幻聴の辛さを理解してもらえない…
統合失調症の症状に「幻聴」がある
統合失調症は精神疾患の一種です。環境変化などの不安やストレスから発症しやすいと言われています。
この統合失調症の主なの症状の一つとして、「幻覚症状」があります。実際にないことやものが感じられる症状です。
その中に「幻聴」という症状があります。「誰もいないのに人の声がする」「実際には静かなのに、職場で怒鳴り声が聞こえる」など、当事者のみに聞こえてくる症状です。
体調にも影響がある症状で、とても辛い症状です。しかし、他の方に相談することにためらってしまうこともあるのではないでしょうか。
【統合失調症】幻聴の悩みを言いづらい理由
幻聴の症状の悩みを職場はもちろん、主治医にすら言いづらい理由をご紹介します。
分かってもらえないから
当事者にとって幻聴は、様々な受け取り方をされています。他のみんなにも同じように聞こえていると感じていることもあれば、自分にしか聞こえていないことを自覚している場合もあります。
どちらの場合でも「言ったところで理解してもらえない」と考えていることが理由の一つです。
『実際には聞こえていないから気にするな』と言われそうだから
周囲の方はもちろん、当事者の方も『その声や音が実際に聞こえている音声なのかどうか』に焦点を当てやすいです。
もちろん、聞こえていることについて共感してもらいたいこともあるでしょう。
しかしそのまま相談をしてしまうと、事実として聞こえている・聞こえていないの判断で終わりやすいのです。したがって、症状からなる辛さまで話が進みにくいです。
このような経験や思い込みにより、悩みを相談しづらいのではないでしょうか。
辛さの伝え方が分からないから
症状自体も曖昧で、それに伴う心情も曖昧です。さらには正確に伝えられる状態でないことがあると、辛さの伝え方が分かりません。
よって、誰にも話せないまま苦しんでいることがあるのではないでしょうか。
理解者がいないと、さらに辛い…
症状自体ももちろん辛いものです。しかしながら共感や理解をしてくれる方がいないことでさらに辛い気持ちになりやすいです。
孤独感のストレスを抱えたまま治療を行うことは難しいです。それでは、職場や医師にどのように悩みを伝えていけばよいのでしょうか。
【幻聴症状】職場や病院への辛さの伝え方
1)聴こえているものが事実か否かは最優先ではない
まず相手に伝えるときに「聞こえているものが他の方にも聞こえているものか否か」を意識し過ぎないようにしましょう。
確かに自分にだけ聞こえているものだと感じることは辛いことです。しかし同意を求める行為が話のメインになると、相手もそれに対する返答になりやすいのです。
2)自分には確かに聴こえていて、体調への影響があることが大切
伝え方として大切なのは、「今、確実に起きていること」を軸として伝えることが大切です。
どのような聞こえ方でも確実なことは、
①自分には聞こえている
②聞こえていえることで辛いと感じている
③それが体調にも影響している
の3つです。
仮に今自分に聞こえていることが事実だとしても、取り除かなければなりません。どちらにしても自分が聞こえなくなるように対処していかなければなりません。
3)従って職場や病院には、幻聴から起こる不安や不調を軸に伝えていく
したがって病院はもちろん、職場の上司や周囲の方には、
「あなたが今聞こえていることで辛い思いをしている」
ということを伝えていきましょう。周囲に伝える自信がない場合でも「自分が辛いのは事実だ」ということを考えるだけでも、話しやすくなります。
ストレスの原因がないか振り返ってみる
また、職場や生活の中でストレスになりそうな原因がないか振り返ってみましょう。職場や業務の変化があった、転居して新生活を始めたなど、原因が見えてくるかもしれません。
聞こえていることが気になっていて意識していないことの中に、あなたにとって負担となっていることがあるかもしれません。
自分で考えることが難しい場合は、家族や職場の上司、主治医の方に「ストレスの原因となるもの」について相談してみましょう。
医療機関に適切な対応法を確認しよう
統合失調症の治療には、薬物や通院・入院など「医療機関」が深く関係します。あなたの体調や精神状態に合った治療法を考えたうえで処置を考えます。
ですから医師とよく相談して、辛い状態を解消できる方法を確認していきましょう。
そのために、今どれだけ辛いのかを伝えることが大切なのです。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
悩みを真剣に伝えたのに、相手に笑われたり真剣に取り合ってもらえなかったりすると、もう相談したくない…そう考えたくなります。
「どうせ誰にも理解してもらえない」そんな辛い思いを抱えているかもしれません。
しかし話の方向を少し変えるだけで、周囲の方も解決に向けて考えやすくなります。
辛いかもしれませんが、もう一度だけ勇気を振り絞って話してみませんか?
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受ける。HSP特性もあるからか、職場で同僚や後輩の相談を受けやすい。メンタル心理カウンセラーの資格取得の勉強の際、統合失調症の症状や感じ方、対処法に関しても学んでいる。