「アスペルガー」と呼ばれる方は、嘘がつけないことがある
「コミュニケーションの応用」が難しさを感じることが多い
「アスペルガー(症候群)」と呼ばれていた方は、現在ではASD(自閉症スペクトラム)という名称に統合されています。
このASDを持つ方の特徴として「相手の表情などを読み取ること」、「曖昧な物事への判断が苦手」ということがあります。これにより、複雑なやり取りや臨機応変なコミュニケーションを伴う「応用」が苦手であることがあります。
その特徴の結果「嘘がつけない」として、会話の中に現れることがあります。今回は、ASDを持つ方の
〇嘘がつけない理由
〇嘘がつけないことでの注意点
〇嘘がつけないことでのメリット・活かせること
をご紹介します。
嘘がつけない理由
表情などが読めず、言葉そのままを受け取ってしまう
ASDを持つ方は、表情などから言葉以外のメッセージを受け取るのが苦手です。したがって、皮肉などの「言葉とは真意が反対の意味の表現」などを理解することができません。「あなたって本当に素晴らしいんですね」と皮肉を言われても、褒められたと思って感謝してしまいます。
もしくは異変には気付いても、真意には気付かないので不安が高まるケースもあります。
どちらのケースも意図的には嘘をついていないわけではありません。しかし、相手から見て「嘘が苦手なのだな」と思われやすいケースです。
臨機応変な返答ができない
会話のその場その場で毎回違う受け答えを考えるのは、ASDを持つ方にとっては困難に感じることです。常に定型文だけで会話をしたいのが、ASDを持つ方の本音だということも多いのではないでしょうか。
定型文での会話が多いと受け答えが単調になりやすいです。さらに相手に応じた回答が苦手なことから、結果として嘘偽りない言葉として伝わることが多くなります。
関連記事:アスペルガーは『ロボットみたい』!?相手に伝わる感情表現とは?
思いやりや配慮の仕方がずれている
相手は「オブラートに包んで柔らかい言葉で言ってほしい」と感じていても、相手のためを思ってストレートに伝えてしまうなどのケースです。実際には求めていなくても、相手のためにと敢えて嘘をつかないことを選んでしまいます。
ASDの特性として、言葉以外の物事から相手の意図を読み取るのが苦手です。そのため、このように双方の望んでいることがずれてしまうことがあります。
関連記事:ASDを持つ方が「空気読めない」と言われるのはなぜ?改善法は?
このようなリスクを減らすために、会話においてどのような注意が必要でしょうか。
会話のとき、嘘がつけないことでの注意点
目上の方との会話では、遠慮や謙遜のない言葉にならないよう注意する
相手の事情に関係なく定型文で回答をしていると、相手が目上の方であっても同等の立場の受け答えになっていることがあります。嘘偽りはないかもしれませんが、結果として相手に失礼な印象を与えてしまいます。
話す内容を偽る必要はありませんが、言葉遣いには注意が必要です。
嘘をつくことは不要だが、言わなくて良いことは控える
嘘をつかないことで傷をつけてしまうことがあったとしても、進んで嘘をつく必要はありません。嘘をついたことで後にもっと傷つけることにもなりうるからです。
しかし、言わなくて良いことまで言ってしまうことは控えましょう。そこまで真実を伝えることにこだわるのは、マイナスでしかありません。
言葉を発する前に、本当に今必要な言葉なのかどうかを確認するくせをつけましょう。
自分が言われた場合に嫌だと思うことは、言わない
どんなに配慮をしたとしても、相手を傷つけてしまうことはあり得ます。しかしながら、相手の求めていることとずれているようでは、職場などでもスムーズにコミュニケーションが取れません。
ですから対処として、「こういう言い方が適しているのでは」という発想ではなく、「自分が言われて嫌なことは言わない」ようにしましょう。その基準を持つだけでも、相手を傷つけるケースが少なくなります。
ここまでは、嘘がつけない特性のデメリットを紹介してきました。しかし、デメリットだけではありません。活かし方を工夫すれば、メリットにも変えることができます。
参考:発達障害24歳男性と「会話」が成立しないワケ | ボクらは「貧困強制社会」を生きている | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
嘘がつけない特性のメリット
筋が通っていて、意志が強い
嘘がつけない特性を持つ場合、自分の意思に対しても装飾したりごまかしたりすることがありません。柔軟な考え方ができないぶん、余計なことを考えること少ないです。物事の本質に向かって筋が通っていて、強い意志を持ち続けることができます。
この強い意志で、周囲を引っ張っていける一面もあります。
裏表がなく、相手から信頼されやすい
人間は、嘘をついてほしい場面がありながらも、真意を疑ってしまう弱さを持っています。だからこそ、普段は敬遠されていても大切な場面では意見を求められるケースもあります。
「嘘をつかない人」だと知っていることで相手も安心しやすく、信頼されやすい一面もあります。
核心をつく言葉を発しやすい
嘘がつけない特性の方は、常に真実(嘘でないこと)を求めていることが多いです。そのため会議や話し合いなどで物事の核心を突く言葉を発することが多いです。あなたの発した言葉によって問題解決の糸口が見える、ということもあるかもしれません。
嘘をつけない特性は、誰もが意識しながらも表現しづらい言葉を発する強さも持っています。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
柔軟な対応をすることでの利点があれば、嘘のない対応をすることでの利点もあります。必ず短所の背景には、長所のヒントがあります。
この記事をきっかけとして、新しい能力への「気づき」になれれば幸いです。