5sとはどんなこと?
5sとは
「5s」とは、整理整頓を組織的に取組み徹底的にきれいにしていこうという活動の用語です。sはそれぞれ、整理整頓に関わる用語の頭文字を取っています。
・整理
・整頓
・清掃
・清潔
・しつけ
この5つの頭文字「s」をとったものを「5s」と呼んでいるのです。
ちなみに「しつけ」と聞くと子ども扱いしているのかと誤解することがあるかもしれません。しかしここでのしつけは、「きれいに使うように習慣づけること」という自己管理に関わる言葉です。したがって各企業でも、このしつけを踏まえた5sに注目しています。
ADHDは、整理整頓が苦手なことで悩みやすい
注意欠如・多動性により片付けや清掃が苦手な場合がある
ADHD(注意欠如・多動性障害)は、一定の物事に注意を向け続けることが苦手など、注意力のコントロールに困難を感じやすい発達障害です。
片付けや清掃などの物理的な整頓はもちろん、時間やスケジュール・タスク管理などの整頓も苦手な場合があります。整理ができないことで仕事がスムーズにいかないことや、重要な書類を紛失してしまうなどのミスにつながるおそれがあるのです。
参考:注意欠陥・多動性障害(ADHD) | 仙台の心療内科・精神科・美容内科マドレクリニック
参考:【片づけができなくて。ずっと”普通”の人になりたかった 】ADHDの悩み | NHK健康チャンネル
関連記事:【ADHD】時間管理・スケジュール管理ができない…改善法はある?
5sを知って、整理整頓に活用してみよう
ADHDを持ち、整理ができない問題に悩む方もいるのではないでしょうか。仕事だけに限らず、家庭でも必要書類や大事なものなどの管理の際に整理整頓が求められます。
今回は、5sの基本をお伝えします。自分の整理の方法と比較して、改善に役立ててみてください。
5sのそれぞれの項目についてチェックしよう
整理
5sでいわれる「整理」とは、不要なものを捨てることです。いざ不要なものを捨てようとしたときに「まだ使うかもしれない…」と決めきれないなどで物が増えていませんか?
物が多いと、それだけ選択肢が増え迷いやすくなります。洋服で言えば10着あるケースと3着しかないケースとでは、決めることの難しさは変わってきますよね。ADHDを持つ方の場合、決断がコロコロと移り変わってしまい、判断や行動が遅くなる要因にもなりかねません。
そのような意味でも捨てることだけでなく、はじめから不要なものを増やさないことも「整理」と言えるのではないでしょうか。
整頓
「整頓」とは、使いやすく並べてきれいにすることを言います。よく「整理整頓」とワンセットで言われるため「整理」との意味の違いに気づかないこともあるでしょう。
「整頓」は、片づけた後への配慮が関わります。どんなに見た目がきれいになっていても、その後「あれはどこにあったかな…?」と探すようでは整頓にはなっていないということです。
ただ、自分が使いやすいからと言って散らかっているようでは清潔感がないケースや周囲が分かりづらい問題が出てくるでしょう。
そのような意味できれいに整える「整理」と、使いやすいように整える「整頓」をセットに言われることが多いのです。
清掃
5sで言われる「清掃」は、きれいにするだけではありません。きれいに掃除をしながら点検をすることも含まれています。
例えば自宅やオフィスでも、電気コードをつなぐコンセントがあります。コンセントがデスクなどで隠れていることで、埃をかぶっていたとしましょう。これをふき取るなどできれいにするだけでは「清掃」にならないということです。
きれいにしたのちに「コンセントに破損等はないか」「取り替える必要はないか」など、その後安全に使えるかどうか点検することも含めて、「清掃」と考えられています。
清潔
清潔とは、きれいな状態を維持することです。どんなに整理や清掃できれいにスキルがあっても、その後の使い方が粗くすぐに汚してしまうようでは追いつきません。
ですから「汚くなったら掃除しよう」と言う考えではなく「はじめから汚さない」ことを心がけることが大切とされています。
これにより、整理や清掃などもスムーズに行いやすくなります。
しつけ
しつけは、きれいに使うように習慣づけることです。先ほどの「清潔」を保つためには、きれいに使い続けようという意識がないと達成できません。
清潔を維持するためにはどうすればよいかを考え、それに対する行動を持続させる心がけが5sでの「しつけ」に該当します。
整理整頓の工夫って、そんな当たり前なこと?
整理整頓の工夫と聞いて、「もっと斬新なことが出てくるのかと思った」「こんなことは当たり前で、もうやっている」と感じたかもしれません。しかし、企業ではこの「当たり前」なことを改めて「活動」として意識付けしているのです。
それは、ひとりひとりの「きれいの概念」が異なるからです。例えば「清掃」で言えば、ただきれいにすればいいと考えている方もいるかもしれません。それにより点検を怠ることで、事故やトラブルを招いてしまうことも考えられます。
また、このような当たり前のことだからこそ、継続させることが難しいのではないでしょうか。
ADHDの特性に5sを取り入れるコツ
意識を保てる精神状態を保つ
まずは5sに意識を向け続けられるよう、精神状態を保ち続ける工夫をしていきましょう。生活リズムを整えることはもちろん、服薬などについて定期的に医師と相談していくなど、健康管理を心がけましょう。
関連記事:【医師に要相談】発達障害を持つ方にかかわる、服薬の効果と注意点
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時間・場所を指定する
好きなときに行えばよい…という考え方だと行えなかったり、その予定を忘れてしまっていたりするケースが考えられます。そのため、あらかじめ「木曜日の3時からデスク整理の時間を設ける」「週に一度、火曜日にコンセントやコードを点検する」などあらかじめ行う時間や場所を決めておきましょう。
場所も決めるのは、無計画に沢山行い過ぎて、反対に整理できなくなることがあるためです。そのため場所を特定しておくと、後のどこを行ったかも把握しやすくなります。
さらには予定を忘れることがないように、常に見えるところにメモを置くなどして忘れない工夫をしておきましょう。
関連記事:【大人の発達障害・ADHD】片付けられない方への整理の工夫4つ
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ADHDの特性で困っていることは、上司に相談してみよう
ADHDを持っていると、このような整理整頓以外にも様々な困りごと、悩みごとを抱えているかもしれません。「どうしても仕事に集中できない…」「何度も同じミスをしてしまう…」など、ストレスを抱えていませんか?
職場でこのような悩みがあるときは、一人で抱え込まず上司と相談しましょう。「分かってもらえないだろう」と不安を感じるかもしれませんが、悩みを伝えることで改善される問題もあります。困難に応じたサポートを工夫してもらえることもあるかもしれません。
ですからもし一人で来るしんでいたら、職場に相談していきましょう。もし相談するきっかけをつかめないときはこちらの記事「【大人のADHD】仕事で辛い悩みを相談できない…原因と打開策4つ」を参考にしてみてください。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
ADHDの特性上、周囲から「そんなこともできないのか!」「そんなことできて当たり前だろう!」と言われることで苦労しやすいことがあります。整理整頓などはできていないことで周囲の目につきやすいこともあるでしょう。
ですから整理整頓の基本を5sから習得して、困難なく仕事を進められるよう工夫してみましょう