ワークエンゲージメントとはどんなこと?
そもそも、「エンゲージメント」って?
エンゲージメントとは、特定の対象や出来事、行動などに向けられた継続的、全般的な感情・認知です。分かりやすい表現だと、何か「特定のことに対して持ち続ける気持ちや意識」ということになるでしょう。
ワークエンゲージメントとは
ワークエンゲージメントとは、『従業員の精神(メンタル)面での健康度を示す概念』をです。
仕事を行うには、3つの心理状態が充実していることが重要とされています。
・熱意
・没頭
・活力
この3つが満たされている状態こそ、『ワークエンゲージメント』なのです。
このように、仕事に対する『ポジティブな精神状態』を保つことが重要視されてきているのです。
ワークエンゲージメントの「3つの要素」とは
1:活力
「活力」については、以下の項目が挙げられています。
・仕事において、高い水準の成果を出し続けるためのエネルギー
・心理的な回復力
・努力や成長をいとわない気持ち
・困難に遭った時の粘り強さ
これらがあると、『活力がある状態』として考えられています。
2:没頭
「没頭」に関しての項目は以下の通りです。
・仕事にのめり込んでいる時の幸福感
・時間が早く経つ感覚
・仕事から意識を切り離すことが惜しい、と感じられること
これらの状態がある場合、「没頭できる状態」と考えられます。ただし、発達障害などに見られる過集中にあっては、『のめり込んでいるが、幸福感はない』『他に支障をきたすほど没頭してしまう』という傾向もあるため、他の2つの項目とのバランスを考える必要があるでしょう。
3:熱意
「熱意」に関しては以下の項目の通りです。
・仕事に強く関わっていきたいと感じている
・自分の仕事に意味や意義を見出せている・見出そうとしている
・仕事に熱中することができる
・仕事に誇りを持つことができる
・挑戦や成長したいという意欲を感じられる
これらの項目に該当することで、「熱意がある」と考えられるのです。
この3つの要素のバランスが整ったうえで、はじめて仕事において『精神的に充実している状態』と考えられるとされています。
さて、このバランスが崩れることで、あらゆる問題が生じることがあるのです。次は、「3つの要素のバランスが崩れることで生じる問題」について紹介していきましょう。
3つの要素のバランスが崩れることで生じる健康問題
ワーカホリズム(ワーカホリック)
「ワーカホリズム」とは高い水準で成果を出し続けているものの、その動機がネガティブなものである傾向を指します。
『仕事だから、とりあえず頑張る』
『やらないと上司が起こるから頑張る』
『仕事を進めないと不安だから、やらざるを得ない』
など、「仕事を頑張っているけれど、楽しくはない」状態です。この場合、3つの要素「没頭」「熱意」はない状態になります。また、仕事に対して『受け身状態』であるケースが多いのではないでしょうか。
この状態でも、ある程度の段階まで成果を出し続けられるかもしれません。しかし、環境変化や業務内容の変化があった時や困難に遭った際に体調を崩しやすい状態かも知れません。
バーンアウト症候群(燃え尽き症候群)
バーンアウト症候群は、仕事に対して献身的に没頭したにもかかわらず、期待した結果が得られないことで意欲を喪失してしまう状態です。『頑張ったのに認められない』不満感と疲労感を一気に受けることで、心身のバランスを崩しやすい問題があります。
ワークエンゲージメントとは対極に位置する『全く充実していない状態』になってしまうことで、うつ病などの精神障害を招くおそれがあるでしょう。
ワークエンゲージメントを維持すれば、プレゼンティーズムの予防にもつながる
このように、活力、没頭、熱意のバランスを崩すことであらゆる健康問題につながると考えられているのです。上記のような大きな問題に発展しなくても、「プレゼンティーズム」など健康問題によって生産性を下げることにもつながるのではないでしょうか。
参考:アブセンティズムとプレゼンティズム (absenteeism / presenteeism) – 株式会社こどもみらい
関連記事:【精神障害】仕事が辛いのに休めない「プレゼンティーズム」の予防法
関連記事:【発達障害体験談】責任感からプレゼンティーズムに…。反省点と対策
このような健康問題を防ぎ職場で活躍し続けるためには、どのようにしてワークエンゲージメントを整えていけばよいのでしょうか。
ワークエンゲージメントを整える方法
仕事を楽しむ
まずは楽しめる職場環境でなければ、熱意も没頭もできません。ですから仕事に就く段階で自分のしたいことは何かを明確にしておくか、就職後仕事をする意義を見出していくことが必要になります。
業務目的を明確にする
「何のために仕事をしているのか分からない」「とりあえず、上司に言われたことを日々こなしている」と言う状態では、本当の意味で活力がある状態とは言えません。
このようなケースを防ぐためにも、「自分が進むべき目標」や「業務を進める目的」を明らかにしておく必要があるのではないでしょうか。
ネガティブな思考になりにくくするよう、疲労のケアをする
体が疲れているとネガティブな思考になりやすく、かつポジティブな思考に復旧させることが難しくなります。
疲労を溜めないよう、常に自分の体力の限界を知りつつ疲れに応じたケアをすることが大切になるでしょう。
上司と相談し、求められていることや業務目標を擦り合わせていく
どんなに頑張っても認められないのは、もともと自分の目指していることが職場にとって必要なことなのか、確認できていない可能性があります。
職場と同じ方向に向けて努力していくためには、上司と相談し業務目標のすり合わせをすることが大切です。職場の条件にただ合わせるのではなく、自分の意思も伝えることが大切です。そのうえで努力していくことで、お互いが迷いなく仕事を進められるのではないでしょうか。
目標管理についてはこちらの記事「目標管理の一種、OKRとは?障害者の業務スキル向上にも繋がる!」を参考にしてみてください。
参照:OKRとは? 【Google、Facebookが使う目標管理ツール】KPI・MBOとの違い、導入・運用・目標設定方法について解説 – カオナビ人事用語集
精神障害の職場定着に、ワークエンゲージメントが関わって来る
ワークエンゲージメントは、これらのように「精神の状態を測る指標」として大いに役立つ可能性があります。
精神障害を持つ方が職場定着していくためには、「心の健康」も大切になってきます。ですからこのワークエンゲージメントの基準を確認し、定期的に『最近仕事への意欲あるかな…?』『今何かに挑戦したい気持ちはあるかな…?』など、振り返ってみるのも良いかもしれません。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
かつて精神的な疲れは「気のせい」「気合が足りないだけ」などと考えられてきたかもしれません。しかし現在では、このワークエンゲージメントのように正式な健康を測る指標として認知されつつあります。
障害者雇用の場合、特に自分の健康状態を職場に伝える機会が多いのではないでしょうか。その際に、ワークエンゲージメントの項目をもとに状態を伝えてみても良いかもしれません。