりたくないのかな?」と思われるほどのギャップがあるでしょう。

しかし、話せなくなるのは「本人の意思とは別」なのです。

要望や必要性を感じていても話せない

職場では打ち合わせなどで「意見を言う」、上司へ「報告をする」など、声を発する機会は多いでしょう。

しかし選択性緘黙の症状がある場合、「話したい」「話す必要がある」と考えていてもできないのです。感覚としては、「声を出す機能が封じられている」イメージではないでしょうか。

意思とは関係のないところで話せないにもかかわらず、周囲から「話す気がない」「関わろうとしていない」と思われて苦労してしまいます。

声だけでなく、相手へのサインに当たるものすべてに関係する

症状としてできなくなるのは「声を発する」だけではありません。相手に伝わるように合図を出すなどの、「サイン」を出すことに関しても同様にできなくなるケースがあります。

相手への意思表示をするタイミングが分からなくなってしまうのです。

極度の緊張を伴うことがある

緊張する場面に遭うとき、または緊張する場面を連想させる人に会ったときなどの際、極度の緊張を伴うことがあります。体が固まってしまって、うまく動くことも難しくなってしまうのです。強い不安を伴うケースもあるでしょう。

「肩の力を抜いていい」など言われることが多いかもしれません。しかし自分の意思とは違うところで起きているため、すぐに解消することができないのです。

関連記事:社交不安障害の症状とは。障害の原因は親とは限らない!?

緊張の対象が「人」ではないことが多い

しかしながら、緊張の対象は「人」ではないことが多いです。あくまでも「空間」や「場面」を対象に起こります。人に対して緊張するのは、その先に「緊張する空間」を想像しているからです。

そのため普段職場で全く話せない上司などでも、「職場と一切関係のないと感じられる」レクリエーションなどでは話せるというケースもあるでしょう。

選択性緘黙の原因は?

さて、このような症状を起こす原因はどのようなことなのでしょうか。

根本的に対人コミュニケーションに不安を感じている

原因として「根本的に対人コミュニケーションに不安を感じている」ことが原因だと考えられています。

家族や友人など、利益とのかかわりが薄い場面であれば話せるかもしれません。これは「失敗しても終わることはない」という安心感から来ていることが多いです。(実情は別として、本人の中での意識として)長い期間の関わりの中から、不安を除いているのでしょう。

しかし、職場などの場面ですと「失敗してはいけない」という重圧を人一倍感じてしまうことがあります。
・話し声を聞かれること
・話している自分を見られること

を苦痛に感じてしまうのです。

不安に感じたら、医療機関の診察を受けよう

このような症状に悩んでいたら、精神科・心療内科などの医療機関に行き診察を受けましょう。診断を受け、治療を受けることで症状の回復や緩和ができます。または症状が起きにくくなるためのアドバイスを受けることができるかもしれません。

では、選択性緘黙はどのように診断されるのでしょうか。

選択性緘黙の診断基準

診断は、DSM-5で行われる

診断は、「DSM-5」により行われます。「DSM-5」とは、アメリカ精神医学会が研究している精神疾患の診断・統計基準です。この基準に基づき診断を行います。

【選択性緘黙の診断基準】
①他の状況で話せているのに、話すことが期待される特定の場面だと一貫して話せなくなる(学校や職場など)。「話してもよい」場面だと話せるのに、「話さなければならない」場面になると話せなくなる。
②その症状によって、学校や仕事の成績、対人関係の妨げになっている。
③症状が少なくとも1ヶ月間続いている。
④話すことができないのは、その場面で求められている知識不足や話す意欲の不足によるものではない。自分の意思とは異なる自由で話せない。
⑤吃音症などでは説明できず、ASD(自閉症スペクトラム)統合失調症、またはその他の精神疾患により起こるものではない。

この項目に該当する場合、「選択性緘黙」と診断されるケースがあります。

選択性緘黙の治療方法は?

①薬物療法

医師から処方された薬を服用することで、不安を緩和させます。不安や緊張が高まると症状が強くなるケースが多いです。そのため、症状が起きにくいコンディションを保つ意味でも重要です。

②認知行動療法

どうして不安に感じるのか、どうして話そうとすると緊張してしまうのかを客観的に考えていく方法です。

原因を考え改めていくことで少しずつ症状を緩和させていきます。

代表的な治療法が「段階的暴露療法」です。これはサポートを受けながら、敢えて緘黙のある場面で話してみることで、その後の状態を体感することで効果があります。

「話せないと思ったが、実際に話してみたらそれほど問題がなかった」「少しずつ不安がなくなっていくように感じる」と体感して、「緊張する必要がない」ことを身につけていくのです。

関連記事:認知行動療法とは?セルフケアで発達・精神障害の不安を解消!

まとめ

いかがでしたでしょうか。

このように、あなたが悩む原因が「シャイだから」「内弁慶だから」で済むことではない可能性があります。症状がもとで仕事ができない、生活に困っている場合は、早めに医療機関に相談してみましょう。

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