特性が完璧主義につながるケースがある
こだわりの強さが深く関わる
ASD(自閉症スペクトラム)は発達障害の一種です。かつての「アスペルガー(症候群)」や「自閉症」などは、このASDという名称に統合されています。
特性に、「こだわりの強さ」があります。目標のためならどんな辛いことでも乗り越える強さを持つ反面、周囲と噛み合いにくい問題になりやすいです。
強いこだわりが、完璧主義や潔癖な性格にもつながりやすい
このこだわりが、「完璧主義」「潔癖」などの性格にもつながりやすいです。これを周囲の状況に関わらず行ってしまうことで、周囲から悪いイメージを持たれてしまいます。
さて、アスペルガー(ASD)を持つ方がこのような状態になりやすい原因はどんなところにあるのでしょうか。
【アスペルガー】潔癖や完璧主義になる原因
こだわりが強く、妥協を許さない
冒頭にも挙げた「こだわりの強さ」があるために、関心のあることには一切の妥協を許さないケースがあります。
加えて一切の妥協を許さず(自分が求めている中での)完璧以外を認めようとしません。このような極端な思考で疲れさせてしまい、周囲がついてこなくなります。
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応用が効かず、決まりや基準通りにやりたい
完璧主義な人にとって「決まったやり方以外の方法」を行うことは許されません。そのため、潔癖が過ぎると「(自分のやり方や環境を)汚された」という感覚になるケースもあるのではないでしょうか。
方法やルートにこだわり過ぎ、当事者がいないのにも関わらず特定の人に執着するなどから、業務全体に支障をきたすおそれもあります。
自分の領域に関して、過敏な感覚がある
感覚過敏も持ち合わせている場合、デスクなどの自分周辺の環境にひどく敏感なケースがあります。汚れているなどはもちろん、「物の置き方が1センチずれている」「本や資料の並べ方が変わっている」「空調の設定が28度になっていない」など、規則性に関しても(自分の中での)完璧を求めます。
この様なこだわりを自分の中だけにとどめていれば、問題にはなりにくいです。しかし職場の場合はどんなに直接人に向けていなくても、行動の中で他者が関わってきます。
ですから、仕事ではうまく「完璧主義」「潔癖」をコントロールしなければなりません。
完璧主義とうまく向き合う対処法
定期的に自分の思考を整理して、「こだわり」の断捨離をする
こだわりは抱えすぎると、心身に負担がかかります。あれもこれもと完璧にしたいものが増えていては、キリがありません。
完璧主義が過ぎると、うつなどの精神疾患を招くおそれもあるのです。ですからこちらの記事「【体験談】辛い「ピンチ」脱出法~発達障害を持ち障害者枠で働く方へ」をチェックして、定期的に自分の思考を見直してみましょう。
自分の中での「許せない」が減ることで、ストレスも軽減されます。
完璧さを求める作業の定量、タイミングを決める
気になる部分に取り組む定量やタイミングを予め決めておきましょう。それ以外のタイミングで気付いても作業をしないように、心のバランスを保つ工夫が必要になります。
仕事の取り組み方について不安な場合は、上司に相談をしてみましょう。自分には何を求められているかを確認し、こだわりや関心の向きを見直すことも方法の一つです。
リラックスして、精神的な休養をとる
緊張したままだと敏感になりやすいです。ピリピリした感覚が続けば、精神的負担がかかります。「気になることが増えてきたな…」と感じたら休養をとるようにしましょう。
完璧主義は、工夫次第で高い成果につながる
「完璧主義」や「潔癖」は周囲と考えが合わなければ、悪いイメージになると冒頭でお伝えしました。しかし、あくまで「今いる環境では求められていない」だけなのかもしれません。不特定多数の方の目に留まる場所であれば、ゴミ一つ許さない「潔癖さ」を求められる可能性もあります。
「カスタマイズ就業」という言葉を聞いたことがありますか?これは自分の障害や個性を「強み」として活かして社会貢献していく働き方です。
今、仕事で「頑張りすぎることが許されない…」「気になるのに気にしてはいけない…」など、自分の特性や性格を責めていませんか?もし今の状況に悩んでいたら、「カスタマイズ就業」のチャンスです。
「もっと知りたい!」というときは、Salad編集部までご相談ください。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
完璧主義や潔癖を認めない環境であれば、周囲に受け入れてもらうことは難しいのではないでしょうか。
なぜならその人があなたの完璧を受け入れたら、自分の至らなさを認めることだと理解する場合があるからです。個々の違いを個性として受け入れる寛容さを持つことは、簡単なことではありません。
ですから今の困難への対処としては、「自分を環境に適応させていくか」「自分を求めてくれる環境を探すか」のどちらかになります。
職場とも相談しながら、自分の特性を見直してみましょう。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受ける。友人いわく「芸術家気質」で、完璧主義な傾向がある。そのため定期的にセルフケアを行い、周囲に迷惑がかからないようバランスを意識している。