『疲労』と『うつ』の違いは?見分け方、疲れがひどい時の対処法は?

初めてうつを発症する方は、疲労との違いが分かりにくい。

『うつ』自体を理解できても、自分のこととしては意識しにくい

仕事をしていれば、どんな方でも疲れを感じます。しかし、その疲労が蓄積されて心身ともに辛い状況を続けると、うつ病になるおそれがあります。

・・とはいえどんな人でも、疲れないことはありません。「うつ」という病気が認知され、症状の重さも知っている方も増えました。それでも、いざ自分のこととなると、「まさか自分が『うつ』だなんて・・」と受け入れにくいことが、うつの発見が遅れる原因でもあります。

初めて『うつ』症状を経験する方は、疲労と区別しにくい

特に初めてうつの症状を経験する方は、疲労との違いが分かりにくいのではないでしょうか。

今回は早期回復のために、日ごろどんな方でも感じる「通常の疲労」と「うつ症状からの疲労」の違いをご紹介します。

まずは一日の生活のなかで、「疲労」か「うつ」かを見分けるチェックポイントをご紹介します。あくまでも基準ですので、不安がある場合はどちらと決めつけることなく、必ず医療機関に相談しましょう。

【早期発見のヒント】「疲労」と「うつ」の違い

朝起床したときの疲労感が違う

疲労には、「体の疲労」と「脳の疲労」があります。通常の疲労であれば、充分な睡眠を取れば心身ともに回復します。仮に短時間しか眠れず、疲れが取りきれなかった場合でも、普通の疲労なら寝る前と比べれば回復しています。

反対に、充分な睡眠を取ったにも関わらず、疲労感が全く抜けないときは危険です。むしろ寝る前より、朝起きたときの方が疲れを感じる、体が動かないなどの場合は「うつ」である可能性が高いです。

寝れば寝るほど、日に日に疲れていく場合は、必ず医療機関に相談しましょう。

疲れているとき、仕事に行く前の感情が違う

どんな方でも、疲労はたまります。仕事をしていれば、眠っても疲れが取りきれない日の方が多いかもしれません。そんな日の朝は、仕事に対してネガティブな気持ちにもなるでしょう。

しかし、通常の疲労で朝感じるのは、「嫌だなあ…」という気持ちまでです。出勤に関して支障になるまでには至りません。

今、出勤前に「怖い」という感情はありますか?

仕事に行かなきゃいけないのに、体がうまく動かないことはありますか?

出勤に対して心や体までが拒否を始めたら、「うつ」である可能性が高いです。

勤務時間終了直後の感情が違う

仕事が終われば、疲れを感じていても、どんな方でも何かしらのポジティブな感情がわきます。それが達成感のときもあれば、家に帰れる安心感のときもあるかも知れません。

終業時、妙な「解放感」はありませんか?

勤務時間中、「閉じ込められた感覚からやっと抜け出せる!」と逃げ出すような気持ちはありますか?

このような場合、うつである可能性も考えましょう。さらに言いますと、うつ症状がある場合は一日のなかで「終業時」がもっとも疲労感がありません。一日のうち、「元気のピークが終業時」であることが続いていたら、医療機関に相談しましょう。

就寝前の感情が違う。

寝る前、不安や恐怖感はありますか?床に入っても仕事の心配は続きますか?

通常の疲労であれば、明日の仕事に関しては、「予定」として意識します。しかしうつの場合は、「恐怖」が先行します。考えるのをやめようと思うほど、考えてしまいます。

緊張感が高まり、眠れなくなっていませんか?寝る前に自分の意志で仕事への意識を断ち切れない場合、「うつ」である可能性が高いです。

参考:疲労、全身倦怠感|身体面の症状|症状から知る|こころの 病気を知る|メンタルヘルス| 厚生労働省
参考:うつ病|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省
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慢性疲労症候群とうつ病との見分け方は?

疲労がうまく回復されない症状として、慢性疲労症候群もあります。

確かに慢性疲労症候群でも、抗うつ剤や抗不安薬が処方されることがあります。ただしそのケースは「他の身体症状が原因でなく、かつうつ病などの精神疾患でもない場合」のみです。

現在の医療では、疲労の原因があらゆる病気からではないと分かったのちに診断されるのが「慢性疲労症候群」です。そのため、診断の優先順位としては、慢性疲労症候群よりうつ病などの精神疾患の方が優先です。

それでは、疲労に悩んだときにはどんな対処を行えばよいのでしょうか。

疲労に悩んだ時の対処法

1)まずはどちらの場合でも、疲労に悩んだら一般内科などに相談する

疲労を感じたら、まずは一般内科など、身体疾患を見る医療機関に行きましょう。

ここまで疲労とうつの違いを紹介してきました。しかし、通常の疲労と違うから必ずうつ病であると断定することは危険です。

それは疲労から来る身体疾患として、高血圧や糖尿病、腫瘍の可能性もありうるからです。さらに「先に精神科や心療内科でうつ病と診断されていても、原因には糖尿病が影響していた」というケースもあります。

まずは内科などに相談し、身体疾患の可能性を判断してもらうことが大切です。

2)内科などでも原因が分からない場合、精神科や心療内科に相談する

「内科でも原因が分からなかった…」「自律神経失調症と診断されたけど、薬を飲んでも全く治らない…」

このようなときは、精神科や心療内科に相談しましょう。いくつも病院を転々とするのは不安ですし、手間もかかります。しかし確実に回復するために、原因特定は重要です。あなたの健康のために、あらゆる角度から症状を診てもらうようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

筆者もうつの経験があります。自分が当事者になるまでに、職場でうつ病を発症して仕事を休む方を何人も見てきました。

それでもそのときは、自分とは遠い存在に見てしまっていました。それだけにうつの診断を受けた時はとても落ち込みましたが、同時に誰にでも起こりうる身近な病気だということも分かりました。

健康な状態であれば、仕事の疲れは心地よい部分もあります。何らかの症状を抱えているときは、疲労は悩みの種でしかありません。

この記事をきっかけに、今のあなたの体の声を聴いてあげてください。

【筆者紹介】
30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受ける。実際にうつ症状を体験。職場復帰には4年かかった。うつ発症当時の感覚は、「朝起きたとき、体の動かし方が分からなかった」。