【発達障害】覚えるのが苦手なのはワーキングメモリが低いからかも?

覚えるのが苦手で、すぐに忘れてしまう…

今聞いたことなのに、メモするときに忘れてしまう

仕事中、物事をよく忘れてしまうことで困ってはいませんか?「今聞いたことなのに忘れてしまって、書いたメモはどこだっけ…」と混乱することで、ストレスも溜まってしまいますよね。

また、「指示を聞いた後にメモをしようと思っていたら、書くときには何の話をしていたか覚えていない…」などのケースから仕事で苦しむ方がいます。

同じミスを繰り返してしまう

覚えるのが苦手であるため、大切なことや必要事項を覚えるのも苦手です。そのため、同じミスを何度もミスを繰り返してしまっていませんか?

かつ、教えてもらったことまで忘れてしまい「前にも言っただろ!」と怒られてしまっては「もう…どうしたらいいの!」と苦しい気持ちになりますよね。

実はこのようなケース、発達障害による「感覚の偏り」の可能性があります。そのうちの「ワーキングメモリが低い」ときに起こりやすいケースなのです。

すぐに忘れてしまうのは、「ワーキングメモリ」の影響かも

ワーキングメモリ(短期記憶)とは

「ワーキングメモリ」とは、注意や意識を続けたり、耳で聞いたことを処理して、記憶する力をいいます。「ワーキングメモリー」や「短期記憶」とも呼ばれることがあります。

パソコンの機能で例えれば、「クリップボード」のようなものではないでしょうか。データのコピーや切り取りの際に、いったん保存しておく機能のことです。

この「いったんこっちに置いておいて」が苦手なことが、ワーキングメモリの低さと言えます。

ワーキングメモリについては、知能検査で分かる

このようなワーキングメモリの度合いについては、医療機関の知能検査で分かることができます。臨床心理士が主に行う形式で、2~3時間ほどかかります。この検査で「頭の良さ」が分かるものではありません。感じ方や処理・理解の感覚のバランスを見るためのものですから、安心してください。

知能検査は、発達障害の診断をする際に補助的役割として行う医療機関もあります。原則医療保険が適用されないため、検査料も高いです。ですからもし気になる場合はいちど、かかりつけの医療機関に相談してみましょう。

では、このワーキングメモリが低い場合、どのような行動として現れるのでしょうか。

ワーキングメモリが低いときの行動

その場で聞いた言葉、数を記憶しにくい

冒頭でお話ししたように、その場で聞いたはずの言葉でも記憶することが苦手です。また、「~枚」などの一けた台の数字も覚えることが苦手なケースもあります。

簡単な数の計算、操作をすることが苦手

簡単な数の計算や操作をすることが苦手です。これは例えば1+2+3+4の式であれば、「1+2」の結果を覚えながら3や4を足していかなければなりません。ワーキングメモリが低い人にとっては覚えることに苦しむ場合があります。

3と4を足した時にはその前の「1+2」を忘れてしまって、答えを「7」として覚えてしまうリスクもあるのです。

同じ状態や集中を続けられない

ワーキングメモリが低いことで、同じ状態でいることに耐えられない状態を招きやすいです。これは注意が他のものに逸れる機会が多いことから来ています。

それではこのような特徴が職場でどんな影響を起こしやすいか、具体的なケースを見ていきましょう。

職場ではどんな行動に現れる?

指示や会話の聞き間違い、聞き忘れが多い

上司から「この資料、15部印刷して○部と△課の係長に配ってきて」という指示を受けたとしましょう。

ここで覚えることは、
①これは資料である
②この資料を15部コピーする(詳細の印刷設定なども含む)
③○部と△課に配る
④各部署の「係長」に配る
の4つです。

この細かさや量は人により異なってきます。ワーキングメモリが低いと、まず「15部…15部…」ということに強く意識を向けなければいけません。そのため、配る部署はもちろん、コピーをすることも忘れてしまうケースもあります。

このように相手の言葉を正確覚えられないことから、「聞き間違い」「聞き忘れ」が多いことに悩みやすいです。

注意が逸れやすく、ケアレスミスのリスクが高い

仕事のほとんどは、このワーキングメモリからなることが多いです。書類のチェックにも確認するポイントや作業の流れなど、沢山のことを意識していないとミスを生んでしまいます。

そのため、どんなに注意しようと思っていてもケアレスミスが出てきてしまうケースが多いです。

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物忘れが多く、名前や予定を忘れてしまう

記憶することが苦手だと、当然忘れることでの問題が多くなります。そのため、物忘れや大切な約束なども忘れてしまうことが多いのです。周囲からすると「えっ!?どうしてそんな大事なことを忘れられるの?」と疑問に思うようなことを覚えられないことで苦しむケースがあります。

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このような苦労を改善・解消し、職場で仕事を続けていくためにはどのような方法をとっていく必要があるのでしょうか。

【発達障害】覚えるのが苦手なときの改善、対処法

上司と相談して、負担のないやり取り方法を決めておく

まずは上司と相談し「記憶することが苦手」なことをしっかりと伝えていきましょう。どんなことで困っているのかを伝えないと、配慮をすることはできません。さらには知らないまま無理に覚えさせるような指示をされてしまうおそれもあります。

そのような事態を少なくしていくために、しっかりと自分の特性を理解し職場に伝えていくことが大切です。

上司など、職場でのコミュニケーションの方法に迷っていたら、下記の関連記事も参考にしてみてください。

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得意な覚え方を把握する

上司に相談したのち覚えやすいように指示をしてもらうと同時に、自分自身でも覚えやすいように工夫することも大切です。これにより、さらにスムーズに進められるようになります。

「聞いた方」が覚えやすいか、視覚として「見た方」が覚えやすいかなど自分の得意な覚え方を把握しておくとよいでしょう。

また、自分なりの覚えるパターンなどを作ることができれば効果的です。毎日の仕事で必ず行うことは全てメモなどに記録しておけば、覚えておくことが「困ったらメモを見る」に絞ることができるからです。

集中しやすいコンディションを整える

注意力を整える方法として、医師から処方される薬を服用する方法があります。

かかり付けの医師に相談し、集中できる薬を処方できないかどうかお願いしてみましょう。

また、集中力アップの方法としてこちらも参考にしてみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

覚えたいのに覚えられないのは、仕事だけでなく日常生活においても困ることが多いのではないでしょうか。ですからワーキングメモリが低いのかな…と感じたら、できる限り一度に情報を抱え込まないように工夫していくことでも負担を軽減できます。

辛いことがあるかもしれませんが、諦めずに少しずつ取り組んでいきましょう。

もし、どうしても「今の環境では覚えきれない…」など困っていることがあればSalad編集部までご相談ください。

【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。診断時に併せて知能検査も受けている。